日本で100km超の自律飛行に挑むエアロセンスと米スウィフト社

日本で100km超の自律飛行に挑むエアロセンスと米スウィフト社

7月12日。エアロセンス株式会社(本社:東京都文区、代表取締役:谷口恵恒)は、スウィフ スウィフト・エンジニアグ株式会社(本社:カリフォル州サクレメンテ、代表取締役:リック ハイス)と、VTOL(垂直離着陸型固定翼)ドローンを国内で事業化すると発表した。


100kmを超える飛行を可能にした高性能VTOLのSwift 020

4つのプロペラを巧みに制御して垂直離着陸と水平飛行をスムーズに切り替える

 エアロセンス社が提携したスウィフト社は、1983年にレーシングカーの設計と製造を行う会社として創業した。2000年に入ると航空宇宙分野に進出し、ボーイングやノースロップ・グラマンにシコルスキーなどの開発や生産プロジェクトを受託している。スウィフト社には、20年近い無人航空機システムの開発と製造の実績があり、これまでにGlogal HawkやKiller BeeにS-97 Raiderなどの開発に携わってきた。その経験と実績を元に同社の20番目のモデルとして自社ブランドで開発したVTOLドローンが、Swift 020(オーツーオー)になる。
 Swift 020は、4つのプロペラを備えた固定翼。X-Blade Technology(エックス ブレード テクノロジー)と呼ぶ独自の技術で、プロペラ部分を回転させることなく、垂直での離着陸を可能にしている。飛行の様子を紹介する動画では、主翼に取り付けられた補助翼を使って機体を垂直に置き、4つのプロペラで離陸する。離陸直後に水平飛行に移行できるRapid Transition(ラピッド トランジション)をはじめとして、任意の高度で垂直から水平へと機体をコントロールできる。操縦は、完全な自律飛行になっていて、無線機などの電波が届かない場所でも、GPSの信号で飛行する。発表会に来日した代表取締役のリック ハイス氏は「X-Blade Technologyにより、長時間の飛行が可能になるだけではなく、機体の構造がシンプルなので故障が発生しにくく、メンテナンス性にも優れています」と特長を語る。一回の充電で2時間の飛行が可能で、飛行速度は37~83km/h、高度は30~120m、最大で100kmを超える長距離まで到達できる。機体の最大重量は13.6kgで、主プロペラの部品を交換することで、さまざまなアタッチメントを取り付けたり、1.5kg以上の荷物を運ぶこともできる。また、機体は分解が可能で専用のケースに収納すれば、飛行機の貨物としても空輸できる。組み立ては10分で済む。

用途に合わせて主プロペラのパーツを交換できる

分解してコンパクトに輸送できる

高性能なVTOLドローンで日本の規制緩和に挑む

水平飛行から素早くホバリング状態に移行できる

 エアロセンス社は、これまでにマルチコプターやVTOLドローンを独自に開発してきた。代表取締役の谷口恵恒氏は「100kmを超える飛行が可能なドローンは、当社の開発している機体ではカバーできないので、Swift 020を日本で展開しようと決めました」と話す。また両社が提携するきっかけは「当社とスウィフト社の日本法人が、互いに取引のある関連会社を通じて知った」という。今後、両社は秋頃に日本での飛行試験を計画している。エアロセンス社には、国内でドローンを目視外で飛行できる包括的な認可が出ているが、100kmという距離での実証実験には課題も多い。福島県にあるロボットテストフィールドでも、最長で13kmの海岸線しか長距離の飛行が許可されていない。この課題に対して谷口氏は「政府に対して、こんな市場や必要性があるから、ここを緩和しましょう、という提案ができる」と考えている。ドローンの目視外による自律制御の長距離飛行に対する規制の厳しさは米国も同様で、スウィフト社でも米国外で長距離飛行の実験を行っているという。そのためハイス氏も「日本での事業化に期待している」と話す。
 長距離の自律飛行が可能なVTOLドローンには、農業や配達に緊急サービスやインフラ点検、測量に海事、軍事や防衛に科学研究や監視など、数多くの需要が期待されている。エアロセンス社では、Swift 020の飛行試験と規制緩和に取り組みながら、同機体が活躍できる事業領域を開拓していく。

事業化が期待される産業

Swift 020のサイト
https://www.swift020.com/

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