特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(6) これからのドローンは二極化の波

特集・ドローンの『ド』〜これからはじめるドローン(6) これからのドローンは二極化の波

趣味で飛ばすか、仕事で飛ばすか。どちらにしても、これからのドローンは二極化の傾向にある。その進化の方向を知っておくことは、これからドローンを飛ばし始める人にとって、どのように楽しむか、暮らしや仕事に役立てるか、何かの問題を解決する一助となるのかなどを考えるきっかけになる。


産業用ドローンはプログラムで自動的に飛ばす時代になる

産業用ドローンはコントローラーではなくソフトウェアで飛ばす

 今回の特集記事の中で、ドローンを飛ばすための技能は5分で習得できると解説してきたが、産業用ドローンではプログラムで飛ばす自動飛行が主流になりつつある。例えば、DJI製のドローンの一部も、GS Pro (Ground Station Pro)というiPad用アプリを使って、機体の自動飛行を実現している。

DJI製のドローンを自動飛行させるGS Pro (Ground Station Pro)というiPad用アプリ

 またフライトコントローラーにArdupilotというオープンソースを採用しているドローンの多くは、Mission Planner というソフトウェアを使って、自動飛行が可能になる。産業用ドローンが、アプリなどを使って飛行の自動化を推進している理由は、「空のイメージスキャナ」としての正確性を追求しているからだ。人の操縦によるドローンの飛行は、パイロットの技量による誤差が生じやすい。決められた区画を正確に飛行するのであれば、人がコントローラーを操作するよりも、GPSの位置情報を計算して自動飛行させる方が、効率が良くミスも発生し難くなる。ただし、現在の航空法では完全な自動飛行には、特別な許可が必要になる。そのため、実際の現場では常に手動に切り替えられる状態で、操縦の資格を持つパイロットが待機していなければならない。近い将来、ドローンの自動飛行を制御する技術の信頼性が向上し、航空法の規制が緩和されていけば、もはや飛行の現場にドローンの操縦者が立ち会う必要がなくなるだろう。その理想が実現した未来では、ドローンが自動的に格納庫などから離陸して、指定された区画の状況を空からスキャニングし、そのデータをクラウド経由でオフィスや自宅にいるユーザーに転送してくれるようになる。

Ardupilotというオープンソースを採用しているドローンに対応するMission Planner

物流用ドローンが目指すのは完全な無人飛行

国内の物流メーカーもドローンの活用を検討し始めている


 ドローンの産業用途として期待されている分野に物流がある。5kg〜10kgのペイロードを備えたドローンであれば、ある程度の荷物を「空輸」できるからだ。そんな物流用ドローンも、完全な無人飛行を目指している。なぜなら、物流業界の人手不足と配送コストの低減に、ドローンによる物流が解決策になると期待されているからだ。そのためには、完全な無人化による低コストな空輸を実現しなければならない。その理想には、ドローンそのものの技術的な進化に加えて、法整備や新たな安全基準の策定など、解決しなければならない課題も多い。それでも、日本が抱える少子高齢化という大きな社会問題を解決するための一助として、ドローン物流の実現に取り組んでいる企業や団体は多い。もしも、物流用ドローンが現実のものとなれば、それは日本の社会問題を解決するだけではなく、「ドローン空輸」というソリューションそのものを輸出産業として発展させる機会にもなる。すでに、米国の大手物流メーカーのアマゾンは、ドローン物流が実現できる将来を予測して、そこで必要になる特許を数多く取得している。

日本では楽天がドローン物流に取り組んでいる

 もう一方の物流用ドローンが目指しているのは、緊急物資の空輸だ。災害時の救命物資にワクチンや血清のように、緊急を要する物資を交通網が分断された地域に届けるために、マルチコプターやVTOL型UAVの活用が模索されている。一般的な物流に比べると、運ぶ物が軽く、ある程度のコストは度外視できるので、国内でも離島や過疎地への空輸を検証している事例もある。またアフリカやアジアなどで、道路などのインフラが整っていない地域でも、ドローン空輸に取り組んでいるベンチャー企業もある。

アフリカでもドローンの活用に積極的な国が増えている

空撮用ドローンの用途は二極化が進む

 産業用ドローンの自動化が進む中で、空撮用ドローンの用途は二極化が進むと予測している。一方は個人が趣味で楽しむ空撮の市場。安価なセルフィー ドローンの登場によって、空撮自撮りの需要も拡大すると思われる。新型のドローンには、自動で迫力ある空撮映像を撮影するプログラム機能も備わっているので、複雑な操縦を覚えなくても手軽に楽しめる。旅の記録や思い出創りにドローン空撮を残す人は、増えてくるだろう。

撮るだけの空撮から社会課題の解決につながる空の目になるドローン

 もう一方は、映像製作だけではなく監視や捜索といった需要の拡大。すでに山岳救助などでの利用は検討されているが、東尋坊のNPO法人がドローンを使った見回り活動を行っている事例もある。空撮を映像作品として楽しむのではなく、「空からの目」として活用する取り組みだ。人の目が届かない場所を「空撮」して、新たな発見や予防などの問題解決につなげる。これまでにも、大きな災害が発生すると、地元の自治体や警察・消防などと防災協定を結んでいるドローン事業者は、要請に応じて災害現場の状況を「空撮」してきた。今後は、こうした活動がNPO法人や民間ベースでも広がり、より身近な問題の解決に「空撮」を活用していくだろう。

ドローンの可能性は使う人の熱意にかかっている

 これからドローンをはじめるのであれば、操縦に慣れて思い通りの空撮を楽しむのもいいだろう。その上でさらに「空からの目」を仕事や地域のために活かせるようになると、自分にとっても社会にとっても有意義な活動につながる。そのためには、スクールに通って法規制や飛行ルールなどを一から学ぶのも役に立つし、地元のドローン関連団体に参加するのも新たな一歩につながる。飛ばすだけならば5分で操作を習得できるドローンだが、その「空からの目」をどのように趣味や仕事や社会に活かしていくかは、ドローンの可能性を広げる価値ある取り組みとなる。

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