千葉功太郎氏、DroneFund2号設立を発表 ミニマム30億円 「暫定、世界最大規模」

千葉功太郎氏、DroneFund2号設立を発表 ミニマム30億円 「暫定、世界最大規模」

 日本を代表する個人投資家の1人、千葉功太郎氏が率いるドローン・スタートアップ特化型ファンドDrone Fundは7月31日、「Drone Fund2号」を8月1日付で設立すると発表した。ファンドの規模は30億~50億円を見込む。特化型として「暫定で世界最大級でドローン前提社会とエアモビリティー社会の創造に邁進する。


アンカーインベスターに本田圭佑氏、みずほ、KDDI、セガサミー、マブチなど

 Drone Fundは昨年6月に1号が設立。10億円規模でスタートしたが、16億円を集めてクローズ。「あっという間に使い切り」(千葉氏)今回、2号を設立することになった。ドローン・スタートアップ特化型ファンドとして2号が設立されたのは国内では初めてだ。

 Drone Fund2号では、新たにみずほ銀行、KDDI、マブチモーター創業家、セガサミー、サッカー日本代表、本田圭佑氏の個人投資ファンドKSKエンジェルファンドがアンカーインベスターとして名を連ねた。日本ユニシス系のキャナルベンチャーズ、福岡銀行系のFFGベンチャービジネスサポート、ミスルトウ、オークファン、日本アジアグループ、リバネスは、引き続き参画する。

 ファンドの規模について千葉氏は、「世界ではドローン向けの大型ファンドは3つぐらい。そのうち2号ファンドに進んだのはわれわれが最初。したがって、暫定的に世界一ではないかと思う」と説明。ただし、「暫定であることを強調しておきたい。というのは、世界的に競争が激化する中、30億円から50億円という数字は、極めて小さいと言わざるをえないから。100憶、200憶。あるいは、1000億円単位で、国家として取り組むぐらいの話。あくまでも小さな一歩」と、今後の規模拡大を展望した。

 ファーストクローズは9月30日を予定。「今回公表したアンカーインベスター以外の企業も入ってくる見込み」という。

 投資するのは「ハード、ソフト、制御システム、サービス運営会社などすべてが対象」で「完全中立全方位型ポートフォリオ」が特徴。千葉氏は「日本ドローン株式会社とでもいうような、いわばホールディングカンパニーの社長のつもりで投資している。世界で戦えるようにしたい」と述べた。

Drone Fund2の設立を発表する千葉功太郎氏

会場の竜ケ崎飛行場には多くの報道陣が駆け付けた

千葉氏「子供のころの夢の実現を」 本田氏「困りごとの解決を期待」

 千葉氏は、ドローンに対する思いが強い理由についても言及。その中で、「子供のころに触れていたSF、アニメには、空飛ぶロボット、乗り物などにあふれていました。21世紀に入ったのにその気配がない。このままでは死ぬまでに、その光景が見られないのではないか。SF社会を生きているうちに実現して、堪能したい。そんな思いから、Drone Fundは“中二病”全開で、『ドローン前提社会』を、スピード感をもって作ることをシンプルに掲げています」と述べた。

 またアンカーインベスターとして名を連ねた本田圭佑氏と千葉氏との対談動画も公開し、動画の中で本田氏は出資した背景を「これまで2年40社ほど投資をしており、投資先はファウンダーと話をして意思決定している。国内のファンドへの投資は今回が初めて。ドローンに対して期待が大きく、たとえば貧しくて道路が整備されていない国でも、めっちゃスムーズに、しかも低コストで届けられることが実現できる世の中になればいいと夢見る感覚で出資させてもらった。加えて、千葉さんがドローンにかけている熱が大きい」と説明した。

 期待するドローン像については、「安全にどこにでも飛んでいる。しかもAIが導入されていて、そのAIも今の実現可能なものではなく、たとえばドラえもんのように、話しかけたら返してくれるような、困ったらそれを解決してくれるような、ドローンであればいい。さらに、警察みたいな役割も担ってくれれば。人々が安全に、幸せに生活していくためのパートナーのような位置づけを期待したい」と語った。

西脇氏の語る空の産業革命が来る理由

 会見では、日本マイクロソフトのエバンジェリストで業務執行役の西脇資哲氏も、日本のドローン産業の可能性について説明した。この中で西脇氏は、「空の産業革命が必ず来ると信じる理由」を、段階を飛び越えて発展する「リープフロッグ現象」で解説。

 歴史的に身長よりも高い視点で俯瞰したい願望をもっており、それがピラミッド建築などにむかわせてきたと解説。しかし「車輪」が紀元前5000年に発明され、価値観を根底から覆した。車輪の発展が、先進国がこぞって道路、信号機、ガソリンスタンド、関連法を整備し、車輪前提の社会を作った。しかし今度はドローンの技術が根底から変える。ドローンの普及には、道路も信号整備も不要で、先進国が建設、維持、管理にかけてきたコストをかけずに、新たな移動手段を手に入れることができる。

 日本は車輪の台頭に伴い、自動車販売台数トップブランド、タイヤのトップヴランド、教習所の制度を持つ。ドローンでも部品レベルでは、小型モーター、小型リチウムイオン電池、CMOSセンサー、GPSアンテナなどでトップシェアだ。一気に拡大する可能栄がある、というのはこのためだ。

日本のチャンスの可能性について力説する西脇資哲氏

近未来の世界観と公式キャラクター「美空かなた」と諸江雪乃さん

 この日の記者会見では、Drone Fundが描く、来るべき「ドローン前提社会」の世界観について、イラストレーター、yamakitakumi氏によるオリジナルのイラストで紹介された。冒頭には、2023年の東京・六本木ヒルズの展望台からの風景が投影され、そこでは空にたくさんのドローンが飛んでいる様子が描写されている。千葉氏はイラストを示しながら「こういう未来をつくりたいし、それを作るのがDrone Fund2の使命です」と表明した。

 そのほか、2020年のドローンツーリズム、2021年のスマートスピーカー連動の室内ドローン、2024年のドローンネスト、2022年にナンバプレートをつけて公道を走るタイヤンのないホバーバイクなど約10種類のイラストでわかりやすく、具体的にイメージしやすい形で紹介。「ドローン近未来イラストプロジェクト」と題して、今後も毎月、公開する方針だ。

 近未来イラストプロジェクトで中心的に活躍する公式キャラクター「美空かなた」もお披露目。Drone Fund専属で、2022年、東京都墨田区に住む下町育ちの17歳の女子高生という設定だ。

 この日のために、井上真央さん主演の映画『白ゆき姫殺人事件』で主人公の中学生時代を演じたほか、ドラマ、CM、科学番組などに出演している女優、タレント、モデルの諸江雪乃さんが、「美空かなた」の姿で登場。会見では司会もつとめた。

公式キャラクター美空かなたと、イラストプロジェクトを紹介する千葉功太郎氏

美空かなたは、2022年に東京都墨田区に住む17歳の高校生という設定だ

公式キャラクター、美空かなたに扮して登場した諸江雪乃さんは司会も担当した

竜ケ崎飛行場で実物大ホバーバイク模型と、千葉氏のラッピング機も初公開

 この日の記者会見は茨城県龍ヶ崎市の竜ヶ崎飛行場で行われた。
 駐機場には、Drone Fund出資先企業であるエアリアルラボインダストリーズ(ALI)が開発した、プロペラで浮力を得るタイヤのないホバーバイクの実物大模型や、千葉氏の個人所有の練習機、米パイパーエアクラフト社製軽飛行機、PA―28-140チェロキーが待機。自家用機にはDrone Fund公式キャラクター、美空かなたのイラストがラッピングされていて、それぞれ報道陣に初公開された。

 Drone Fund出資先でもある自律制御システム研究所(ACSL)の開発した国産ドローン「PF-1」で、自立飛行による点検、物流、洗車のデモフライトを実施。千葉氏のラッピング機上空で要点検箇所を検出しながら飛行する一方、別の機体で保守部品を輸送させ、2機が同時に飛行する様子を公開した。その後、水の入ったタンクを搭載したドローンが、千葉氏の機体に接近し、ノズルから水を噴射して機体を洗浄した。

 記者会見で司会を務めた諸江雪乃さんは、ホバーバイクにまたがって実際に走る姿を再現。ホバーバイクは2022年の市販を視野に入れているという。

 その後、イラストでラッピングされた千葉氏の小型機もフライト。パイロットと千葉氏が、飛行場周辺を数回往復し、人々が空を活用する社会を印象付けた。なお、千葉氏の機体はもともと4人乗りだが、ラッピングで重量が上積みされ、現在は3人乗りだというエピソードも披露された。

 質疑応答に応じた千葉氏は、「1号組成時の手探り状態だったものが、今は肌感覚に変わってきた。エアモビリティーの推進を政府が閣議決定したように環境も変わってきた」とこの1年の変化を総括。「ハードなら中国、ソフトなら米国と言われているが、ト-タルソリューションに組み上げることが日本らしいのではないか。(トータルソリューションは)いずれ輸出できると思っている」と手ごたえを示した。

 また、今後の展望について「ドローンの定義は、陸、海、空、水中の移動体のすべてに変わっていく可能性がある」との見通しも示した。

竜ケ崎飛行場で会見のあとデモフライトにのぞんだDrone Fundの千葉功太郎氏(中央)、西脇哲氏(右から2人目)

ラッピングされた千葉氏の機体

ラッピング機がフライト

公開されたホバーバイクの実物大モック

機体を点検中に別のドローンが部品を搬送

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