【慶大×田村市】小学生20人がドローンを使ったプログラミング講座に挑戦 田村市立芦沢小でワクワク体験

【慶大×田村市】小学生20人がドローンを使ったプログラミング講座に挑戦 田村市立芦沢小でワクワク体験

 ドローン研究と社会実装に力を入れる慶大が、ドローン連携を締結している福島県田村市で小学生向けにドローンを使ったプログラミング講座を実施した。「2018年度福島イノベーションコースト構想推進事業(復興知)」の一環としての取り組み。田村市立芦沢小学校の生徒20人は、終始、身を乗り出し、手を動かしていた。


となりの子にボールを取ってきてもらうにはどう言えばいい?

 講座を請け負ったのは、慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表。同コンソーシアムの原田久美子研究員と、原則として単位のつかない自主活動的なゼミ「ドロゼミ」のメンバー3人が補助についた。

 講座は「ドローン×プログラミング・ワークショップ」。プログラミングの基礎を、ドローンも利用して楽しみながら理解する取り組みだ。講座に出席した生徒は20人。「ドローンを知っている人、手をあげてください」に2人しか手があがらないほぼゼロからの授業は、プログラミングとは何か、という南副代表の説明から始まった。

 南副代表は、自分が思っている通りのことを、誰かにしてもらうときに必要なことは何かについて、簡単な言葉を使って説明。「だれにでも分かること、間違いなく伝えること、必ず終わること、無駄を省くことが大切」と話すと、生徒の顔をのぞきこみながら、「では隣の人と組になって、ボールを取ってきてください。取りに行くのは、左の人。右の人は、左の人に、どうしてもらいたいか、間違いがなく、伝えてみてください。どこまで歩くのか、そのあとどうするのか。左の人は、右の人に言われたとおりに動いてくださいね。さあ、ボールをとってこられるかな」と、生徒たちをゲームに誘い込むように授業を進めた。

 生徒たちは少し相談しあう。そのうちに「まっすぐいって、左にまがって、そこにある小さな部屋に入って・・・」などと指示が出たかと思うと、立ち上がって体育館のわきにしまってあったボールを取り出し、席に戻ってきた。全員が座ると「みんな持ってこられましたね。どんなことを工夫したのかな」

 生徒A 「わかりやすく伝えました」
 南氏  「わかりやすく。いいですね。どんなふうにわかりやすくしましたか?」
 生徒A 「はっきり伝えました」
 南氏  「はっきり。なるほど。ほかには」
 生徒B 「細かく伝えました」
 南氏  「ああ、それも大事ですね。ほかにありますか?」
 生徒C 「2回、繰り返した」
 南氏  「なるほど、正確に伝えようとしたんですね。まだありますか」
 生徒D 「よけいなことをしない」
 南氏  「それも大事ですね」

 生徒たちから活発な意見が出たところで、「こんなふうに、自分がしてほしいことを、自分のかわりに、コンピューターにやらせるときに使うものがプログラミングです。きちんと正確に伝えることが、プログラミングではとても大切です」と話した。

具体的な話に入る前に、まずは記念撮影。全員でドローンを向いて!表情にはドローンへの好奇心がにじむ

プログラミングについて、かみくだいて小学生に説明する慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表

ボールを持ってくる作業を通じて、プログラミングってなんだっけ、の基礎を学んだ生徒たち

DRONESTAR01でプログラミングとフライトの体験

 休み時間をはさんで2時限目に入り、いよいよドローンの登場だ。南氏が手のひらサイズのドローンを飛ばすと、生徒たちから拍手があがった。見ていた小学校の先生たちも大喜びだ。使ったドローンはITサービス開発の株式会社ORSOの「DRONESTAR01」。南氏は手のひらに機体をのせて「みなさんにも、このタブレットを使ってとばしてもらいます」と言うと、生徒たちが身を乗り出した。どうやるんだろう。そんな声が聞こえそうだ。

 生徒たちにタブレットが配られる。アプリがあらかじめ開かれていて、画面にある、離陸・着陸、上昇・下降、前進・後進、左移動・右移動、左旋回・右旋回などを組み合わせることを説明。ドローンにさせたい動きを指でタップして、“台紙”に張り付けていけば、その順番にドローンに“指令”が伝わる。順番をあとから変更することもできる。それぞれの動作をどの程度続けるのか、を「〇秒」の数字を増減することで指示できる。こういったことを説明し、「どのぐらい上昇したらよさそうか、どのぐらい前進したらよさそうかなどを、どう動かしたいのかを考えてプログラミングしてみましょう」と、説明して作業開始となった。生徒たちはさっそく隣同士で話し合って、タップしはじめた。表情はみんな、楽しそうだ。

 まわりで見ていた先生たちも気がかりだ。うまくいくかな。理解できたかな。それよりも、楽しんでいるかな。楽しいかどうかは、表情で一目瞭然だ。みんな、夢中だ。研究員の原田さんや、ドロゼミの学生たちも巡回する。生徒たちから質問がくる。それに丁寧にこたえる。理解すると、生徒たちは大きくうなずいた。

 頭で考えると、「左移動、1秒」「右移動、1秒」で、元の位置に戻るはずだ。しかし実際にある物は、なかなかそうはいかない。機械なら具合のよしあしの影響を受けるし、ましてや空中に浮かんでいるものなら空気の流れの影響も受ける。生徒たちも一度やってみて思い通りにいかなければ、2回目に工夫をするかもしれない。そのため南氏は、2度以上、飛ばす時間を確保していた。

 プログラミングタイムが終了し、生徒たちが順番に飛ばしてみる。起動して、3、2、1とカウントしおえると、モーター音がなって、小さな機体がふわりと浮かぶ。その時点で「おお」とどよめく。そうはいっても、やはり思った通りには動かない。思わぬ方向にすこし進み、方向を少しかえて、着地した。

 「どう? 思った通りに動いた? 違う? それなら、次はどうすることができるかな。ちょっと考えて、もう1回やってみようか」

 全員が一通り飛ばして、それぞれに工夫をしての再挑戦。うまくいったところ、そうでもなかったところ。それぞれだが、生徒たちはこの時間のあいだ、ずっと夢中になっていた。

 講義の最後に、南氏はおさらいをした。「プログラミングは、コンピューターに指示をすること。得意なことは、同じことを何度も繰り返すこと。人間だったら飽きちゃったり疲れちゃったりすることでも、コンピューターには、簡単です。もしかしたら、身の回りの活動の中でも、面倒くさくなるぐらいに繰り返さないといけないこと、あるかもしれないですね。そういうものは、もしかしたらプログラミングをしえ、コンピューターにしてもらったら、人間はほかのことに時間を使えるかもしれないですね」。

 そして、宿題を出した。「みなさんのまわりに、プログラミングと似たようなものは、ありませんか? 考えてみてください」。南氏は、宿題の提出を課さなかったが、今回の講義に参加した芦沢小の生徒のみなさんは、プログラミングっぽいものを身の回りで見つけはじめているかもしれない。

ドローンの操縦がすごく上手なお兄さん」と紹介された大学生、三浦威爾さんもが小学生を全力サポートで盛り上げた

はじめてのプログラミングい夢中

今度こそ、ちゃんと飛びますように・・・。工夫して再挑戦。工夫の積み重ねが大事であると伝えることも、講座の隠れた狙いのひとつ

「ドローン×プログラミング・ワークショップ」が開催された福島県田村市立芦沢小学校。小高い丘陵地にたつ、かわいらしい黄色い校舎が目印だ

生徒たちのプログラミングタイム。先生や大人たちもその様子が気になって、手元をのぞきこむ

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