「ユーザーのニーズをワンストップで」 新生エンルートの展望は⁉ 瀧川社長を直撃!

「ユーザーのニーズをワンストップで」 新生エンルートの展望は⁉ 瀧川社長を直撃!

 国内ドローン大手、エンルートが、新本社での事業を5月に開始し新体制として本格的にスタートを切った。2006年の創業以来経営を率いてきた伊豆智幸氏は経営から退いて技術顧問に就任。社長を継いだ瀧川正靖氏は、「開発、設計から販売、保守、スクール運営までユーザーにワンストップでサービスを提供する」と利便性を追求する方針だ。


伊豆前社長の「エンルートラボ」とは「ゆるやかなグループ関係」

 新生エンルートは5月8日、東武東上線朝霞台駅から徒歩5分の住宅地にたたずむオフィスビルに構えた新社屋で、業務を開始した。昨年7月、株式会社スカパーJSATホールディングス(東京)のグループ企業、株式会社衛星ネットワーク(東京)の出資を受けて子会社となり、今年4月に瀧川氏が社長に就任しており、新社屋での業務開始で名実ともに新体制がスタートしたことになる。
 創業者の伊豆氏は同社の経営を退くとともに、人工知能(AI)を活用した自動運転システムの技術開発などを手掛ける株式会社エンルートラボ(埼玉県ふじみ野市)を新たに設立した。伊豆氏はエンルート株を約3割は保有するが、企業としてのエンルートラボと、新生エンルートの間に資本関係はない。瀧川社長は両者の関係について「エンルートラボが研究・開発した機体を、エンルートが優先的に製造、販売する契約を結んでいるほか、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構.(NEDO)など外部から引き受けた研究を共同で行うゆるやかなグループ関係」と説明する。

社長に就任し、インタビューに答える瀧川正靖氏

企画、設計から保守、修理まで 不具合検証では「ログデータの公開可能なことが強み」

 エンルートの業務範囲は、機体の企画、設計、開発、製造、販売、保守、修理、保証、スクール事業など、扱う機体に関する利用者が求めるすべての業務。「ユーザーのニーズはワンストップで提供したい」と話す。
 今年度の事業の柱となるのは機体販売で、主力となるのは農業の現場で使われることを想定した農薬散布機。一昨年に発売した液体の農薬(液剤)なら5リットル積める「Zion(ザイオン)―AC940―D」、近く注文の受け付けを始めるより大型(9リットル以上積載可能)の「Zion―AC1500」が中心だ。次いで、航空測量、橋梁や鉄塔などインフラ点検の機体の引き合いが多い。
 またスクール事業にも力を入れる。5月23日には、同社として初めて専用施設を備えた直営校を千葉県東金市に開校し、その後、拡大を図る。瀧川社長は「初年度で200人弱、来年度は400人弱の卒業生を送り出したい」と話す。
 さらに、機体購入者に対する保証ビジネスの導入も検討する。「ユーザーにとってみれば、不具合が生じたとしても、点検さえすれば済む物なのか、部品の交換が必要なのか、そもそも機体そのものの交換が必要なのか、などは分からない。状況にかかわらず、不具合のないようにして手元に戻してさしあげるほうが、ユーザーの利便性は高い。それを保証する仕組みを今後、検討する」という。
 不具合の検証については、同社がコンピュータープログラムのソースコードが一般に公開されているオープンソースを利用しており、ログデータを分析した上で、ユーザーに公開できることが強みだ。「飛行実績を分析し提供できるので、不具合の原因が操縦士の習熟不足か、強風など飛行時の環境が原因かが分かる。原因が突き止めやすく、対策をとりやすい」と、オープンソースでない独自プログラムを採用しログデータを公開しない方針のメーカーとの違いを強調した。
 新生エンルートは、これまで磨いてきた高い開発力を土台に、機体の販売拡大、周辺サービスの拡充などを通じて利用者の利便性を追求し、裾野の拡大と事業の拡大を目指し、取り組みを本格化させることになる。

埼玉県ふじみ野市から本社が朝霞市に移転したエンルート本社玄関は、届けられたお祝いの花が埋め尽くしていた。

この記事のライター

関連する投稿


NEDOが橋梁点検に用いる無人航空機の性能評価基準策定に向けた飛行試験を実施

NEDOが橋梁点検に用いる無人航空機の性能評価基準策定に向けた飛行試験を実施

NEDOは、富士通、日本電気、イクシスリサーチ、エンルート、プロドローンとともに、橋梁点検のための無人航空機の性能評価基準策定に向けた飛行試験を千葉県東金市で実施した。


ヘリからドローンは見えるのか NEDO、SUBARU、エンルート、プロドローンが南相馬で実験

ヘリからドローンは見えるのか NEDO、SUBARU、エンルート、プロドローンが南相馬で実験

 ヘリコプターの操縦者は、ドローンを見ることができるのか、などについて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と関連事業者が、12月15日、福島県南相馬市に整備中の復興工業団地内福島ロボットテストフィールドで実験し、その様子を公開した。


エンルートラボ、「日本海洋ドローン協会」を設立 海洋ドローンの活用を加速

エンルートラボ、「日本海洋ドローン協会」を設立 海洋ドローンの活用を加速

株式会社エンルートラボ(埼玉県ふじみ野市、 代表取締役:伊豆智幸)は、 海洋で用いるドローン活用促進のため「一般社団法人 日本海洋ドローン協会」を設立、 活動支援する。


【橋梁・トンネル技術展】エンルートが開発中のドローン用衝突防止システムを展示

【橋梁・トンネル技術展】エンルートが開発中のドローン用衝突防止システムを展示

幕張メッセで開催中の橋梁・トンネル技術展のドローンエリアに出展した株式会社エンルート(本社:埼玉県朝霞市、代表取締役:瀧川正靖)は、開発中の衝突防止システムを搭載したドローンZion PG700を展示していた。


エンルートが9億円増資 JSATグループが発表 同グループの完全傘下に

エンルートが9億円増資 JSATグループが発表 同グループの完全傘下に

 産業用ドローンの開発、製造などを手掛ける株式会社エンルート(埼玉県)は、9億円の増資を実施したと発表した。同社はスカパーJSATグループの一角で、同グループはこの増資などにより10月20日付で100%の議決権を取得した。エンルートはこの増資を機に、量産体制の構築、安全管理、品質管理の充実など事業を加速させる。


最新の投稿


2020年に中国のドローン市場は1兆円へ...民間活用拡大で2017年の6倍に

2020年に中国のドローン市場は1兆円へ...民間活用拡大で2017年の6倍に

2020年に中国・商業用ドローン市場の規模が、600億元(約1兆322億円)を超えるとの分析が公表された。


【2018展望】「ドローン物流元年」JUIDA鈴木理事長 新春パーティのあいさつ

【2018展望】「ドローン物流元年」JUIDA鈴木理事長 新春パーティのあいさつ

 日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月17日、都内で「新春パーティ」を開き、会員、政府関係者、関係議員らが集まった。冒頭、JUIDAの鈴木真二理事長は2018年を「ドローン物流元年」と位置づけた。鈴木理事長のあいさつは以下の通り。


茨城県が森林・林業分野におけるドローン技術の活用実践検討会を開催

茨城県が森林・林業分野におけるドローン技術の活用実践検討会を開催

危険が伴う林野災害での迅速な現場確認や効率的な地形データの取得などの森林調査測量等,森林・林業分野においてもドローンの活用を図ることを目的として,森林組合や県職員を対象とした検討会を開催する。


有楽町でドローン体験! 有楽町マルイで「ドローン・ザ・ワールド」期間限定開催

有楽町でドローン体験! 有楽町マルイで「ドローン・ザ・ワールド」期間限定開催

1月19日(金)~2月18日(日)、8Fイベントスペースで開催。


Dアカデミー関東 東京校 【 i-construction対応4日間コース 】1月28日~31日

Dアカデミー関東 東京校 【 i-construction対応4日間コース 】1月28日~31日

「i-construction」に特化した短期集中セミナーです。