「ドローンムービーコンテスト2017」グランプリ受賞者・佐々木光洋さん 「ドローンは世界を再発見するツール」その2

「ドローンムービーコンテスト2017」グランプリ受賞者・佐々木光洋さん 「ドローンは世界を再発見するツール」その2

第2回目となるドローンムービーコンテスト2017で、グランプリに輝いた佐々木光洋さんに受賞作品の制作での苦労や、ドローン空撮の魅力についてうかがった。


 第2回ドローンムービーコンテスト2017で、グランプリに輝いた株式会社NAVA代表取締役でドローン映像作家佐々木光洋さんの受賞作品「Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot」について、前回は制作過程での苦労や思いなどについてお話をうかがった。
 そしてコンテスト審査員の一人でもあるDJI JAPANの映像ディレクター・熊田雄俊氏からコメントが届いた。以下に全文を紹介したい。

佐々木光洋さんの作品へのコメント

 まずは絶景を捉え被写体の持つ壮大なスケールと、その異世界感を空撮のみを使い描いた秀逸な作品だと感じました。
 題名にもなっているカンラオン火山の火山口のショットから入っていくのですが、約20秒にも及ぶ長いショットでその壮大なスケールをじっくり魅せ観客を惹きつけます。その後、火山周辺に広がる森林のショットが入り、曲も相まってミステリアスな雰囲気を盛り上げてくれます。
 55秒付近から曲の盛り上がりに合わせて下方より火山の頂上へ近づいていくショットを重ねています。ショットを重ねていくことで一度冒頭で見た壮大な景色への期待感が高まっていきます。
 そこから解放的に広がる火山とその周辺のディテールを少しずつ見せていき、また再び火山口にフォーカスを当ててラストへ綺麗に持って行っていってます。

 映像自体がきれいであること、そして画を見せる順番も考えられてあり惹きつけられるポイントが多いのですが、惜しらむべきは尺がやや冗長である点です。風景のみの映像となっているので同じ構成でも尺を圧縮した方が、作品としてもぐっと締まった印象になると思います。
 作品を撮影された時からドローン自体も進化し、高画質化や軽量化がなされました。この時には出来なかった広角以外の撮影や高速移動しながらのショット等、可能性が広がっております。DJIとしてクリエーターの想像力やクリエイティビティを支え、今まで見た事のないような映像が更に生まれる事を期待しております。

■□DJI JAPAN映像ディレクター・熊田雄俊

ベトナム(佐々木光洋さん提供)

映像にこだわりつづけて

 今回は受賞作品から少し離れ、佐々木さんの映像制作のこれまでの軌跡や今後についてお話していただいた。

ー佐々木さんの映像の原点はどこか。
 「子供時代から父の影響で。8mmで1コマ撮りしたり、VHSのビデオカメラで映画を制作したりと映像は好きでした。大学では映画サークルに入りました」
 そんな佐々木さんは就職活動は一切せず、卒業直後からそれまでに制作したCG作品を持って、CG制作会社など映像系の会社を回り、番組制作会社に入社することになった。
 CGは独学で習得したというから驚きだ。入社した会社ではコンピューター専門のニュース番組を制作した。
 「その後フリーになり、2005年、30歳の時に現在の映像、ウェブの制作などを手がける「NAVA」を起業しました。思えば型破り、常識はずれなことをやっていました」
 会社を立ち上げてからも、大手証券会社にアポなし飛び込みで、証券情報番組の制作の仕事を取ることもあった。

ベトナム(佐々木光洋さん提供)

飛ばすだけで十分楽しかった

ードローンとの出会いについて。
 「2013年にラスベガスへ行った時に、現地の旅行会社からグランドキャニオンのプロモーションビデオを作りたいと相談され、どう撮ったらいいんだろうと考えていたところ、ドローンに行き当たった」
 発売されたばかりのPhantom 1を手に入れ実験し始めた。CG制作と同様に独学で始めたが、なかなか思い通りに飛ばせない。かなり練習しないと仕事で使うのは難しいと悟り、技術を磨くことにした。結局グランドキャニオンのプロモーションは仕事にならなかったが、その後もドローンの実験は続き、多くのドローンが手元に残った。現在DJIのF550を含むPhantomシリーズはほとんど所有している。

ベトナム(佐々木光洋さん提供)

 「Phantom 1は本体にGoProを取り付けるアダプターがあるだけでジンバルもなかった。ブレるわけですよ」サードパーティ製のジンバルのようなものをどこからか探してきて取り付けて、パラメーターを調整しながら飛ばしていた。その当時はハンダゴテ持ちながら、付け替えたり改造したりと、機体を安定させることに試行錯誤の連続だった。
 佐々木さんにそのPhantom 1で撮影した映像を見せてもらった。低空を舐めるように飛行していて「どうやって撮影したんだろう?走って撮ったのかな」と思わせるような映像で、今ならドローンを使ったと推測もできるが当時は新鮮な映像だったろう。
 「飛ばすだけで十分楽しかった時代。ドローンという言葉も無くマルチコプターと言われていた」
  どこかでドローンを仕事に繋げたいという思いもありながら、テストを繰り返して経験知を積んだ。「最終的には映像ツールなので、実戦投入するには越えなければならないハードルがあると感じていた。技術とか効果的な表現方法とか」を研究しつづけられたのも、「やはり(ドローン)が好きだったのでしょう」

レンタルバイクで台湾を巡り、空撮して制作した作品「Aerial Sketch of Taiwan / 來自台灣的天空」(佐々木光洋さんのYoutubeから)

ドローン映像を要素に、ストーリーを大事に

ー今後、挑戦したいで映像作品のテーマは?
 「これまで台湾、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ミャンマー、香港、フィリピン、ベトナム、ブルネイといったアジアの国々の自然や構造物の美しさ、壮大さをテーマにして撮ってきました。今後はそれを踏襲しながら人々や文化を踏まえ、ドローン空撮も含めストーリー性を持ったものを映像作品として描いていきたい」と抱負を語ってくれた。そしてつづけて「現在ドローンならではの俯瞰映像を使った実験的な作品を製作中で、近日公開します」と教えてくれた。

夕暮れの一瞬だけ黄金に輝く色へと様変わるサラワク川を捉えた作品「黄金に輝く川 [サラワク川空撮]」(佐々木光洋さんのYoutubeから)

 佐々木さんによると、ドローン空撮を仕事として掲げるようになったのは昨年末ぐらいからだという。ドローンに出会ってから飛ばしつづけ、飛行させる技術、表現方法が少し自分に納得がいくレベルに達し、そして外部からも認められるようになったからと推察した。今回ドローンムービーコンテストで受賞した作品「Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot」は、それを裏付けている。
 ドローンは世界を再発見するツール」であると言い切る佐々木さんには、今後も別の視点から「新しい世界」を見せてくれる映像を期待したい。(おわり)

■■ 株式会社NAVA (ナバ) ■■
http://www.nava.tv/corporate-profile/

【住所】 〒101-0021 東京都千代田区外神田4-8-1 NAVAビル2F
【代表】 佐々木 光洋
【事業内容】
インターネット、テレビ、ラジオ等の通信網による番組の企画、制作、放送
映画、コマーシャル、ビデオソフトの企画、制作、販売
デジタルコンテンツの企画、立案、制作、配信、販売
デジタルコンテンツの企画、制作、販売
ウェブサイトの制作と運営
インターネットでの情報提供サービスの企画、制作、運営
インターネット、及び映像に関するコンサルティング業務

佐々木光洋さんが運営するYoutubeのNAVAチャンネル
https://www.youtube.com/user/NAVAIncTV

アップされている動画を以下に紹介します。

Aerial Sketch of Taiwan / 來自台灣的天空

Taiwan has plenty of spectacular views. I took that superb view from the sky.
There are more than 30 spots visited for this movie. (佐々木光洋さんのYoutubeの説明)

黄金に輝く川 [サラワク川空撮]

サラワク川がある街の中心地には橋が無く、人々は渡し船で頻繁に行き交います。
この川はいつもはミルクコーヒーの色をしていますが、夕暮れの一瞬だけ黄金に輝く色へと様変わります。それはまさに絶景と言えます。(佐々木光洋さんのYoutubeの説明)

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