「ドローン × AI」(5)   MITが研究するAIとVRを組み合わせた仮想空間の自律飛行

「ドローン × AI」(5)  MITが研究するAIとVRを組み合わせた仮想空間の自律飛行

マサチューセッツ工科大学( Massachusetts Institute of Technology:MIT)のSertac Karaman(セルタック カラマン)准教授は、AI(人工知能)とVR(仮想現実)を活用してドローンが障害物を回避するリアルタイム ビジュアルSLAMを研究している。


VRゴーグルを着けたドローンが仮想空間で自律飛行の強化学習を行う

 カラマン准教授が開発したシステムは、図のようになっている。

VRによるリアルタイム ビジュアルSLAMの構造図

 NVIDIAのJetson TX2を搭載したSparrow(スズメ)というミニドローンに、NVIDIA TITAN Xベースのワークステーションから仮想現実の屋内映像をWiFiで送信する。Sparrowドローンは、実際には障害物がない空の屋内を飛行するが、VRゴーグルを着けているかのように、送られてくる屋内の映像が現実の飛行空間だと認識して、飛行と回避を行う。

シミュレーション飛行のイメージ

 飛行しているドローンの位置情報は、モーションキャプチャ システムを用いてリアルタイムでワークステーションに送信される。そしてワークステーションでは、送られてきたドローンの位置情報からVR空間の位置をリアルタイムに計算して、Sparrowにフィードバックする。

実際のドローンが飛行している空間

 この繰り返しによって、ドローンが実際の屋内を飛行することなく、安全に障害物を回避するための強化学習が可能になる。実験動画によれば、370mの連続飛行で、エラー率は0.37%(3.7mm)だった。

実験の結果

 カラマン准教授は「今後は、DGX-1(NVIDIAのディープラーニングシステム)を使用して、すべてのデータを取得し、強化学習を実施したいと考えています」と話す。VRを活用した仮想飛行による学習システムは、ドローンが実際に衝突したり物理的な損傷を受けることなく、自律飛行と衝突回避を短期間に学習する可能性を広げる。

MITのSertac Karaman(セルタック カラマン)准教授

 実験に利用されたSparrowドローンには、GPSは搭載されていない。オンボードのカメラに装備されているIMU( Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)を利用しているだけで、衝突回避などはカメラからの映像をJetson TX2でリアルタイムに解析して処理している。VRとAIの効果的な活用により、画像認識だけで自律飛行と衝突回避が可能になれば、ドローンの活躍できる領域はさらに広がる。

実験に利用されたドローン

この記事のライター

関連する投稿


「Rock Garage」がNVIDIA Inception Programのパートナー企業に認定

「Rock Garage」がNVIDIA Inception Programのパートナー企業に認定

株式会社ロックガレッジは、GPUディープラーニング プラットフォームを提供しているAIコンピューティング カンパニーNVIDIA Corporationより、AIスタートアップを支援するプログラムである「Inception Program」のパートナー企業に認定された。


MITがミニドローン用の制御チップ「Navion」をアップグレード

MITがミニドローン用の制御チップ「Navion」をアップグレード

2018年6月20日 – 米国マサチューセッツ州。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者は、2017年に設計したミニドローン用の制御チップをアップグレードし、さらに小さく省電力になったと発表した。


KDDIが5Gによるドローン空撮のリアルタイム映像配信を展示

KDDIが5Gによるドローン空撮のリアルタイム映像配信を展示

KDDI株式会社 (本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 髙橋 誠、以下 KDDI) は、ワイヤレスジャパンの展示コーナーで、ドローンで空撮した360°映像をVR(仮想現実)ゴーグルで体験するデモンストレーションを披露していた。


【ドローン × AI】動くものすべて自律動作マシンになると予測するNVIDAのAI戦略

【ドローン × AI】動くものすべて自律動作マシンになると予測するNVIDAのAI戦略

半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア、米国カリフォルニア州)は、都内でNVIDIA Deep Learning Seminar 2018を開催した。基調講演では、日本代表 兼 米国本社副社長 大崎 真孝氏が、自動車やドローンなど動くものはすべて自律動作マシンになると予測した。(田中亘)


【ドローン × AI】NVIDIAのAIドローンが新たな自律飛行を目指す

【ドローン × AI】NVIDIAのAIドローンが新たな自律飛行を目指す

AIの先端技術を開発する米国NVIDIA社は、ロボットやドローンとAIの活用が、新たな市場を創出すると予測する。NVIDIAのセミナーから、AIドローンの新たな可能性を探る。(田中亘)


最新の投稿


DJIは8月23日に発表するMAVIC 2の予告動画を公開

DJIは8月23日に発表するMAVIC 2の予告動画を公開

DJI(中国)は、8月23日に発表する新型ドローンMAVIC 2の予告動画をYouTubeに公開した。動画の内容からは、機体がコンパクトに持ち運べるタイプのドローンであると推測できる。海外のサイトでは、MAVIC 2だと指摘する記事も掲載されている


鬼怒川温泉 廃墟群をドローン空撮

鬼怒川温泉 廃墟群をドローン空撮

-DJI Mavic proで撮影。


かもめやがドローン目視外運用を想定、次世代リアルタイム気象観測システムを運用開始

かもめやがドローン目視外運用を想定、次世代リアルタイム気象観測システムを運用開始

株式会社かもめや(香川県高松市)は、リアルタイム性重視した次世代気象観測システム(KAZAMIDORI:カザミドリ)の瀬戸内海エリアにおける運用を開始した。


米国で4K動画を撮影できる$500以下のドローンが登場

米国で4K動画を撮影できる$500以下のドローンが登場

インテルの出資を受けるYuneec社(中国)は、米国でMantis Qという4K動画を撮影できる小型ドローンを発表した。価格は、$499.99(約5万5千円)からと低価格が魅力。


米国インテルはNASAやFAAと協力してOpen Drone IDの開発を推進

米国インテルはNASAやFAAと協力してOpen Drone IDの開発を推進

2018年8月15日、オクラホマ州デュラント。Intelのドローンチームのメンバーは、オクラホマ州でIntel Falcon 8+ドローンやモバイルアプリのOpen Drone IDを使い、NASAやFAA(連邦航空局)と協力して、UAS統合パイロットプログラムのイベントに参加した。