MAVIC 2体験会で新型ドローンの「買い」度を確かめる(1/3)

MAVIC 2体験会で新型ドローンの「買い」度を確かめる(1/3)

DJI JAPAN株式会社(東京都)は、8月29日と30日の両日にわたり、報道関係者を集めて新型ドローンMAVIC 2の体験会を実施した。実際にコントローラーを手にして実機を飛行できる体験会に参加して、MAVIC 2の「買い」度を確かめてきた。(田中亘)


会場は木更津無人航空機試験飛行場(木更津ポート)

MAVIC 2の体験会が開催された木更津無人航空機試験飛行場

 DJIの新製品体験会が開催された会場は、東京湾アクアラインの木更津金田インターから車で5分の距離にある木更津無人航空機試験飛行場(木更津ポート)。約10,000㎡の広い飛行エリアが利用できるドローン専用の飛行場。法人向けの貸し切り運用が中心で、利用料金は1日35,000円。この会場に、DJI JAPANは特設のテントを設置し、飛行エリアを3つに分割して体験会を行った。
 体験会の参加者は、会場まで車で直接アクセスするか、品川から用意されたシャトルバスを使って訪れた。会場の特設テントには、大型モニターとパイプ椅子が用意され、体験飛行の前にDJIの中村パイロットによる新製品のプレゼンテーションが行われた。

MAVIC 2はDJIの新フラッグシップモデル

2つのMAVIC 2を手にするDJIの中村パイロット

 MAVIC 2には、ProとZoomの2モデルがある。中村氏は、最初に2台のMAVIC 2を手にして、それぞれの違いについて説明する。すでに、本サイトでも何度か解説しているが、MAVIC 2 ProはHasselbladと共同で開発した高性能なカメラを搭載したモデル。1インチのCMOSセンサーにHasselbladが独自に開発したHNCS(Hasselblad Natural Color Solution)という配色技術を装備し、これまでのDJI製品とは一線を画する高画質な空撮を実現する。ちなみに、DJIではCOMSセンサーの調達メーカーを公開していないが、HasselBladでは主にソニー製のCMOSセンサーを採用したデジタルカメラを開発してきた。そうした経緯から推測すると、HNCSを実現するためには、技術的な知見の豊富なソニー製COMSセンサーをHasselBladは選んだのではないか、と想像できる。DJIの高性能カメラといえば、Inspire用ZENMUSEシリーズのようなマイクロフォーサーズが主流だ。こちらは、オリンパスとパナソニックが策定した規格なので、CMOSセンサーの開発元も異なると推測できる。今回のMAVIC 2 Proにより、DJIの高性能カメラに新たなバリエーションが加わったといえるのだろう。
 もう一方のMAVIC 2 Zoomは、その名の通りズーム機能を備えた新モデル。CMOSのセンサーサイズは1/2.3インチと小さくなるが、24mm~48mmの光学2倍ズームとデジタル2倍ズームが利用できる。画素数は、Proの20MP(静止画サイズ5472×3648)に対して12MP(静止画サイズ4000 × 3000)と小さくなるが、9枚の画像を合成することで48MPの超高解像度写真を撮影できる。また、ドリーズームというトリッキーな望遠撮影も魅力だ。
 中村氏のプレゼンテーションでは、こうした両モデルの違いと魅力が紹介されたが、その特徴的な違いはDJIのサイトの一枚のグラフィックに象徴されている。

両モデルの違いを的確に表現したDJIのサイト

高画質を選ぶかズーム性能を求めるか

 MAVIC 2 Proの価格は、税込みで189,000円。MAVIC 2 Zooは、税込みで162,000円。カメラ性能の分だけProの方が高い。また、Proはレンズの絞りをF2.8~F11まで調節でき、10-bit Dlog-Mというカラープロファイルに対応しているので、静止画を中心に高画質な空撮を狙うユーザーであれば、少し高くても「買う」に値するモデルといえる。もちろん、動画の画質も強化されていて、10 bit HDR動画が撮影できる。ただし、MAVIC 2 Proで撮影した画像データをフルに活用するためには、対応する画像編集ソフトやPCなどの機材も高性能な仕様に揃える必要がある。例えば、筆者が所有しているPCは、まだフルHD(1920×1080)の解像度までしか表示できず、編集ソフトも10 bit HDR動画に対応していない。そのため、仮にMAVIC 2 Proを入手したとしても、その高画質を編集できる環境が整っていない。追加の投資が必要になるのだ。動画に関してはMAVIC 2 Zoomも同様で、今回のモデルからH.265コーデックに対応した4K動画を高いビットレートで撮影できる。この4K動画を編集するためには、それ相当の編集機材が必要になる。
 もちろん、そこまでの高精細な画質を求めなければ、OcuSync 2.0によって手元のスマートフォンに最大で8km(日本では5km)まで伝送されるフルHD映像を保存して、SNSに投稿したり家族で楽しむ、といったカジュアルな使い方もできる。そうした手軽な使い勝手を求めるのであれば、やはり価格が安くてズームが使えるMAVIC 2 Zoomが「買い」なのだろう。

1インチCOMセンサーによる高画質が魅力のMAVIC 2 Pro

より賢くより安全になった飛行性能

光学2倍ズームが魅力のMAVIC 2 Zoom

 中村氏のプレゼンテーションの後半では、MAVIC 2に新たに搭載された飛行モードや撮影機能が紹介された。まず、被写体を認識して自動的に追随するアクティブトラック機能がバージョン2へと進化した。走行中に山陰などの障害物に隠れた被写体の軌道を予測して、的確に追い続けるようになった。また、ハイパーラプスという空撮コマ撮りが追加され、4つの飛行方法と連動した早送り動画が楽しめる。4つの飛行方法は、フリーとサークルとコースロックにウェイポイント。中でも、ウェイポイントでプログラムした飛行ルートを活用すると、昼間と夜間にコマ撮り撮影を行い、後で編集することにより、昼夜をまたぐハイパーラプス動画を製作できる。そして、MAVIC 2 Zoomのみに追加されたクイックショットが、ドリーズームという撮影テクニック。ドリーとは、撮影現場で使われるカメラ移動用の台車の名称。ヒッチコック監督の「めまい」(1958年)という映画で、高所恐怖症の主人公が螺旋階段を登るときに、その恐怖感を演出するために用いられた撮影手法。通常の撮影では、ドリーでカメラを移動させるときには、背景が動く様子を印象付けるためにレンズのmm数は固定しておく。それに対してドリーズームでは、カメラを移動させながらズームレンズの特性を活かして、人物などの被写体の大きさを一定に保つようにレンズのmm数を変化させる。その結果、人物のサイズは変わらないのに、背景だけが遠ざかったり近づいてくるような、不思議な映像が映し出される。映像作品の世界では、登場人物の心理描写を強調したり、映画の観客に不安定な感情を抱かせる、といった演出テクニックに使われてきた。そのドリーズームをドローンで実現したのが、MAVIC 2 Zoomのクイックショットになる。
 多彩な撮影テクニックの強化に加え、安全性能も強化されている。MAVIC 2では、全方向に障害物センサーが配置され、FlightAutonomyシステムにより、障害物を検知して避ける飛行が可能になった。また、下方にLEDライトが装備されて、夜間の飛行では着陸時に点灯して着地点の様子を照らす。この安全性能だけでも、初心者が飛ばす入門用ドローンとして「買い」ではないかと思う。
 ただ正直なところ、中村氏のプレゼンテーションが終わった段階では、どちらのMAVIC 2が「買い」なのか、個人的には判断できなかった。そこで次回は、中村パイロットによる模範飛行の様子を中心に、2つのMAVIC 2を考察していく。
(つづく)

体験会では中村パイロットによる模範飛行も行われた。(詳細は次回)

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