日本から水中ドローンで米国のSXSWに参加したイノベーション企業の挑戦

日本から水中ドローンで米国のSXSWに参加したイノベーション企業の挑戦

毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト:South by Southwest)は、音楽祭や映画祭にインタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベント。最近では、スタートアップの登竜門として世界から注目が集まっている。(田中亘)


日本企業のモノづくりイノベーションを支援するVanguard Industries社

SXSW2018の会場で水中ドローンを紹介するVanguard Industries株式会社 代表取締役 山中聖彦氏

 Vanguard Industries株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:山中聖彦)は、SXSW2018で水中ドローン「Explorer Drone Concept」のコンセプトを発表した。2016年6月に創業した同社は、日本版メーカーズ・ムーブメントの実現を目指すハードウェア・スタートアップ企業。山中氏によると、そのビジネスモデルはこれまでにない独創的な仕組みとなる。製品化にあたって、Vanguard Industriesは契約先との協業において、アイディアやコンセプトの段階より、契約先企業の稟議や決済などによって製品化に要する時間や、開発に投下する資本をおさえる独自のスキームを導入していると説明する。また、同社は開発により製品化の目処が立った段階で、Vanguard Industriesが中心となってクラウドファンディングなどを用いて出資者を募り製造と販売を目指す。従来のスタートアップ事業では、投資と株式の仕組みを活用して企業のインキュベーションとIPO(Initial Public Offering:新規公開株)によるキャッシュアウトを目論んできた。それに対して、Vanguard Industriesのモノづくりイノベーションは、インターネット時代を最大限に活用したスタートアップ支援とマネタイズ(収益事業化)にチャレンジする。

会場で水中ドローンの説明をする山中氏

SXSWの水中ドローン展示で新たなビジネスのアイディアがひらめく

SXSW2018で展示した機体を手にする山中氏

 米国のSXSW2018で展示された水中ドローン「Explorer Drone Concept」は、コンセプトモデルながら基本的な操作ができるプロトタイプとなっていた。その仕組みは、ホバークラフトのように本体下部に空気を送って浮上し、後方のプロペラで推進と操舵を行う。水中ではWiFiなどの無線電波を送受信できないので、本体は水上に浮いたままで移動する。そして、目的地に到達したら本体の前面に取り付けられているカメラが、ケーブルで水中に投下される。現在のモデルでは、3〜5メートルほどのケーブルで水中の撮影を予定している。
 Vanguard Industriesでは、水中ドローンの他にも大手企業と契約して10件以上のプロジェクトを進行しているが、今回の「Explorer Drone Concept」は、自社で独自に取り組んでいるプロジェクトになる。その理由について山中氏は「水中ドローンは、我々にとってビジネスのプロトタイプとなる取り組みです。この Explorer Drone Conceptを通して、実際の製品化に向けた課題や連携などを模索していきます」と話す。大手コンサルタント企業でキャリアを積んできた山中氏の経験によれば、スタートアップで成功する企業は、世界でも5%程度に留まるという。残りの95%は、失敗するリスクを抱えている。そのリスクを少しでも低くするためには、プロトタイプによる失敗の積み重ねが重要になる。SXSW2018への出展も、水中ドローンの製品化の可能性を探る挑戦の一環となっていた。
 山中氏は「当初は、純粋なコンシューマ向けのホビー製品としての市場を想定していました。しかし、SXSWで水中ドローンに関心を示してくれた人たちの中に、水中の点検や検査などに使えないか、という問い合わせもあり、娯楽よりもビジネス向けの需要の方が、製品化の可能性が高いのではないかと考えるようになりました」と振り返る。さらに、水陸両用を想定してホバークラフト機構の開発を目指していたが、会場で水槽に浮かせるために機体下部にフロートを取り付けたところ、「水上での移動だけならば、フロート方式の方が現実的でコストもかからないのではないか」と山中氏は着想したという。SXSWからの帰国後は、クラウドファンディングでの募集に向けて、部品メーカーとの連携などを模索している。
 大阪府立大学の機械工学を学んでいた時代に、鳥人間コンテストに参加した経験もある山中氏は、卒業後はコンサルタントやビジネスデベロッパーとしてのキャリアを歩んできたが、自ら創業したVanguard Industriesを通して、日本の製造業を飛躍させるハードウェア・スタートアップを加速していく。

ケーブルで水中を撮影するカメラは本体の前面に取り付けられている

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