東急不動産とテラドローンがドローンでAEDを一般住宅の庭先に搬送

東急不動産とテラドローンがドローンでAEDを一般住宅の庭先に搬送

東急不動産ホールディングス株式会社(東京都港区)は、東急不動産R&Dセンターとテラドローン、日本AED財団などが協力し、ゴルフ場に面した一般住宅の庭にドローンによるAED搬送実験を実施した。


郊外型住宅団地「季美の森(きみのもり)」の住宅の庭にドローンを着陸

 東急不動産HDは、テラドローンを運用主体に、東急不動産R&Dセンターとオムロンヘルスケア、ミライズキミノモリ、そして一般財団法人日本AED財団などが協力し、東急不動産株式会社(東京都港区)他が手がけた、千葉県大網白里市と東金市にまたがる郊外型住宅団地「季美の森(きみのもり)」において、ドローンによるAED搬送の実証実験を7月31日に公開した。
 テラドローンは、2016年から東急コミュニテイが管理する静岡県のエコパスタジアムで、点検用のドローンを自動航行させてきた実績がある。

https://www.dronetimes.jp/articles/662

個人の庭先で心肺蘇生を行う傍らに下りるAEDを搭載したドローン=7月31日、千葉県大網白里市(渡辺照明撮影)

 そのような関係から、「季美の森」の自治組織の一つのミライズキミノモリから「ドローンを飛ばしたい」という要望を受けた東急不動産では、テラドローンの協力を得てTerra UTMによる実証実験を開催した。
 実験にあたっては、ドローンの用途をAED搬送として、日本AED財団やAEDを製造するオムロンヘルスケアの協力を得て、従来の搬送方法との違いも検証した。今回は2つの違ったシチュエーションで実験が行われた。
 ひとつは「季美の森 ゴルフクラブ」の10番ホールのグリーン上でプレイヤーが倒れた、という想定のもとクラブハウスからDJI製 M600ドローンでAEDを搬送した。ドローンの飛行にあたっては、Terra UTMを活用し、完全な自律飛行を行った。
 二つ目は「季美の森」の個人住宅地内で住民が庭先で人が倒れたという想定で、同様にAEDをドローンで搬送した。個人の庭先にドローンが荷物を配送するのは今回が初めてとなった。

AEDを装着して離陸するドローン。

多重の安全策と電波障害で数度のリトライ飛行

 一回目のゴルフ場内におけるAED搬送飛行は、グリーン上に倒れている人(マネキン)を発見したオムロンヘルスケアのスタッフが、AED利用の手順に従って人命救助に対応している間に、ドローンでAEDを届けるというシナリオ。マネキンを発見した救命者に「AEDを持ってきてください」と依頼された人が、クラブハウスに電話をかけると、Terra UTMで自動誘導されたドローンが、AEDを載せてグリーンに着陸するプログラムとなっていた。しかし、実験は数度にわたって中断された。実験後に理由を解説したテラドローンによれば、当日はメディアや関係者が多数コース上に待機していたため、リハーサル時とは異なるルート設計をしたために、Terra UTMの安全制御がかかってしまい、飛行が中断されたという。加えて、スタッフを搬送するために、コースの横に多数のゴルフカートが駐車されていた。そのカートから発信される無線電波が、干渉を起こしてしまい通信機との送信ロストが発生したという。
 これらのトラブルをTerra UTMの再設定などにより回避したことで、数回目のリトライで無事にドローンはAEDを10番ホールのグリーンに届けた。

グリーン上に着陸するドローン。

国内初となる一般家庭へのドローンAED搬送

 二回目の飛行は、ゴルフ場に面した一般住宅の庭にマネキンを置き、ドローンAED搬送を行った。東急不動産R&Dセンターによれば、一般家庭の庭にドローンでAEDを搬送するのは、国内では初の実証実験になるという。実験では、グリーン場でも対応したオムロンヘルスケアのスタッフが、倒れているマネキンを発見し、AED搬送を依頼した。すると、一回目の実験で電波障害などの対策を行ったTerra UTMのルート設定に従って、円滑にドローンがAEDを搬送してきた。そして、マネキンから1~2mという近距離にドローンは正確に着陸した。

自動航行でピンポイントに着陸、今後迅速さが要求される救命活動に活用されることが期待される。

 実験後に、日本AED財団が計測結果を発表した。事前のリハーサルで計測された数値も含めて、一回目のグリーン上へのAEDドローン搬送では、約450mの距離を2分11秒で届けた。ちなみに、現場に到着してホバリング状態になるまでは、1分44秒で到達している。そのため、スムーズな着地が実現すれば、さらに早く届けられる。ちなみに、同じ位置までゴルフカートで人が届けた場合には、2分22秒だった。450mという距離では、ドローンもカートも大きな差はないが、より遠いホールになれば、ドローンの効果も高くなるという。
 また、一般住宅へのAED搬送は、ドローンの2分31秒に対して、消防署から救急車を想定した車で行った計測では、10分10秒の時間がかかったという。日本AED財団では、郊外や広大な運動施設など、距離や障害物が多い地域では、ドローンによるAED搬送によって、一人でも多くの人命を救助できる可能性があると期待を寄せている。
 今回の実証実験では、リハーサル時には円滑に制御できたTerra UTMによるDJI M600の自律飛行が、カートの電波障害や急なコース変更による安全制御の作動など、予期しないトラブルも発生した。今後の実用化に関しては、まったく白紙の状態だが、東急不動産R&Dセンターとしては、ミライズキミノモリが望む「ドローンで弁当を届けてもらいたい」という夢も含めて、「ひとつの未来感」をドローンを通して描くことで、住民が住み続ける楽しみや目的につながることを期待しているという。

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