ゼンリンが取り組むSORAPASS戦略 〜空の地図でドローンの商用利用をサポート〜

ゼンリンが取り組むSORAPASS戦略 〜空の地図でドローンの商用利用をサポート〜

ドローン専用の飛行支援サービスを提供するSORAPASSというサイトがある。このサイトは、JUIDAとBLUE INNOVATIONとZENRINの3社が協力して運営しているサービス。このサービスの中で、飛行支援地図を提供している株式会社ゼンリンの経営企画室の深田雅之氏に、サービスへの取り組みと戦略を聞いた。


 ドローン専用の飛行支援サービスを提供するSORAPASSというサイトがある。このサイトは、JUIDAとBLUE INNOVATIONとZENRINの3社が協力して運営しているサービス。その内容は、国内でドローンを飛行させるパイロットのための情報支援や申請のサポート。2016年6月現在のサービスは、飛行支援地図の提供に、機体と操縦者とユーザー情報の登録、そして飛行申請に関する書類作成などのサポート。このサービスの中で、飛行支援地図を提供している株式会社ゼンリンの経営企画室の深田雅之氏に、サービスへの取り組みと戦略を聞いた。(DRONE TIMES 田中亘)

株式会社ゼンリンの経営企画室の深田雅之氏
(C)DRONE TIMES/田中亘

地図データへの付加価値サービスで成長を続けるゼンリン

 ゼンリンの創業は古い。1948年に別府市の観光地図を製作するために、前身となる善隣出版社が設立された。やがて、1967年にマイクロフィルムを利用した住宅地図を製作し、1982年には地図情報のデジタル化に着手した。翌1983年に社名を現在のゼンリンに変更し、1986年には地図情報のデータベースとソフトウェアを発表している。さらに1988年に、世界初となるGPSカーナビゲーションシステム専用ソフトを開発し、現在に至るまで、多くのカーナビがゼンリンの地図データを利用している。また、Google Mapを利用すると、その地図データの提供元としてZENRINの名前が表示され、スマートフォンやタブレットなどでも、多くの人たちがデジタルマップを利用している。ちなみに、地図といえば、国土地理院の製作しているものがある。しかし、国土地理院の地図は、基本的な地形と道路と地図記号などが記載されたもので、詳細な情報は登録されていない。それに対して、ゼンリンの製作する地図データは、国土地理院の地図を基本として、その上に建物や住宅に交差点名や施設名など、詳細な情報が付加されている。その結果、国内を代表する電子地図として、カーナビをはじめ数多くのサービスで利用されている。そのゼンリンが、ドローンに向けた本格的な地図サービスを開始した。その背景について、深田氏は次のように話す。
 「約二年ほど前に、私は国土交通省に出向していたのですが。そこで、ドローンに対する多くの話を聞いていました。そして、ドローンが様々な社会課題の解決に活用できるという可能性を知り、弊社としても商用ドローン活用の一助になる地図情報を提供できないかと考えて、SORAPASSの前身となる地図サービスの開発を開始しました」
 飛行支援地図サービスの開発は、2015年8月に改正航空法が国会で可決されたのを受けて、翌月からスタートしたという。そして、改正法が12月に施行されると、2016年1月から試験的なサービスの提供を開始した。
 「2016年5月25日から、日本初のドローン向け情報支援サイトとなるSORAPASSのサービスが本格的に始動しました。試験運用の段階では、約1万人のユーザー数でしたが、本サービスを開始すると2.5倍の2万5千人の登録数になりました」と深田氏はSORAPASSの現状を語る。

SORAPASSが提供する飛行支援地図の例

SORAPASSの代表的な3つのサービス

 SORAPASSのサービスは、大きく3つに分かれる。一つは、ドローンを飛行させる地域に関する情報を提供する地図の支援サービス。改正航空法などで規制されているDID(人口集中地区)や飛行場に、重要施設などの飛行禁止区域が、ゼンリンの電子地図に表示される。この地図を参考にして、飛行したい地域で申請がひつようかどうかを判断できる。二つ目は、情報の管理。登録者の基本的な情報だけではなく、使用するドローンの機体情報に操縦者の情報を登録できる。これらの登録情報は、三つ目のサービスとなる飛行申請と連携して、入力の省力化につながる。その飛行申請サポートは、SORAPASSの有料サービスになる。必要な項目を入力して、申請書類だけをPDFで出力する基本サービスと、行政書士に依頼する申請代行サービスが用意されている。
 「飛行申請は、一つの申請につき6000円です。行政書士に依頼する場合は、個別の料金になります。初めて飛行申請をする人が、国土交通省のサイトに掲載されている情報を読み解きながら作業したところ、約30時間ほどかかった、と聞いています。それに対して、SORAPASSの申請サービスならば、数分で必要な申請書類を作成できます」と深田氏は利点を話す。
SORAPASSは、安全なドローンの飛行をサポートするためのサービスを目指している。そのため、現在の内容は第一弾にあたるという。
 「目標は、3年間で10万会員です。そのためには、さらなるサービスの充実を計っていきます。例えば、ドローンに関するスクール情報を提供したり、損害保険の案内や、飛行場の紹介など、商用ドローンをより安全に安心して飛ばせるための情報提供を行う計画です。将来的には、日本のドローンのパイロットすべてが、登録するサイトになることを願っています」と深田氏。

SORAPASSのサービス内容

2018年を見据えた戦略的な展開を推進

政府は、先ごろドローンの運航管制システムを2018年に導入する方針を明らかに(http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160624/mca1606240500001-n1.htm )したが、ゼンリンではさらにその先の2020年のロードマップを見据えた展開を推進している。
「2020年には、物流などを中心にドローンが都心部をビュンビュンと飛び交うようになると予想しています。そのためには、運航管制システムはもちろんですが、3次元の電子地図が必要になるでしょう。当社では、全国で1000名を超えるスタッフが、日々、地図データのメンテナンスを行っています。その一環で、3Dデータの収集も始めています。現在のSORAPASSが提供している地図データは2次元ですが、2020年を見据えたときには、ビルや橋などの構造物を含めた都市部の3次元マップが、必須となるでしょう。そのための準備に今から取り掛かれるのは、国内でも当社だけだと自負しています」と深田氏は語る。

ゼンリンの3次元計測車の例

これから進化を続けるドローンは、2020年までに完全な無人飛行を実現すると予測されている。そのときに、安全で正確な飛行のためには、平地だけではなく3次元の空のマップが必要になる。ゼンリンでは、その未来を見据えて、すでに戦略的な取り組みを開始している。
(DRONE TIMES 田中亘)

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