ドローンジャパンが軽井沢でArduPilotの成果発表会を開催(3)

ドローンジャパンが軽井沢でArduPilotの成果発表会を開催(3)

7月21日。ドローンソフトウェアエンジニア養成塾を運営するドローンジャパン株式会社(東京都)は、軽井沢でオープンソースのフライトコントローラーArduPilotの成果発表会を開催した。プレゼンテーションの最後では、塾長のランディ・マッケイ(Randy Machay)氏が、最新の取り組みを紹介した。


輸送用無人機の仕様検討について

 三根清氏による「輸送用無人機の仕様検討について」は、自動車で採用されている社内LANのCAN-BUS(バス)を採用したドローンの取り組み。バスとは、電子制御ユニットが、相互にデータ通信を行うための電送路。ArduPilotで利用しているPixhawkには、I2C (Inter-Integrated Circuit)に、SPI (Serial Peripheral Interface)や、CAN (Controller Area Network)が用意されている。この中で、CAN-BUSは自動車内部の多重化電気配線用に設計されたもので、機器の制御情報の転送用として普及している。CAN-BUSでドローンを制御できるようになれば、機器の故障などの発見につながり、緊急対応も可能になる。そこで、三根氏はプレゼンテーションの前日まで、CAN-BUSドローンに取り組み、塾生の協力を得て制御できるようになった。

自作のCAN-BUSドローンを手にする三根清氏

本番で無事に飛行したCAN-BUSドローン。

 デモフライトは、ぶっつけ本番の飛行となったが、努力が実り無事に離着陸と移動制御が行われた。

オムニコプターのフレームを追加

 山口達也氏のオムニコプターのフレームを追加」は、これまでのドローンの常識を覆す新たな機体設計。6本のアームに対して、角度をつけたプロペラを取り付けることで、機体を傾けずに水平方向の移動を可能にする。その結果、カメラやセンサーなどをジンバル無しで安定させられるという。また、点検のようにドローンの姿勢を変えずに飛行させたい、といった用途にも利用できる。

オムニコプターを手にする山口達也氏

角度のあるプロペラが特徴のオムニコプター。

 デモフライトでは、安定した離着陸と機体が傾くことなく水平飛行を行った。現在は、プロペラの角度と制御のバランスを研究中で、実用化に向けた取り組みを加速している。

Mapping Boat & Autonomous Powerboat

Mapping Boatの底面の構造を解説するランディ・マッケイ(Randy Mackay)氏

 ランディ・マッケイ(Randy Mackay)氏による「Mapping Boat & Autonomous Powerboat」のプレゼンテーションは、ドローンではなく2種類のボート。Mapping Boatは、ボディボードの下に2つのスクリューと深度センサーを取り付けた低コストな測量用ボート。ドローンのプロペラ制御とは異なり、2つのスクリューをブルドーザーのキャタピラのような仕組みでコントロールする。例えば、直進と後進は、2つのスクリューを同時に同じ推力で回転させるが、左右に方向転換するときには、一方のスクリューの推力を調節する。また、GPSとIMUにより流れのある川などでも、一定の場所にとどまるように推力を調整できる。ただし、デモンストレーションの会場となった「馬越ゴルフ倶楽部」の池には流れがないので、実演されなかった。

今回は止水の池だったが、川の流れの中でも定位できるMapping Boat。

 二つ目のAutonomous Powerboatは、市販のホビー用ボートの中にPixhawkなどを組み込んで、プレジャーボートのようにスクリューと舵により自律推進させる取り組み。秒速8メートルという高速で進むので、自律制御の加減が難しく、問題が見つけやすく研究に向いているという。2スクリュー方式のボートと異なり、車のハンドル制御に近い感覚になる。高速時は少ない舵でカーブの弧が大きくなり、低速時は角度のある舵が必要になる。また、水の抵抗によりトップスピードに乗るまでのタイムラグがあるので、自律航行のためには、常に速度と移動量を正確に計測しながら、微妙な推力と舵の制御が必要になる。デモンストレーションでは、ドローンでも利用するミッションプランナーで描いた円周にしたがって池の中を自律航行で周回した。RTH(リターンtoホーム)機能も備えていて、最初に入水させた位置を記憶させて、自動的に帰港させることもできる。

水しぶきをあげて水面を疾走するPowerboat。

塾長も驚く塾生の成長ぶり

 一連のプレゼンテーションとデモフライトが終了すると、塾生は再び「ペンションにいみ」に戻り、マッケイ氏による総括が行われた。マッケイ氏は「嬉しい驚きを感じた」と話し、5期を終えて塾生たちが期待を超えるArduPilotのエンジニアとして成長した姿に感動していた。その中でも、ドローンの制御性能を向上させる可能性のあるCAN-BUSの取り組みを高く評価した。また、何度も機体を破壊しながら挑戦するシングルローターにも、改めて期待を込めていた。そして、今回の成果発表の中で、もっとも注目したドローンとして、山口氏の「オムニコプター」を選んだ。
(おわり)

ArduPilotの成果発表会に参加した塾生たちと塾長。

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