特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(4) 100万越えのドローンは何が違う

特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(4) 100万越えのドローンは何が違う

本格的な空撮に使われるプロフェッショナル向けのドローンは、軽く100万円を超える。高額なドローンは、入門用の機体と比べて何が違うのか。その差から、ドローンが持つビジネスの可能性について紹介していこう。


ドローンの性能で重視されるのは飛行の安定性と積載重量

 DJIのMatrice 600シリーズは、主にプロフェッショナル向けの空撮用ドローンとして開発された。その主な仕様は、6つのプロペラと6個のバッテリーを装填し、最大で40分のホバリングができる。ペイロードと呼ばれる積載重量は、組み合わせるバッテリーによって5.5kg〜6kgまでとなっている。重いカメラ機材を取り付けると、ホバリングの時間は16分〜18分と短くなる。重い機体を浮上させるために、プロペラの回転数が速くなるため、必然的にバッテリーの消費も速くなる。飛行時間の短さは、空気抵抗を利用して翼の揚力で飛ぶ飛行機に比べて、プロペラの力だけで飛行するドローンの宿命なのだ。そのため、プロフェッショナル用ドローンの市場では、この積載重量と飛行時間を含めた操作の安定性が、機体の性能を評価する重要な基準となっている。この性能の高さが、価格に反映されている。

プロフェッショナル空撮や産業用途向けに開発されたMatrice 600

空撮映像を追求すれば高性能なドローンにたどり着く

 Matrice 600シリーズでは、最大で15.1kgになる機体を飛行させるため、PhantomやInspireよりも高価な部品を組み合わせている。また、機体の位置を測定するGPSにおいても、最大で3個を組み合わせて高精度な飛行ルートを指定できる。そして、5.5kg〜6kgのペイロードによって、DJIのZenmuseやRoninなどの高性能なカメラを取り付けるためのジンバルを装着できる。さらに、ドローンの機体とカメラやジンバルをコントロールするためのリモコンが別々に提供されるので、一人が操縦に専念し、もう一人が撮影に集中できる。実際に映画製作のようなプロフェッショナルの現場では、Matrice 600シリーズを複数名のオペレーターとカメラマンで手分けして空撮するのが当たり前となっている。ドローンによる空撮が一般的になる前の映像製作では、クレーン車を使ったり、イントレと呼ばれる高い足場を組んだり、セスナやヘリコプターをチャーターして撮影していた。それらの撮影予算に比べれば、100万円のドローンは繰り返して使うことを考慮すれば、安価な投資になる。
 実際、2016年に公開されたINFERNOという映画でも、フィレンツェの街並みをドローンで空撮した映像が効果的に使われ、イタリアの警察が主人公を探索するためにドローンを飛ばすシーンなどがある。今では、多くの映像制作の現場でドローンを使った空撮が行われているが、映像のクオリティを追求すれば、高性能なカメラを使う必要があり、それに伴って100万円を超える高性能なドローンが必要なのだ。

空撮から進化して薬剤の散布や物流が期待されるドローン

 Matrice 600シリーズの5.5kg〜6kgというペイロードは、空撮用ドローンとしては高性能な機体になる。しかし、産業用ドローンでは、さらに多くのペイロードと飛行時間を求めている。その需要の一つが、これまで無人ヘリコプターで行われていた田圃への薬剤散布。操縦が難しいヘリコプターに代わって、ドローンならば短時間の講習を受けるだけで、専門業者だけではなく農家でも飛ばせるようになる。すでに、昨年からドローンによる薬剤散布をビジネスにする事業者が登場し、個人でドローンを所有する農家も出てきた。この分野では、5kg〜10kgのペイロードがある300万円前後のドローンが活躍している。例えば、TEAD(テッド)社のMulsan DAX 04というドローンは、最大離陸重量が27kgありペイロードは15kgで、10分〜15分の飛行が可能。4つのプロペラで高い飛行性能を出すために、高価な部品を組み合わせ国内で生産していることから、高額なドローンになる。

 もう一つ、需要の期待される分野が物流。10kg〜15kgの荷物を数十キロメートル先まで飛ばすことができれば、トラックと人手に頼る物流の市場が革新されると注目されている。ただし、物流に関しては研究と実験が中心で、まだ実用化には至っていない。将来的に物流用のドローンは、個人で操縦するというよりも、オートパイロットと呼ばれる自動航行によって輸送の効率を高めていく。
 空撮、農業、物流と並んで、ドローンが仕事で使われて収益につながっている分野が「測量」になる。測量用のドローンは、空撮用の仕組みを応用したもので、ドローンのスクールに通ってパイロットの資格を取る人の多くが、測量や関連する産業に従事している。そこで次回は、ドローンをビジネスにしている人たちの使い方から、操作や活用例などを紹介する。

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Matrice 600 Mulsan DAX 04 TEAD

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