長野・伊那市での物流用ドローンポート実験 飛行中の「異常感知」で今回は続行断念

長野・伊那市での物流用ドローンポート実験 飛行中の「異常感知」で今回は続行断念

 ブルーイノベーションと東京大学が11月13日に行った物流用ドローンポート実験で、ドローンが実験中に異常を感知し飛行を中止した。実験チームはこれを受けて実験継続を断念した。日程を再調整し仕切り直す。実験機は異常感知時に自動でパラシュートを開き、着水時にはフロートも作動。初めて実験環境以外で安全装置の発動を確認した。


6回の事前準備では郵便局と道の駅で精密に着陸

朝のリハーサルは、上空でGPSの誤差を自動で修整してポートに無事に降りてきたPF-1=11月13日午前、長野県伊那市の「道の駅南アルプスむら長谷」

 実験は長野県伊那市で、日本郵便、自律制御システム研究所(ACSL)、NTTドコモ、長野県伊那市の協力を得て行われた。伊那市長谷地区の美和郵便局と、「道の駅南アルプスむら長谷」との間の約2キロをドローンが自動で航行し、精密な着陸の可否と、物流サービスの実用化の可能性を探ることを目的としていた。
 想定していたのは、郵便局員が郵便局に待機しているドローンの容器に注文票を入れると、ドローンが道の駅まで自動で飛行し〝買い出し〟に行くストーリーだ。道の駅では、敷地の一角に設置してあるドローンポートに、郵便局から飛んできたドローンが正確に着陸する。道の駅の店員がドローンの容器に入れてある注文票を見て、商品を乗せると、再び郵便局に戻り、郵便局で荷物を受け取る。前日には5回、当日も直前に1回、実験を実施していて、想定通りに往復していた。

ドローンポートに降りてきたドローンを回収するスタッフ。

パラシュート、フロートが作動 安全装置の作動、実験環境以外で「初めて確認」

 ただ、関係者や報道陣が集まって行われた実験のお披露目では、ドローンは郵便局を離陸し高度70メートルまで上昇し、時速40キロほどの速度で進み始めて2分ほどたったころ、搭載したセンサーが異常を感知する反応を示した。実験で使われたACSLのドローン「PF―1」は危険を感知すると飛行を中断し、急降下しないようパラシュートが開いて降りる安全対策プログラムが搭載されている。今回の危険感知でも、ドローンは飛行を中止し、パラシュートを開いて降下した。
 郵便局と道の駅の間の飛行ルートは、安全面を考慮してほとんどを、湖の上だ。ドローンが異常を感知した場所も湖の上空だった。実験機にはその場で降下し、湖に着水した。ドローンには水にもぐるとフロート(浮き袋)が自動で開く仕組みも搭載されていて、この日も湖面に着水し、沈みかけたところでフロートが開いた。
 実験機は、実験機を見守るためにボートで追尾していたスタッフが回収した。
 実験の様子を道の駅で見守っていたACSLの野波健蔵CEOは「ドローンが関知した危険が何かについては、現時点では不明なため、今後調査をする。ドローンは危険を感知するか、機体が55度傾くとパラシュートが開くなどの安全装置が働くようになっていて、実験では何度も確認していた。しかし、安全送致を実験する環境以外で発動したのは今回が初めて」と話した。
 物流用ドローンポートの実験にあたって、実験チームは予備のドローンも待機させていており、予備機での飛行実験も済ませていた。しかし、関知した危険の実態が解明できないままでの実験継続は困難と判断、継続を断念した。
 ブルーイノベーションの熊田雅之専務は、「集まっていただいたみなさんに物流用ドローンポートを用いて、実際のサービスに近い形での飛行をお見せできなかったことが大変残念で、申し訳ない。原因を究明したのち、再び伊那市で実験したい」と無念の色をにじませながら、再挑戦の決意を語った。
 伊那市はドローンの実験を受け入れることに積極的で、10月中旬には、ドローンの最新技術を持ち寄る「ドローンフェス」を開催している。今回は、物流用ドローンポート実験のお披露目は実現しなかったものの、事前に6回の飛行をしていることや、思わぬ形で機体の安全装置発動が確認できたことなど、得られた知見は大きく、伊那市が実験会場を提供している意義を再確認できたともいえそうだ。

実験途中でパラシュートが開いた経緯などについて説明するブルーイノベーションの熊田雅之専務。

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