太陽光パネルをドローンで検査する新サービス 〜エナジー・ソリューションズのIR検査サービス〜

太陽光パネルをドローンで検査する新サービス 〜エナジー・ソリューションズのIR検査サービス〜

2010年に設立されたエナジー・ソリューションズは、太陽光発電システムを中心にしたエネルギーマネージメントに関するソリューションの開発とサービスを提供するベンチャー企業。創業当初から、航空写真によるソーラーシステムの設置診断サービスを提供し、遠隔監視によるソーラーモニターを家庭向けや産業用に展開している。


代表取締役の森上寿生氏は、2009年までマイクロソフトで業務執行役員などを勤め、IT業界にも精通した人物。同社は、2016年8月から、ドローンとクラウドを活用した新たなソーラーモジュールIR検査サービスを開始する。

ソーラーモジュールに発生するホットスポットという問題

「当社の提供するソーラーモニターは、全国で約3000箇所の太陽光発電所を監視しています。太陽光発電所の中でも、メガソーラーと呼ばれる大規模設備では、20年間は発電所としての設備を維持して運営していかなければならないので、メンテナンスが重要な課題となっています。具体的には、発電に使われるソーラーパネルのモジュールに不具合がないかを定期的に検査しなければなりません」と森上氏は太陽光発電所の抱える課題について説明する。
2015年9月に、総合資源エネルギー審査会が、太陽光発電所設備の点検と保守に発電量計測の義務化を了承したことで、今後は発電に利用するソーラーパネルの定期検査が必須となる。
「現在のソーラーパネルの点検は、熟練者が地上から赤外線カメラで撮影するか、航空測量による空撮が中心です。撮影後に、赤外線画像を解析して、『ホットスポット』と呼ばれる温度が異常な箇所を発見します。そのため、メガソーラーと呼ばれる大規模施設では、1万枚のソーラーモジュールの検査に、4日ほどの時間と70万円を超えるコストがかかります。さらに、人手による画像解析では、『ホットスポット』を見落としてしまう懸念もありました。こうした課題を解決するために、ドローンを活用できないかと考えたのです」と森上氏はサービスを開発した背景について話す。

ドローンとクラウドを組み合わせた革新的な点検サービスを開発

ドローンに赤外線カメラを取り付けてソーラーパネルを撮影して点検するサービスは、すでに国内でも何社かが提供していた。しかし、エナジー・ソリューションズでは、既存のドローンによる点検サービスには課題があると捉えていた。
「先行していたドローンによるソーラーパネルの点検サービスは、パイロットがドローンを手動で操縦して、赤外線カメラでソーラーモジュールを撮影していました。そのため、熟練したパイロットによる安定したドローンの飛行が求められ、撮影した赤外線画像の解析も、人手に頼る部分が多かったのです。これでは、3000箇所もあるメガソーラーに安価で効率の良い点検サービスを提供できません。そこで当社では、ドローンの飛行から画像解析までを自動化するソリューションを開発することにしました」と森上氏は独自の取り組みについて語る。
インターネットやクラウドを活用したソーラーモニターというソリューションを開発してきた同社にとって、赤外線カメラで撮影した画像をクラウドに登録して自動的に解析するシステムの開発は、それほど難しくはなかった。むしろ、問題となったのはドローンを自動的に飛行させる方法だったという。
「ドローンの機体開発にあたっては、当社が参加しているセキュア・ドローン協議会のメンバーに相談して、安定した飛行と完全に自動化されたフライトを実現する技術のアドバイスをもらいました。その結果、機体はエンルート社を採用し、3D Robotics製のフライトコントローラを搭載しました」と森上氏はドローンについて説明する。
エンルートに設計と開発を依頼した検査用のドローンには、FLIR Systems製の赤外線カメラを取り付け、飛行中も撮影画像を電波でモニターに表示する。カメラの解像度は、640x512画素で動画も記録する。撮影した赤外線画像には、温度データも記録されているので、熱画像解析が可能になる。
「当社の開発したソーラーモジュールIR検査システムは、特許出願中です。その最大の特長は、ドローンで撮影した赤外線カメラのデータをクラウドに登録するだけで、短期間にモジュール検査報告書を作成できる仕組みです。ドローンは、ドローンステーションという制御用プログラムを使って、あらかじめ撮影するソーラーモジュールの範囲を正確に指定できます。点検範囲の指定では、衛星画像だけではなく、ソーラーモジュールの図面を重ねあわせて、正確にどのパネルを撮影したのかを記録できるようにしています」と森上氏は自動化の優位性を話す。
約1万枚のソーラーパネルが設置されているメガソーラー発電所であれば、高度25mの位置から秒速3mで正確に飛行して、約10分で撮影を完了するという。機体のバッテリーは、約20分の飛行時間を維持できるので、一度のフライトで記録できる。

パイロットの資格と機材を整えてフランチャイズ制度を展開

「当社の自動化されたドローンによるIR検査は、従来の点検方法と比較して、コストで約1/3の削減になるだけではなく、撮影から報告書の提出までの時間も、最短で1日で完了します。2016年8月からサービスを開始するにあたって、現在は社内のスタッフへの教育や運用ルールの作成を行っています。また、将来的には、機体も含めた検査システムそのものを全国にフランチャイズ展開していく計画です。メガソーラーを建設し運用している地域の事業社と協力して、JUIDAの資格を持つパイロットの育成や、ドローンステーションの操作方法の習得など、必要な技能を身につけてもらい、各地元でソーラーモジュールIR検査サービスを提供してもらえたいと考えています」と森上氏は展望を語る。
すでに、必要な資格と人材育成を終えた何社かが、具体的なソーラーモジュールIR検査サービスの展開を計画しているという。

(DRONE TIMES 田中亘)

エナジー・ソリューションズ株式会社
http://www.energy-itsol.com/index.html

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