第1回CSAJドローンプログラミングコンテストを開催(1) 工夫を凝らした3チームが挑戦

第1回CSAJドローンプログラミングコンテストを開催(1) 工夫を凝らした3チームが挑戦

一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(東京都港区、会長:萩原紀男、以下:CSAJ)は、ドローンのソフトウェア技術の向上を目的に、第1回ドローンプログラミングコンテストを神奈川県藤沢市の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で3月31日、開催した。(田中亘)


産業用ドローン市場の将来を見据えたプログラミングコンテスト

 コンピュータソフトウェア製品に関係する企業が集まったCSAJは、今後の産業用ドローン市場の成長に向けて、制御系アプリケーションの開発が重要だと捉えている。そして、自動航行や精密な制御に計測、そして情報システムとの連携を実現するためには、ドローンのソフトウェア・プログラム開発者の育成が、重要だと考えて今回のコンテストを開催した。コンテストは、約1年前にCSAJのウェブサイトで発表され、参加者を募集してきた。その結果、書類による事前の一次審査を通過した3つのグループが、コンテスト会場に集合した。3つのチーム名は、アンピドローンに株式会社理経、そして慶應義塾大学武田研究室テクノプロデザイン社。3チームは、優勝賞金10万円と、約200万円相当のVRプログラミング開発キット一式の副賞をかけて、2段階の審査に臨んだ。

参加3チームは、第1回目コンテスト優勝の栄誉をかけてコンテストに臨んだ。写真はコンテストの結果発表をする春原久徳審査委員長=3月31日、神奈川県藤沢市の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(渡辺照明撮影)

技術や独創性をアピールするプレゼン審査と2つの実技審査

 プログラミングコンテストの本選に参加した3チームは、2つの審査を経て優勝が決められた。
 最初の審査は、ドローンのソフトウェア技術や課題をクリアするための独創性などをアピールするプレゼンテーション。今回のプログラミングコンテストでは、自動航行を基本とした空撮と物流という2つの実技審査が行われる。空撮競技では、会場に設置された3つの四角柱に描かれているマーク(◎△◇)を自動航行で撮影しなければならない。会場の広さと四角柱の位置や高さは、あらかじめ競技者には伝えられている。そのデータを元に、利用するドローンの自律飛行プログラムにGPSの位置情報や飛行高度などをインプットして、全自動で飛行と撮影を行わなければならない。もうひとつの物流競技では、鉄製のパイプで組まれた障害物に当たらないようにして、対象地点に着陸して100グラムのスチレンボードを切り離し、スタート地点に戻ってくる。
 2つの競技課題をクリアするために、参加した3チームはどのようなソフトウェア技術と独創的なアイディアを発想したかをプレゼンテーションで伝えた。

開発中の機体のトラブルで市販品のドローンに切り替えたアンピドローン

 プレゼン審査に臨んだアンピドローンの河野浩之氏は、プログラミングによる自動航行を実現するために、オープンソースのフライトコントローラーを利用して、小型コンピュータのRaspberry piに距離センサーを組み合わせたオリジナルの機体を開発していた。しかし、開催日の直前で機体を大破してしまったことから、当初の計画を断念してDJI Phantom 4 Advanceの利用に切り替えて臨んだ。自動航行のソフトウェアも、オープンソースからDJIの提供するGrand Station Proに変更した。そして、同機体に自作した荷物落下アームを取り付けて物流の競技にも臨む。当初の計画では、距離センサーが地上から1メートル未満を認識したタイミングで、サーボモータを制御して荷物を落下させる予定だった。

コンテスト直前にオリジナルドローンが大破したため、機体をDJI Phantom 4 Advanceに切り替えて臨んだアンピドローンの河野浩之氏。

物流の課題クリアに間に合わなかった理経チーム

 株式会社理経チームの羽鳥竣亮氏は、DJI Phantom 3で競技に参加した。自動航行には、DJIのGrand Station Proを利用し、TAP&GOウェイポイントフライトを利用し、四角柱の上部で周回しながら、画像認識技術を組み合わせて、撮影対象のマークを判断する。技術的な工夫は、撮影した画像を白黒の二値化して、画像処理で被写体の形を認識させる点にある。一方、物流競技については、投下物を吊り下げるL字型の金具を工作し、目的の場所で金具を回転させて投下する機構を目指していた。しかし、競技日までに投下機構の開発が間に合わず、飛行のみの実技を行うことになった。

四角柱のオブジェクトを回り込んで、◎マークを撮影する理経チームのDJI Phantom 3。

ドローン・イノベーション基盤の構築に挑む武田研究室

 慶應義塾大学武田研究室テクノプロデザイン社チームの武田圭史氏は、プレゼンテーションの冒頭で、同研究室の取り組みについて紹介した。武田氏のチームでは、ドローン技術を活用したイノベーション基盤の構築に取り組み、高信頼ドローン技術の開発や技術者研修プログラム開発なども推進している。空撮競技に参加するドローンは、同研究室が独自に開発した機体で、オープンソースのフライトコントローラーを搭載している。画像処理や障害物検知などのセンサー類も独自に備え、メインモジュールを中心に相互に連携した飛行制御を実現している。機体の独自性では、当初LiDARによる障害物回避も計画していたが、実機ではGPSやソナーセンサーを中心とした高度や位置補正による飛行となった。機体は、6ローターのヘキサコプター式で、電源モジュールをセンサー類とは別系統にするなど、安全性にも配慮した設計になる。
 一方、物流競技に参加するドローンは、オリジナル機体ではなくDJI Matrice 600に積載物の切り離し機構を備えたモデルとなった。プレゼンテーションの会場では、「コストパフォーマンスに優れた機構で、実際の仕組みは見てのお楽しみにしてください」と武田氏は話し、詳しい説明は省かれた。

 3チームのプレゼンテーションが終了すると、審査委員長の春原久徳氏が競技内容の説明や採点基準などを説明し、「くれぐれも安全に配慮してドローンを飛行させてください」と注意を促した。(つづく)

慶應義塾大学武田研究室テクノプロデザイン社チームのオリジナルドローン。

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