PwCセミナー、様々なレイヤーで活躍する企業が登場 「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ」

PwCセミナー、様々なレイヤーで活躍する企業が登場 「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ」

PwCが「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ」というテーマで、ドローンビジネスの展望、目視外飛行等の法規制緩和や留意点について行政と民間の専門家によって解説するセミナーを11月22日、開催した。


産業ドローン、補助者なしで目視外、自律飛行を実現 今後は社会実装が加速

 PwCが「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ」というテーマで、ドローンビジネスの展望、目視外飛行等の法規制緩和や留意点について行政と民間の専門家によって解説するセミナーを11月22日、開催した。
 冒頭のセッションで国交省安全部安全企画課の伊藤康宏専門官は、産官学でドローン実装社会に向けた様々な取り組みについて話した。伊藤専門官は今年11月7日に福島県南相馬市で行われた物流に関する実証実験に触れ、これはドローンが国内で初めて補助者をつけずに、目視外で自律飛行した実験だったと説明した。これにより国交省の策定するロードマップの第3フェーズ、無人地帯での目視外飛行が現実となり、第4フェーズの都市部での目視外飛行へ向けてドローンをめぐるルール作りや企業、研究機関の議論が更に活発化することは必至と見られる。
  PwCは、各国のドローンの状況について、FAA(米連邦航空局)の始めた機体の登録制度、ドイツでは60Kgの荷物を40Km輸送に成功、アイスランドでは都市部の荷物配送を約500件行い未事故だったことなど紹介した。

東京電力ベンチャーズ、ドローン物流実現にドローンハイウェイ活用へ

 今回のPwCのセミナーでは、そのような背景のの中、ドローンを実際に活用する企業者や、そのような企業のニーズに合わせた機体を開発する企業などが現在の取り組みや今後について話した。
 東京電力はZENRINと共同で東京電力の送電線を使った「ドローンハイウェイ構想」を2017年3月に発表し、これまでに多くの実証実験を行ってきた。東京電力ベンチャーズ株式会社 事業開発部ドローンハイウェイチームの斎藤 亮平プロジェクトマネージャーはドローンハイウェイを「空から見える道しるべ」と捉えているという。今年6月に埼玉県秩父市の山間部にある送電線を使って、ZENRIN、楽天と荷物配送の共同実験を行い、成功させている。この実験は片道3Kmの送電線を、安全な距離を保ちながら自律飛行させ、地元住民へドローンによる弁当の配送を成功させた。また鉄塔に設置した気象観測機器によってリアルタイムに気象状況を把握、観測機器から取得した気象状況に応じたドローンの飛行制御も実施した。今後は観測機器から得られたビッグデータを解析することで、安全飛行の高度化を目指すという。ドローンハイウェイは有人機のパイロットが送電線を熟知していることもあり、衝突リスクも回避できるとしている。

埼玉県秩父市の送電線を使ったドローンハイウェイ実証実験ルート。山間部の送電線とダム湖が組み合わせれている。(Youtubeから)

自律制御システム、ドローンを活用した産業向け無人化・IoTプラットフォーム

 ドローンメーカーとして様々な状況に対応するドローンの開発を行っている株式会社自律制御システム研究所 (ACSL)は、国交省の伊藤専門官が先に説明した日本初となる補助者なしで目視外の自律飛行を実現したドローンを担当した。日本郵便の取り組みとして開始された記念すべき初飛行では、11月7日、福島県南相馬市の小高郵便局屋上から浪江町の浪江郵便局の屋上までの9Kmを、郵便局で使うチラシや書類など約2キロの荷物をトラックだと25分かかるところ16分で運んだ。着陸はドローンポートを使って、機体側で判断し自動で行った。機体は、自然落下や機体が55度傾斜すると自動で開くパラシュートを装備し安全性を担保している。環境面でもCO2削減が期待される。

目視外飛行で荷物を浪江郵便局まで輸送、着陸する日本郵便のドローン=11月7日、福島県浪江町(代表撮影)

顧客と仕事に合わせたドローン開発

 この他にも、直径40cm〜80cmの到底人が入って目視点検することの不可能な下水道管の中を点検できるドローンを株式会社NJSと開発した。NJSでは上水道・工業用水道・下水道などの調査・計画・設計・監理及び耐震診断やコンサルティング業務を行っている。登壇した株式会社自律制御システム研究所の鷲谷聡之取締役最高執行責任者によると「仕事の内容を聞き、状況に合わせたドローンを開発」することが肝要とし、下水管のような小口径管路の調査点検に「Air Slider(AS400)」を開発、非GPSの閉鎖性空間での安定飛行を実現した。また「インフラ点検ではスタンドアローンのドローンが、現場で得たデータをクラウドに上げ、最後には自動的に点検調書を作るところまで行う一気通貫のシステムが必要とされている。ドローンは空飛ぶツールでしかない」と話した。

非GPS環境の狭小閉鎖空間で活躍が期待されるAir Slider(AS400)=7月18日、i-Construction推進展

楽天、加速する都市部への荷物配送に向けた取り組み

 ドローンを使った荷物配送を積極的に考える楽天株式会社がドローン物流で①新たな利便性②物流困難者支援③緊急時支援という3本の柱は掲げている。楽天はこれまで多くのドローン物流の実証実験をおこなてきたが、今年「ラストワンマイル」を意識した実験を行った。楽天株式会社の西村剛氏は、幕張新都心若葉住宅地区街づくりグループの代表企業の三井不動産レジデンシャル株式会社の協力のもと、10月24日、ドローンとUGV(Unmanned Ground Vehicle、地上配送ロボット)を組み合わせた自動配送の実証実験について説明した。実験は現在建設中の「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」のモデルルームおよびその周辺地域で行われた。
 楽天の専用ドローン「天空」が建物前まで配送した荷物を、コンシェルジェがUGVに積載、注文者が待つモデルルームの部屋まで自動搬送を行った。ドローンで直接配送するのではなく、UGVを組み合わせることにより、都市部配送の普及に向けた課題点や安全性が検証された。今後、都市部での社会実装に向け、有人地帯(都市部)での目視外飛行へ向けた取り組みが進める。

モデルルーム前に、荷物をドロップして自動で離陸する楽天ドローンの「天空」=10月24日、千葉県の幕張新都心、建設中の「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」のモデルルームおよびその周辺地域(田中亘撮影)

ドローン配送された荷物が、UGVによって自宅玄関まで届けられた。(田中亘撮影)

 セミナーの最後に行われたトークセッションには、パネラーとしてパイオニア株式会社、日立造船株式会社、楽天Air Map株式会社にドローンメーカーとして自律制御システム研究所の4社が参加した。
 パイオニアのマップ・ロケーション事業開発部の小川和也部長は、車載ナビゲーションシステムの技術や3Dライダーによるマッピングがドローンへも有効に転用できることを解説した。
 Hitz日立造船の機械事業本部の山口裕一部長は、準天頂衛星システム「みちびき」による高精度測位を活用した、効率的・安全な自動飛行・物流を実現するため、必要な機器・システムを開発・整備を行うことで、ドローンの各種実証を行い、制度・技術的課題に向けた検証によって事業化に向け取り組んでいると話した。
 ドローンだけでなく有人ヘリが混在する空域管理を行うUTMシステムのひとつである楽天Air Map事業開発部の宰務正部長によると、Air Mapは空域においてドローン操縦者と空域管理者の間だけでなく、その空域付近の住民にとっても安全と安心のもとドローンが飛行する環境を整備するとしている。AirMapからドローンを飛ばすと、すべてのドローン操縦者に対して無償で保険が提供される。
 自動車のナビゲーションシステムやマッピング技術、GPSと準天頂衛星システムを組み合わせた高精度制御、そして空域管理といった様々な技術が、ドローンの社会実装に向けた取り組みを後押しすることを実感させたセミナーとなった。

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