センサー搭載のドローンを使い「ブドウ」の収穫時期を分析

センサー搭載のドローンを使い「ブドウ」の収穫時期を分析

ワイン用のぶどう畑にセンサー搭載のドローンを飛ばし、水分量や糖度を計測、さらには収穫時期まで把握しようという実証実験が31日、長野県塩尻市の塩尻志学館高校のブドウ農園で実施された。


ブドウ農園脇から飛び立つセンサーが搭載されたドローン

産・官・学共同で精密農業の将来を探る試み

 実験は30日に行う予定だったが、台風10号の影響で1日延期を余儀なくされた。天候も回復し、約25人の関係者が見守る中、センサー搭載のドローンは無事に農園上空30メートルを飛び、3分ほどで必要なデータを収集した。1回のフライトの情報量は20ギガバイトにのぼった。
 この試みは企業と教育機関がタッグを組んだ「IoT」ならぬ「Internet of Wine(IoW)プロジェクト」の一環だが、今後さまざまな農作物に利用し、日本の農業の生産性を飛躍的に高める方法として注目されている。

ドローンを調整する東京大学院工学系研究科先端学際工学専攻でMRI研究員の高山泰一氏

 今回、ドローンに搭載されたのは東京大学と三菱総合研究所(MRI)が共同で開発、小型化に成功したハイパースペクトルカメラ。このカメラは220の波形を取得できる。この光の波長を使って水分量や糖度などのデータを収集することによって、最も適した収穫時期を導き出せるという。今回の実験にあたった東京大学院でMRIの研究員も兼ねる高山泰一氏は「今後は9月から収穫時期にあたる10月まで数回ドローンを飛ばすことで、より精度の高いデータを収集したい」としている。
 センサーカメラの小型化がドローンへの搭載を可能にした。東大とMRIはすでにインドネシアで、米を対象とした実証実験に成功しており、今回が国内では初めての試みとなった。

 実験の場所を提供したのは塩尻志学館高校のぶどう農園。同校は日本で唯一、ワイン醸造を行っている高校で、食品科学系コースの生徒はぶどうの栽培から醸造も手掛け、実際に「KIKYOワイン」というブランドのワインを生産している。
 これまで糖度のチェックや収穫時期の判定は、文字通りの人海戦術でやってきただけに、実用化が進めば、生産者サイドにとっては計り知れない効果をもたらす方法として注目される。
 実験を視察した塩尻市産業振興事業部の篠原清満部長は「この地域ではアカマツの松食い虫被害が問題となっているので、今回のシステムで被害状況の把握に応用したい」と期待をよせた。
(DRONE TIMES 渡辺照明)

前面に装着されたハイパースペクトルカメラが見える
(写真は全てDRONE TIMES/渡辺照明)

ドローンは離着陸と微調整以外は全て自動制御されている

この記事のライター

関連する投稿


障害物を自動で回避できる小型無人航空機の自動飛行システムを開発 -東京大学、リコー、ブルーイノベーションが共同開発-

障害物を自動で回避できる小型無人航空機の自動飛行システムを開発 -東京大学、リコー、ブルーイノベーションが共同開発-

東京大学の研究グループは、事務機器・光学機器メーカーの株式会社リコーと、ドロー ン・サービスプロバイダであるブルーイノベーション株式会社と共同で、非 GPS 環境下でも安定し て自動飛行するとともに、経路上の障害物を自動で回避できるドローンシステムを共同開発し、飛 行試験に成功したと発表した。


国交省/GLP座間で物流用ドローン、正確な離着陸に成功

国交省/GLP座間で物流用ドローン、正確な離着陸に成功

国土交通省は2月28日、神奈川県座間市のGLP座間で、システム開発のブルーイノベーション、東京大学とともに、開発中のドローンポートの実験を行った。


JUIDA海外視察報告会「世界の無人航空機(UAS)最新動向」を東大本郷キャンパスで開催のお知らせ

JUIDA海外視察報告会「世界の無人航空機(UAS)最新動向」を東大本郷キャンパスで開催のお知らせ

東京大学本郷キャンパスにて、JUIDA主催の「定例セミナー」を開催、参加者を募集中。


有人機とドローンは共存できるか!? ANA総研、天草市、東京大学が協定締結、今日実証実験!

有人機とドローンは共存できるか!? ANA総研、天草市、東京大学が協定締結、今日実証実験!

 有人機と無人機は共存できるか。実現のためには何が必要か。ANA総合研究所、天草市、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻鈴木・土屋研究室が、この問いに答えを導き出すことなどをテーマに、12月18日、協定を締結した。19日には実証実験も行う。


ドローンを使い「ブドウ」を分析する国内初の試み実施へ〜長野県塩尻市の高校で

ドローンを使い「ブドウ」を分析する国内初の試み実施へ〜長野県塩尻市の高校で

 ドローンをワイン用のぶどう畑に飛ばして、センサーで水分量や糖度、さらには収穫時期まで把握しようという実験が8月30日、長野県塩尻市の塩尻志学館高校で実施される。企業と教育機関がタッグを組んだ「IoWプロジェクト」の一環で、センサーを搭載したドローンを利用するのは国内初の試みとして注目される。


最新の投稿


DJIと日本サーキットが23区内に室内飛行施設「DJI ARENA BY JDRONE TOKYO」を開設、21日にオープン

DJIと日本サーキットが23区内に室内飛行施設「DJI ARENA BY JDRONE TOKYO」を開設、21日にオープン

DJI JAPAN 株式会社(東京都港区)と株式会社日本サーキット(神奈川県川崎市)は、DJIの最新ドローンの飛行体験から購入、練習、修理までワンストップで提供する国内初のDJI公認屋内練習場「DJI ARENA BY JDRONE TOKYO」を10月21日にオープンする。


「KDDI IoTクラウド ~ドローンパッケージ~」の提供を開始

「KDDI IoTクラウド ~ドローンパッケージ~」の提供を開始

KDDIは、2017年10月16日より、ドローンビジネスをはじめる法人向けに、機体や損害保険の提供、飛行許可申請サポートといった導入時点で必要となるサービスから、運航管理システムなどを含めた運用サービスまで、ドローンビジネスをフルサポートするパッケージサービス「KDDI IoTクラウド ~ドローンパッケージ~を提供する


エス・エス・ドローン、〝無振動エンジン〟のハイブリッドドローン試作機を展示

エス・エス・ドローン、〝無振動エンジン〟のハイブリッドドローン試作機を展示

 強靱で使いやすい機体の提供を掲げる国産ドローンメーカー、エス・エス・ドローン株式会社(群馬県高崎市)が、千葉・幕張メッセで開かれた「農業ワールド2017」の「国際次世代農業EXPO」で、電動とハイブリッドのドローンを展示した。ハブリッド機は試作機だが、マグネシウム合金のボディが来場者の目を引いていた。


エンルートの5L機フルモデルチェンジ、TEADの多彩なドローン活用など〜「第4回 次世代農業EXPO」

エンルートの5L機フルモデルチェンジ、TEADの多彩なドローン活用など〜「第4回 次世代農業EXPO」

先進技術で農業を強くする「第4回 次世代農業EXPO」が、10月11日〜13日に幕張メッセで開かれた。今年はドローン関連出展社も多く、農薬散布はもとより、精密農業に関する出展も目立ってきた。積極的にドローンを活用する動きが広く定着してきたということで、今回はまだ記事化しきれてないものを紹介する。


〝ジドコン〟が都内で説明会 約20社が参加 「自動車からドローンまでの安全教育を」

〝ジドコン〟が都内で説明会 約20社が参加 「自動車からドローンまでの安全教育を」

 自動車学校のドローンスクール化を推進する「全国自動車学校ドローンコンソーシアム」(ジドコン)が、東京・秋葉原で自動車学校向けの説明会を開き、約20の自動車学校が参加した。趣旨に賛同する自動車学校は今後、ドローンの技能認証の取得、講師講習の受講などの手続きを進める。早ければ年明けにも加盟スクールが誕生する見込みだ。