新潟市がドローン実証プロジェクトの水稲空撮を公開

新潟市がドローン実証プロジェクトの水稲空撮を公開

8月7日。農業特区に指定されている新潟市は、有限会社米八圃場(新潟市南区、代表取締役:加藤誉士寛)でドローンを活用した「水稲のモニタリングおよび栽培管理」の実証実験の様子を公開した。


ドローンを活用した水稲のモニタリング調査

ドローンをセットするACSLのスタッフ

 ベジタリア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:小池聡)、新潟市、株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉澤和弘)、株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉県千葉市、代表取締役CEO:野波健蔵)は、国家戦略特区に指定されている新潟市で、2017年6月15日から8月7日の期間に計5回のドローンを活用した水稲の空撮を行った。最終日の8月7日には、報道関係者を集めて空撮の様子を公開した。
 実証実験に協力し圃場を提供したのは、地元の有限会社米八。今回の目的は、ドローンによる空撮画像を分析して水稲の生育状況を把握し、効率的な栽培管理の実現を目指している。従来、水稲の生育は人手による確認が基本で、カラースケールや葉緑素計(SPAD値)による葉色診断に、草丈や幼穂長の目視による調査が中心。そのため、圃場全体の生育状況を短時間で俯瞰的に把握することは困難だった。そこで、農業特区である新潟市が、高解像度カメラを搭載したドローンによる水稲の空撮を実施した。すでに、6月15日と7月7日、21日、27日には空撮が完了し、今回は最終日となる8月7日に、報道関係者の前でドローンによる空撮の様子が公開された。

ドローンによる空撮の様子

4眼高速カメラで20ヘクタールの圃場を数分で撮影

ACSL社の事業推進ユニット・製品技術の井上翔介ディレクター

ACSL社が独自に開発した4眼の高速カメラのACSL-PF1を機体の下に装着している

 水稲の空撮に利用されたドローンは、ACSL社が独自に開発したACSL-PF1という4眼の高速カメラを搭載している。実験に臨んだ同社の事業推進ユニット・製品技術の井上翔介ディレクターは「ドローンを時速70kmで飛行させるためには、その速度に追従できる高速なカメラが必要でした。そこで、1秒に8コマの撮影が可能な高速カメラを開発し、水稲の撮影を行いました。20万画素の解像度の4眼カメラは、0.2mmの精度で圃場を撮影します」と説明する。
 最後の撮影となった公開実験では、わずか数分で20ヘクタールの圃場を空撮した。撮影されたデータは、ベジタリア社が開発している解析ソフトによって、生育分析などが行われる。同社の事業開発本部の川原悠氏は「実証実験では、ドローンによる空撮画像と葉緑素計によるサンプル値を比較し、ドローンによる空撮画像の解析で、どこまで生育状況を把握できるかを検証しました」と説明する。つまり、人手による生育状況の測定値と、ドローンによる空撮画像を解析した結果を照らし合わせて、将来的にどこまで「ドローン空撮だけ」でモニタリングできるかを確認した。7月7日に実施された実証実験から得られた測定値によれば、ビアソン相関係数は0.67だという。この値は、限りなく1.00に近くなればなるほど、その計測結果が信頼できるというもの。現段階では、50%よりも高い確率ではあるものの、人手による計測や判断をすべてドローンの空撮に委ねるまでには至っていない。

ベジタリア社の事業開発本部の川原悠氏 手にしているのが葉緑素計

農業特区としてドローン活用のサンドボックスになる

有限会社米八圃場の加藤誉士寛 代表取締役

 実証実験に圃場を提供した米八の加藤氏は「将来的には、解析されたデータを元に必要な個所にピンポイントで肥料を散布できるドローンの活用に期待しています」と話す。また、新潟市農林水産部ニューフードバレー特区課の齋藤和弘課長は「これからも農業特区としての利点を活かして、ドローンの実証実験や農業への活用を積極的に推進していきます。農業ドローン活用のサンドボックス特区として、多くの課題を洗い出して、解決に取り組むと共に、そこから得られた知見を全国に発信し共有していきたいと考えています」と展望を語る。
 ドローン空撮による水稲のモニタリングは、今年は今回で終了するが、来年に向けてはマルチスペクトルカメラによる撮影などもふくめて、新たなデータの収集や分析方法などを検討していく予定。

新潟市農林水産部ニューフードバレー特区課の齋藤和弘 課長

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