ドローンタイムズ年末恒例・ドローン10大ニュース① 意義深い1年を振り返る

ドローンタイムズ年末恒例・ドローン10大ニュース① 意義深い1年を振り返る

2018年は、補助者なしで目視外の自動航行を実現させ、被災地での活用が進み、様々な産業用ドローンも新製品が登場、有望なスタートアップに対し大手企業も巻き込んだファンドの投資が活発化、そしてドローンスクール事業も全国に拡大するなど意義深い1年だったのではないだろうか。次回からランキングを発表。


官民一体でレベル3へ ドローン配送の社会実装開始

 2018年はドローンが、メディアで取り上げない日はないほど社会に浸透した1年だったのではないか。
 テレビ番組や映画制作の現場では、大掛かりな機材やヘリを使わずとも空からのアングルが得られるようになり、すでに欠かせないツールとして定着した感がある。また産業界でのドローン進出は目覚ましく、測量、点検分野では積極的にドローンを活用して、作業員の安全確保や経費削減に貢献させようという取り組みが進んだ。中でも建設現場では、ドローンによる三次元測量が標準となりつつあり、ドローンとICT建機を連動させたソリューションも現実のものとなった。具体例としてコマツは、安全で生産性の高い建設現場を実現するため、DJI初のカスタムドローン1000機を導入し「スマートコンストラクション」を推進した。

 そしてなんと言っても特筆すべきことは、ドローンをめぐる環境整備が進んだことではないか。9月に国交省は運用ルールを改正し、11月には日本郵便が補助者なし目視外で福島県の南相馬市と浪江町の約9キロ間を自動航行させ、荷物のドローン配送を開始した。小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会がまとめたロードマップのレベル3に達した訳だ。まだ多くの課題を抱えながらも、ドローンによる物流が社会実装へ一歩を踏み出したことは意義深い。これは官民一体となった取り組みの成果と言える。

目視外飛行で荷物を浪江郵便局まで輸送、着陸する日本郵便のドローン=11月7日、福島県浪江町(代表撮影)

被災地でのドローン活用活発

 毎年恒例の日本漢字能力検定協会による「今年の漢字」は「災」と発表されたほど、今年は多くの自然災害に見舞われた。6月から7月にかけて発生した西日本豪雨や9月の北海道胆振東部地震などの被災地では、被災状況を把握するためにドローンによる空撮映像が様々な機関、分野で活用された。短時間で被災地の空撮画像を3Dマップにし、それに住宅地図を重ねることで、例えば土砂に流されたり埋れた家屋を特定することができるようになり、迅速な救出活動に利用された。また損保ジャパン日本興亜は、2016年新潟県で発生した糸魚川市大規模火災以来、ドローンを被災地における調査に使いはじめ、今回の事例でも被災者への保険金支払いをスムーズに行えるようにと早々に現地入りし活動を始めた。また陸上自衛隊は、北海道の地震災害で状況の把握のために初めてドローンを現場投入した。災害大国としては、今後もドローンを、空撮に留まらず、直接救命救急にも役立てるなど運用の幅が広がることがが期待されている。

 機体の開発という面では日本独自の技術も育ち、注目を集めた。エアロネクストの独自重心制御技術4D Gravity技術を応用したドローン「Next INDUSTRY」は、新発明と言ってもいい重心制御技術で国内外の多くのスタートアップピッチコンテストなどで優勝するなど賞を総ナメにした。日本国内の特殊事情に適した技術として発展したものだが、今後の海外展開に期待したい。

新聞社やテレビ局は被災地取材に、従来通りヘリ取材の他、低空で被災地の詳細がわかるドローンによる空撮も多用するようになった=9月8日、岡山県倉敷市真備町(産経新聞撮影)

ドローンスタートアップへの支援に大手企業も参加

 こうしたスタートアップの台頭に対し、国内ファンドも活発に動いた。昨年6月に個人投資家の千葉功太郎氏がドローンに特化したDRONE FUND(ドローン ファンド) を立ち上げてから1年、今年8月に新たに2号ファンド(Drone Fund2号 / 正式名称は千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)を設立した。これまでのドローン前提社会の実現を目標にしつつ、新たに“空飛ぶクルマ”による「エアモビリティ社会」を目指し、ドローンスタートアップ企業への投資を加速させている。大手企業の参加も相次ぎ、すでに37億円を調達し、50億円を目標としている。 

 “空飛ぶクルマ”については多くの国で開発が競われているが、日本はこの分野では遅れているのが現状だ。そのような中、有志団体CARTIVATOR(カーティベーター)とSkyDrive(スカイドライブ)は、 eVTOL機(いわゆる空飛ぶクルマ)の無人状態での日本初となる屋外飛行試験を開始し、 12月、初フライトを成功させた。2019年には有人飛行を試み、2023年に販売を開始したいとしている。

ドローンファンド2号を立ち上げた個人投資家の千葉功太郎氏(左から3人目)は、「ホンダジェット エリート」の日本人第一顧客となったことでも最近話題となった。千葉氏の左は共同購入者の一人、堀江貴文氏=12月20日、東京都大田区(産経新聞写真報道局・宮川和宏撮影)

人材育成も全国に拡大

 ドローンパイロットなど人材育成では、少子化や若者の車離れが進むことに危機感を持つ自動車教習所が、ドローンスクールを相次いで開校し話題となった。ドローンを飛行させることが可能な広い敷地を所有し、教習所の教官がドローン講師を併せて行う。一般社団法人全国自動車学校ドローンコンソーシアム(ジドコン)に加盟している自動車教習所は全国で22校に増え、開校予定もある。2014年7月に日本のドローン産業・市場の発展を支援する非営利団体として発足した一般社団法人UAS産業振興協議会(JUIDA)は、今年発足から4年となり、会員数が5700人を超え(7月時点)、ドローン認定校は全国159校にのぼり、約5000人にJUIDA操縦技能証明証、約4500人にJUIDA安全運航管理者証明証を発行した。また今年日本で開催されたドローンの国際標準策定を目指す国際標準化機構(ISO)総会「ISO/TC20/SC16」の席上においてJUIDAは、同協会主導によるドローン教習を国際標準化として推進しようと積極的に働きかけた。

静岡県公安委員会指定の株式会社東部自動車学校で開かれた「静岡沼津ドローンスクール」開校式=4月21日、静岡県沼津市

 振り返ってみるとこの1年のドローンを取り巻く環境の変化は、意義のあるものだったといえよう。官民が一体となって補助者なしで目視外の自動航行を推進し、有望なスタートアップに対し 大手企業も巻き込んだファンドの投資が活発化、そしてドローンスクール事業も全国に拡大し、その多くが産業用途にドローン活用を目指す方向で人材育成を考えはじめた。来年は何が待ち受けているかまだまだ未知だが、こうして見ると方向性は間違っていないのではないかと思われる。
(ドローンタイムズ編集長 渡辺照明)

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