KDDIとセコムがAIスマートドローンで埼玉スタジアムの警備に成功

KDDIとセコムがAIスマートドローンで埼玉スタジアムの警備に成功

KDDI株式会社 (東京都千代田区)、テラドローン株式会社 (東京都渋谷区)、セコム株式会社 (東京都渋谷区) は、埼玉スタジアム2002 (埼玉県さいたま市) の協力のもと、AIを搭載したスマートドローンによる警備に成功したと発表した。


AIスマートドローンのスタジアム警備実証

会場に展示されていたAIスマートドローン

 KDDIとセコムとテラドローンによる記者発表会には、セコムの技術開発本部 開発センター サービスロボット開発グループ統括担当 兼 開発統括担当の尾坐幸一氏が、スタジアム警備における現状の課題について説明した。尾坐氏によれば、スタジアムでは競技を開催する期間と開催されない日では、混雑するエリアの状況が大きく変化するという。そのため、固定監視カメラによる監視には限界がある。加えて、競技未開催期間の警備コストを低減し、なおかつ警備を強化する仕組みが求められている。こうした背景から、セコムとKDDIでは異なる役割を持つドローンの組み合わせによる監視を検討した。
 「俯瞰ドローン」と呼ばれるドローンは、高い高度から広いエリアを俯瞰する。4Kカメラを搭載し、60mの高度からでも動く人物を撮影できる。もうひとつの「巡回ドローン」は、低い高度でスタジアムの周りを巡回して、人物などの対象物をフルHDカメラで詳細に監視する。この二種類のドローンを組み合わせて、自動で警備する実証実験を3社が共同で、11月28日に埼玉スタジアムで実施し成功した。

セコムの技術開発本部 開発センター サービスロボット開発グループ統括担当 兼 開発統括担当の尾坐幸一氏

独自開発のAIシステムで不審者を高所から発見するAIスマートドローン

GPUにはインテルのAIスティックを採用している

 KDDIの商品・CS統括本部 商品戦略部の杉田博司氏が、AIスマートドローンについて説明した。KDDIでは、4Kカメラで高所から撮影した画像をドローンに搭載したAIで画像解析し、不審者を特定する独自のAIシステムを開発した。実証実験の段階では、俯瞰ドローンが豆粒ほどの人物の動きを検知して、AIが不審者と判断すると、巡回ドローンが近くに移動できるように、位置情報などを4G回線を通して管制システムに伝達する。連絡を受けた巡回ドローンは、不審者の位置まで移動して、AIで人物を特定し追跡する。発見からドローンの連携と追跡までは、テラドローンが開発したLTE運航管理システを通して、すべて自動化されている。セコムでは、ドローンが発見した不審者の位置や動きなどを特定し、警備員を向かわせるなどの判断を行う。

KDDIの商品・CS統括本部 商品戦略部の杉田博司氏

電波や気象条件などを判断して自律飛行を許可

 AIスマートドローンでは、遠隔で完全な自律飛行を行うために、テラドローンが開発しているLTE運航管理システムに、ドローンのAIシステムと、飛行空域の電波状況や気象条件に3D地図を連携させるシステムを構築した。実証実験にあたり、AIスマートドローンが飛行するときに、設定された飛行ルートが建物などに衝突しないように、KDDIでは埼玉スタジアムの詳細な3Dマップも作成した。その地図情報に加えて、ウェザーニューズから得られる気象情報と、KDDIが管理するLTE通信網の電波条件を総合的に判断して、安全に飛行できるか判断する。すべての条件がクリアされると、LTE運航管理システムが遠隔操作による完全な自律飛行を許可する。
 実証実験の会場では、3台のAIスマートドローンが連携して飛行し、不審者を発見して追跡するまでを検証した。

電波と地形と気象などの条件を総合的に判断して遠隔操作の自律飛行を許可する

ドローンを活用した5G網警備を目指すセコム

 セコムでは、以前から独自に警備用ドローンを開発してきた。すでに、実店舗などで警備を行っている。しかし、スタジアムのような広域警備になると、セコムドローンでは複数の拠点にWi-Fiアンテナを施設する必要があり、その通信設備の維持管理の負担も課題となっていた。そうした問題も、KDDIのスマートドローンが提供する携帯電話網を活用することにより解決できる。セコムの尾坐氏は「5Gを活用することで、高精細な映像をリアルタイムに警備本部に伝送できるシステムの構築が容易になります。将来的には、ドローンや警備カメラに警備員が携帯するウェアラブルカメラなどを5G網で結んで、柔軟な監視システムの実現を目指します」と話す。
 KDDIの杉田氏は「来年度は、競技開催期間中のAIスマートドローンによる警備の実証実験にも取り組んでいきます。そのために、すでに小型で軽量の巡回ドローンの開発を推進しています」と今後に向けた取り組みについて説明した。

この記事のライター

関連する投稿


テラドローン、自律飛行による国内で風力発電向けサービスを開始

テラドローン、自律飛行による国内で風力発電向けサービスを開始

テラドローン株式会社(東京都渋谷区)は、ドローンによる風力発電のブレード点検サービスを開始した。


【Japan Drone 2019】KDDIとプロドローンがスマートドローンを展示

【Japan Drone 2019】KDDIとプロドローンがスマートドローンを展示

KDDIはプロドローンと共同の展示スペースに、先ごろ発表したスマートドローンの機体とソリューションを展示した。プロドローンでは、開発中の最新モデルも公開した。


テラドローン、世界約20カ国の現地法人の経営陣が出席する第1回世界サミットを開催

テラドローン、世界約20カ国の現地法人の経営陣が出席する第1回世界サミットを開催

日本やアジアを中心として全世界でのビジネス展開を加速しているテラドローンは、この1年で世界20カ国にグループ企業を拡大してきた。そのグループ企業を日本に集め、今後の世界戦略を推進するためのグローバルサミットを開催した。


KDDIのスマートドローンが2019年6月から用途別ソリューションの提供を開始

KDDIのスマートドローンが2019年6月から用途別ソリューションの提供を開始

KDDIは、広域監視と鉄塔点検に風力点検、測量解析、精密農業の5つの用途に向けて、2019年6月からドローンによるソリューションを提供すると発表した。


テラドローン、ドローンによる非破壊検査サービスを開始

テラドローン、ドローンによる非破壊検査サービスを開始

テラドローンは、 ドローンによる非破壊検査サービス(超音波板厚検査サービス(UT))を開始したと発表した。


最新の投稿


米国初、CAPE社が米国連邦航空局(FAA)から目視外飛行(BVLOS)認証証明書を授与

米国初、CAPE社が米国連邦航空局(FAA)から目視外飛行(BVLOS)認証証明書を授与

2019年3月19日 – 米国カリフォルニア州。ドローンのテレプレゼンスとデータ管理のクラウドプラットフォームを提供するCAPE(米国)社は、FAAから史上初となるBVLOS 認証証明書(COA)を付与された。


VTOLを革新するPteroDynaimcs社のTranswing Parus5c

VTOLを革新するPteroDynaimcs社のTranswing Parus5c

PteroDynamics(米国カリフォルニア州)のVTOLドローンは、翼を回転させるというユニークな構造で、革新的な飛行性能を実現した。


シナジーテック、夜間捜索ドローン専用 照明キットを新発売

シナジーテック、夜間捜索ドローン専用 照明キットを新発売

株式会社シナジーテック(徳島県阿南市宝田町)は、 ドローンに搭載可能な、 超軽量、 全光束25,000ルーメンのLED照明ユニット「DL250」を開発、 販売を開始した。


ドローン大学校が修了生と共同事業、「ドローン送信機用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の販売開始

ドローン大学校が修了生と共同事業、「ドローン送信機用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の販売開始

ドローンビジネスの創造をビジョンとするドローン大学校は、修了生の丹羽雅裕氏が代表取締役を務める株式会社丹羽電機とのアライアンスによる「ドローン送信機(プロポ)用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の製造・販売を開始する。


イーエムアイ・ラボが開発、レーザー測量用ドローン発売

イーエムアイ・ラボが開発、レーザー測量用ドローン発売

株式会社イーエムアイ・ラボ(長野県/ EMI-LAB)は、 UAVレーザー機の販売を3月から開始。