日の丸ドローンを目指してTEADがACSLと協業

日の丸ドローンを目指してTEADがACSLと協業

ドローンメーカーのTEAD株式会社(本社:群馬県、代表取締役社長:横山勉、以下TEAD)と株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉県、代表取締役:野波健蔵、以下ACSL)は、農業用ドローンの開発と生産に関する協業を発表した。


ACSLの飛行制御ユニットをTEADの農業用ドローンに提供

会見会場に置かれたACSLの飛行制御ユニットを搭載したTEADの農薬散布ドローンMulsan DAX04。

 昨年4月に、日本で最初の農業用ドローンとして、一般社団法人農林水産航空協会(農水協)の認定を得たTEADのMulsan DAX 04。4つのプロペラで飛行するクアッドコプターながら、最大15kgのペイロードがありアームの下に取り付けられた4つのノズルから、効率よく液剤を散布できる。機体には10リッターのタンクを搭載し、一度の飛行で1ヘクタールの圃場に農薬を散布できる。全国25ヶ所以上の教習所を通して、教育と販売にサービスを提供し、約1年で140機を超える販売実績がある。同ドローンの顧客の中には、無人ヘリコプターの代わりに利用して、一か月で数百万円の売り上げを達成したケースもある。
 農業用ドローンとして堅実な販売を伸ばしてきたMulsan DAX 04だが、代表取締役社長の横山勉氏は「当社のドローンは、他の農業用ドローンメーカーと同様に、機体を制御するフライトコントローラーは中国製のものを搭載していました。しかし、海外メーカーの部品を使い続けることには、性能や安全面での不安がありました」と話す。中国製の制御システムは、農業用ドローン向けに開発されたもので、2mでの低空飛行や15km~20km/hという低速での安定した姿勢制御など、実用的な性能は備えていた。それでも「開発中に制御系にトラブルが発生すると、中国のエンジニアとのやり取りが発生し、時間も手間もかかっていました」と横山氏。また「ドローンが飛行するための核心となる技術を海外のメーカーに依存しないで、電装系を一気通貫でオールジャパンにしたかったのです」と補足する。そこで、以前から交流のあったACSLの野波健蔵氏に相談し、両社の協業が実現した。

ACSLの名前が入ったTEADの農薬散布ドローンMulsan DAX04。

画像解析やAIによる完全自律飛行も見据えて協業体制を強化していく

自律制御システム研究所とTEADの協業について会見する自律制御システム研究所野波健蔵社長(左)とTEADの横山勉社長=7月14日、東京都千代田区日本橋

 ACSLは国産の飛行制御システムを開発したパイオニアであり、物流用のドローンも自社で設計し製造している。楽天のドローン配送サービスの「そら楽」で使われている機体もACSL製になる。ACSLの野波氏は「TEADのドローンは、農業分野のパイオニアです。その農業用ドローンに、ACSLのフライトコントローラーを提供することで、飛行性能や飛行制御などを大きく改善できることを確認しております」と話す。また「今後は機体に取り付けたカメラの映像を解析して、薬剤が適切に散布されているかを判断したり、AIを活用して障害物などを回避する飛行の安全性を向上させ、完全な自律飛行を見据えたシステムを開発し、TEADとの協業体制も強化していきます」と展望を語る。
 現在の農水協による農業用ドローンの運用では、操縦者とナビゲーターが2人1組で、手動による目視飛行が義務付けられている。しかし、ACSLのドローンは福島のロボットテストフィールドで13kmの海岸線を自律飛行した実績がある。そのACSLのフライトコントローラーを搭載したTEADの農業用ドローンも、あらかじめ飛行範囲を指定するだけで自動的に飛行して農薬を散布する完全自律飛行が、技術的には可能になる。両社は、協業を通して自律飛行の実証実験を行っていくと同時に、運用方法の改正なども提唱していく考えだ。
 フライトコントローラーをはじめとして、すべての部品を日本製にすることで機体価格の上昇が懸念されるが、その点において横山氏は「中国製に比べると部品の単価は高価になりますが、国内でもドローン産業を支援しようと協力してくださるメーカーも出てきています。コストに関しては、企業努力も含めてできるだけこなれた価格で提供できるようにしていきます」と回答した。

会見後握手を交わす ACSL、TEADの野波、横山両社長。

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