準優勝は北海道大学
準優勝の北海道大学 自律系工学研究室は、DJI M100専用のコンパニオン・コンピュータ「DJI Manifold」を本体とシリアル回線で接続し、「DJI Onboard SDK」という開発キットを利用して、自動制御プログラムで飛行させた。その結果、飛行方法や飛行時間に障害物の回避といったポイントは、参加6チームの中でも高得点を記録した。ただ、残念だったのは着陸地点が大幅にずれてしまい、ポイントを得られなかった。この差が、優勝したチームとの大きな開きにつながった。
一方で、牛のバルーンをカウントする計数結果に関しては、参加6チーム中2位の好成績を収めた。計数ポイント数だけならば、優勝チームを超えている。好成績を出した北海道大学 自律系工学研究室の計数処理は、ドローンで空撮している最中にオンラインで計算していた。最初に、画像にエッジ処理を行い、物体検出が容易になるように加工する。次に、検出した物体をバウンディング・ボックスで囲み、あらかじめ設定しておいた牛のバウンディング・ボックスのアスペクト比と大きさから、牛以外の形状の物体を検出から除く。最後に、RGBの値より色を用いて、豚や鹿などダミーのバルーンを検出から除外する。その結果、優勝チームと同じ計数処理のポイントを得て、カウント結果も勝っていた。
ちなみに、計数結果で最高得点を獲得したのは、3位の北見工業大学Aチームだった。このチームは、飛行方法などで大きく減点されているので、利用したドローンの飛行制御が実現されていたら、あるいは優勝できたのかも知れない。
優勝チームの勝因は正確な自動飛行プログラム
優勝した旭川工業高等専門学校は、DJI M100用の飛行アプリケーションを自作している。Android環境で動作するオリジナルの自動飛行アプリケーションは、GPS情報を用いて事前に指示した指定領域を飛行する。飛行経路は、指定した飛行領域と飛行高度を画像の重なり率などで自動生成している。オリジナルのプログラミングが功を奏して、旭川工業高等専門学校のDJI M100は、離陸地点に近い位置に着陸し、準優勝の北海道大学 自律系工学研究室に対して、大きなポイント差を得た。
牛のバルーンをカウントする計数処理では、取得したRGB画像をHSV表色系へ表色変換し、緑色と黒色を抜き出して牛の候補画像を取得している。牛の候補画像に、輪郭の直線近似および四角形近似を行い、一定面積以上の領域を牛の個数としてカウントした。このチームは、競技の直前まで計数プログラムの調整に取り組んでいたが、100%の状態で画像を処理することはできなかった。そのため、計数結果では、準優勝のチームよりも低いポイントとなった。さらに、自動飛行中に領域違反があり、減点の対象となっている。それでも、自作アプリケーションによる正確な飛行制御が高いポイントを獲得し、優勝を果たした。