特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(5)  ドローンをビジネスにしている人たち

特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(5)  ドローンをビジネスにしている人たち

ドローンを飛ばしている人は、大きく二つに分かれる。一つはホビーで楽しむ人。もう一つはビジネスにしている人。趣味ではなく仕事でドローンを飛ばす人たちは、どんな仕事でどのくらいの収入があるのか、気になるところだ。


ドローン空撮の料金はピンからキリまで

 ドローンを仕事にしている人と聞いて、最初にイメージするのは空撮カメラマンではないだろうか。最近では、ドローンでの撮影をウリにした観光番組も増えてきた。またテレビCMや映画に各種のプロモーション動画でも、ドローンによる空撮映像を目にする機会が増えている。それだけドローン空撮が増えているということは、需要も多く産業としての地位を確立しつつある。そこで気になるのが、空撮の料金。空撮代はドローン操縦者の収入に直結する。撮影の単価が分かれば、これからドローン空撮をビジネスにしようと考えている人にとっても、収益の目安となる。そんなドローン空撮料金だが、ネットで調べてみるとピンからキリまである。インターネットで検索してみると、「ドローン空撮2万円〜」という広告があれば、「基本料金30万円〜」という価格まである。もちろん、その中間の価格帯もある。これだけバラバラな理由は、ドローン空撮という産業の基準がなく、対応する事業者も独自の値付けをしているからだ。実際のところ、ドローン空撮の映像クオリティにもピンからキリまである。それは利用するドローンの機体とカメラ、そしてパイロットの腕前に比例する。ドローンの機体に関しては、以前の記事で紹介しているように、10万円代の安価なものから100万円を超える高級品まである。機体の価格の差は、搭載できるカメラの差となる。カメラが違えば、撮影される動画や静止画のクオリティにも優劣が出てくる。「基本料金30万円〜」というドローン空撮の場合には、キャノンのEOS 5DMark3という高性能なデジタル一眼レフを利用している。それだけ高性能なカメラを搭載するドローン本体となると、やはりDJIのMatrice 600クラスになり、機材の総額だけで150万円を越える。この設備投資を回収しようとすれば、自ずとドローン空撮の料金も高くなる。反対に、Phantom 4クラスのドローン空撮であれば、2万円でも数で稼げる。ちなみに、DJIのInspireクラスのドローン空撮となると、およそ10万円前後の価格が一般的だ。

手頃なドローンで安価な空撮サービスを提供する個人も出てきた

ドローン空撮をビジネスにするのは技量と人脈が重要

 約50万円を投資してInspire 2を購入し、一回10万円でドローン空撮を請け負うことができれば、5回の仕事で投資を回収し、そこから先は丸儲けになる。そう考えると、美味しいビジネスのように思われるが、現実はそう甘くはない。そもそも、10万円の撮影料を払ってくれる依頼主を探すのが大変だ。ドローン空撮を必要としている産業は限られる。主に映像製作の現場となるので、テレビ局や製作プロダクションなどの人脈がないと、継続的な仕事を得るのは難しい。早い時期からドローン空撮をビジネスにしてきた個人や事業者の場合には、その活動そのものが映像製作の関係者の目に止まり、受注に結びついている例が多い。中には、映像製作プロダクションがドローンを購入して、社内のスタッフが操縦を覚えて飛ばしていたりする。そのため、よほどの技量か人脈がないと、高い収益につながるビジネスに成長させるのは難しい。それでも、ドローン空撮の需要は今後も増えていくと考えられる。その一方で、飛行機やヘリコプターを使った空撮は激減していく。ヘリコプター空撮は、飛ばすだけで1時間に10万円以上の料金がかかる。そのチャーター料に加えて、カメラマンや機材のコストがかかるので、総合的に比較するとドローン空撮は安上がりなのだ。

300万円以上の高性能なカメラを搭載したドローン。空撮の価格はカメラの性能で大きく変わる。

空撮を応用した測量で収益を上げる事業者が増えている

 「空から映像を撮る」という作業そのものに違いはないが、空撮ではなく測量の分野では、ドローンをビジネスにしている事業者が増えている。三脚に取り付けた望遠鏡のような道具で基準点までの距離と角度を求めて計算する三角測量に比べて、ドローン測量は時間と人手を大幅に低減できるので、数十万円の料金でも充分な価格競争力がある。特に広い範囲の測量となると、ドローンによる空からの測量は効果的だ。ドローン測量の基本は、空から撮影した画像を専用のソフトウェアで解析して、地形図をデータ化したり、3次元の立体的なCGに加工する。そこから得られたデータを元に、建設機械を制御したり、建築や土工の過程を克明に記録していく。そのため、ドローン測量は空撮のような一回限りの仕事ではなく、工事が続く限りは定期的に需要がある。最近では、カメラではなく3次元の点群データを収集できるLiDARという高性能な計測器を取り付けたドローンで、一回の飛行で100万円を稼ぐ事業者もいる。もちろん、それだけのドローンと機材になると、投資額も1千万円を越える。それでも、国土交通省が推し進めるi-Constructionが追い風となり、ドローン測量は確実な成長を続けている。

測量のためにパッケージされたドローンも販売されている

今後は点検と農業がドローン活用の新たな市場

 ドローン空撮が応用できる産業分野として、インフラ点検と精密農業が、新たな市場として期待されている。高速道路や橋脚にトンネルなど老朽化の心配される各種のインフラ施設をドローンのカメラで撮影できるようになれば、コストの削減になり従来は見落とされていた箇所も定期的な点検が可能になる。ただし、実際に点検を行うためにはドローンが非GPS環境で正確に飛行する性能が求められる。そのため、Phantomを買って飛ばせばいい、というものではなく、ドローンの飛行制御に関する技術革新が重要な鍵を握る。
 もう一方の農業は、新潟市が農業特区を利用してドローンによる稲の生育調査を行ったように、植生の成長を点検するドローン空撮への期待が高まっている。新潟市の他にも、ドローンジャパン社が固定翼のUAVにマルチスペクトルカメラを搭載して田圃をスキャニングしているように、より高精度な光波を空撮して植物の生育状況を分析する取り組みも進んでいる。
 個人の趣味で飛ばすドローン空撮も十分に楽しいが、今後のドローンは産業分野で活用される機会が増えてくる。計測や点検といった分野のドローンでは、レースや空撮映像のような高度な操縦テクニックは要求されない。趣味でドローンを操縦している人も、将来的にはその技量を活かして産業用ドローンを飛ばす仕事に従事する可能性もある。
 次回は本連載のまとめとして、これからの産業用ドローンがどのように発展していくのかを展望する。

搭載するカメラの種類を替えると精密農業などに応用できる

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