KPMGコンサルティングが取り組むドローン活用による事業変革

KPMGコンサルティングが取り組むドローン活用による事業変革

KPMGコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮原 正弘)は、テクノロジーを活用した企業の事業変革を支援している。同社は、経理業務や漁業などの産業分野でドローンを活用した事業変革(ビジネス・トランスフォーメーション)に取り組んでいる。


ドローンと画像分析で経理や棚卸し業務での活用を試験中

 オランダを本部に世界154ヶ国で事業を展開するKPMGは、世界4大会計事務所のひとつ。そのメンバー企業のKPMGコンサルティングは、ドローンを活用した事業変革やテクノロジー・トランスフォーメーションを推進してい。そのテーマは、ドローンと画像分析を用いた経理業務における活用の可能性や、漁業などの産業分野での利活用。空のイメージスキャナとして、人に代わってデータの取得を容易にするドローンは、取得した膨大な画像やセンシング・データを画像処理とAIで解析することにより、多くの発見や洞察が得られる。そのテクノロジーを応用することで、経理業務における棚卸し資産のカウントやダブルチェックに利用できないかとKPMGではデモシナリオを描いている。

ドローンと画像解析で車の数をカウントするデモシナリオ

 画像解析による車の数をドローンでカウントするために、デモシナリオでは実際に空撮する前にiPhoneのカメラを用いた実証実験を行っている。iPhoneで駐車場を動画で撮影し、オープンソースのA-KAZEでパノラマ画像に変換して、画像解析アルゴリズムで車両を検出した。このデモシナリオでは、車両を水平方向から認識したが、車を真上から撮影した画像では、学習データの不足から車両の形状を認識できなかった。

水平方向からの画像解析では高い精度で車を認識した

 ディープラーニング(深層学習)による画像解析では、どれだけ多くの学習用データを事前に習得しておくかにより、対象の認識率が変わる。デモシナリオで利用した画像解析アルゴリズムは、自動運転など水平方向での車両認識には長けた深層学習を終えていたが、上空からのデータが少ないことにより、誤検知が多くなってしまった。

車を真上から撮影した画像の認識には課題がある

 正確な解析を行うためには、検知したい資産や製品や商品ごとに学習データを用意して習得させる時間とコストが必要になる。しかし「車種」まで判別させるためには、かなりの学習コストが負担になる懸念もある。それでも、実現できれば「今まで経理で利用していない量や質のデータを経理業務に活用できる」メリットがある。また、今回のデモシナリオを一部の顧客企業に紹介したところ、経理業務での棚卸し確認だけではなく、船積みする車両や海外の工場で生産された車両のカウントなどに利用できないか、という問い合わせも寄せられた。そこで、KPMGコンサルティングでは、3段階のステップでドローンを用いた新しいデータの取得と経理業務への応用を推進していく考えだ。

3段階のステップでドローンを用いた新しいデータの取得と経理業務への応用を推進していく

漁業のデジタル・トランスフォーメーションを目指す取り組み

 日本の水産業は、経験豊富な漁師の勘と経験に依存した中小規模の経営による不安定な事業と、水産資源の管理と水揚げ高の不均衡による経済的なリスク、さらに若手人材の不足など、多くの課題を抱えている。こうした課題をドローンや宇宙技術とAIを活用して解決できないか、KPMGコンサルティングでは取り組んでいる。現段階では、まだ構想の状態にあるものの、連携型ドローンと呼ぶ複数台の機体を組み合わせた飛行とセンシングによって、衛星画像処理の技術を活用した「魚の目」の実現を目指している。

日本の水産業の課題をドローンで解決する取り組み

 しかし、日本の海洋はドローンの飛行に対して数多くの規制があり、容易に実証実験を行うことが難しい。そこで、KPMGコンサルティングでは漁業のデジタル・トランスフォーメーションを推進するために、国内ではなく海外での実践も検討している。さらに、別の部署ではマイクロソフトのホロレンズというMR(合成現実)を活用して、ベテランのスキルを動画で見ながら、構造物の点検や保守に活用する研究も進めていて、将来的にはドローンと漁業との連携も考えられる。
 KPMGコンサルティングが取り組むドローンとAIによる漁業のデジタル・トランスフォーメーションは、テクノロジーにもビジネスにも精通したコンサルティング企業ならではの発想であり、今後の動向が期待される。

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