低高度認可および通知機能(LAANC)アプリケーションの普及
第一の予測は、低高度認可および通知機能(LAANC: Low Altitude Authorization and Notification Capability)に関するもの。FAA(連邦航空局)が発表している内容によれば、LAANCでは空域許可の申請や航空管制に必要な飛行計画を通知するシステム。LAANCに対応するアプリケーションも開発される。FAAでは、従来からの申請方式による飛行許可とは別に、FAAが承認したUASサービスサプライヤからの申請にも対応する。すでに、エアマップ社とプロジェクトウィング(ドローン配送プロジェクト)にスカイワード社などがサービスサプライヤとして承認されている。LAANCに対応したサービスサプライヤは、アプリケーションを通して得られた申請情報を元に、FAAへの自動通知と許可要求を行い、ユーザーに飛行情報を提供する。米国でUTMサービスを提供しているエアマップ社のベン・マーカスCEOは「米国では2018年中には、LAANCは国内すべての空港に対応するだろう」と予測する。
日本でも、エアマップ社は楽天と共同でサービスの提供を開始したが、国土交通省ではFAAのLAANCに匹敵する飛行申請や管理システムはない。人手に頼らないアプリケーションによる許認可システムの普及は、日本の空域を安全に管理するためにも、産業用ドローンが計画的に飛行するためにも必要性が高まると考えられる。
データが産業を牽引するためには解析技術の向上が必須
ふたつ目の予測は、ドローンで収集するデータに関するもの。様々な市場において、ドローンが収集するデータは産業の成長を加速するものの、検査や点検の市場ではデータの正確さが重要になる。エアロタスというコンサルタント会社のダニエル・カーツ氏は「2018年には、検査や点検などを行う調査員が、ドローンから実際に必要とするデータが得られることを期待するようになる」と予測する。単に飛ばして空撮するだけでは、産業が求める情報には至らない。ドローンが正確に飛行してデータを収集できるようになれば、そのデータを産業界が必要とする情報へと解析し加工し可視化するシステムやソリューションの需要が高まると予測している。
データの正確な収集と解析に対する需要は、日本でも同様に高まると考えられる。すでに、測量や点検の分野では画像の変換や解析を自動化するクラウドサービスやアプリケーションも登場しているが、実運用の面では現場で煩雑な作業が発生するケースも多い。それだけに、よりシンプルなオペレーションで実用性のある解析結果の得られるソリューションやサービスの登場が、日本の産業界にも求められている。
保守点検の分野では対策費用を低減するためにドローンのデータが活用される
太陽光発電や風力発電にダムや鉄塔にパイプラインなど、インフラ施設の保守点検の市場では、その維持管理にかかる費用を低減するために、ドローンによるデータの活用が広がると予測している。インテル社のアンリ・ナンデュリ氏は「2018年は、ドローンによって収集された膨大なデータの中から、自動的に解析して発見する技術が注目されるだろう」と予測する。
三番目の予測は、一つ前の予測と類似しているようにも受け止められるが、こちらはAIなどの活用が拡大することを指摘している。施設点検などのデータ解析が、精度を向上させるだけではなく、発見の自動化を加速すれば、ドローンによる保守点検の市場が拡大すると考えられている。