ドローンタイムズ年末恒例・ドローン10大ニュース③ 第1位〜第5位

ドローンタイムズ年末恒例・ドローン10大ニュース③ 第1位〜第5位

2018年は、補助者なしで目視外の自動航行を実現させ、被災地での活用が進み、様々な産業用ドローンも新製品が登場、有望なスタートアップに対し大手企業も巻き込んだファンドの投資が活発化、そしてドローンスクール事業も全国に拡大するなど意義深い1年だったのではないだろうか。第1位〜第5位をピックアップした。


第5位 エアロネクスト、世界が注目する新技術

 エアロネクストが独自開発した重心制御技術「4D Gravity」は、新発明といっても過言ではない。搭載部と飛行部分の接続を貫通ジンバル構造にすることで、飛行部分の傾きなどの動きに対し、機体の姿勢が搭載部に影響が出ない制御を行うことができる。搭載部は水平を保つため、信頼性、安定性が向上する。
 この新技術を応用したドローン「Next INDUSTRY」は、国内外の多くのスタートアップピッチコンテストなどで優勝するなど賞を総ナメにしている。最近では石川県金沢市で開催されたInfinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawaに参加、厳しい審査を経て選別されたスタートアップ14社により争われたピッチイベント「LaunchPad」において優勝した。この受賞は、今年9月に開催されたICCサミットKYOTO 2018の「リアルテック・カタパルト」、同10月開催のB Dash Camp Fall 2018 in Fukuokaの「Pitch Arena」に続く、主要スタートアップピッチコンテストでの3連続優勝となった。今年はCEATEC JAPAN AWARD 2018で「経済産業大臣賞」も受賞しており、これによって2019年1月に米国ラスベガスで開催される世界最大級の見本市「CES 2019」のプレイベント「Show Stoppers」に出展が実現した。エアロネクストの海外展開に期待したい。

https://www.dronetimes.jp/articles/2719
https://www.dronetimes.jp/articles/2863
https://www.dronetimes.jp/articles/3149
https://www.dronetimes.jp/articles/3368
https://www.dronetimes.jp/articles/3474
https://www.dronetimes.jp/articles/3513
https://www.dronetimes.jp/articles/3598
https://www.dronetimes.jp/articles/3697

(渡辺照明)

群馬県内での実証実験の様子。エアロネクストが持つ独自重心制御技術4D Gravity™を搭載したドローン「Next INDUSTRY™」で、 機体とカメラやセンサーなどの搭載物の物理的な距離を確保し、 従来のドローンでは難しかった対象物への接近や狭い空間への侵入、 橋梁現場での安定飛行を実現した。

第4位 「災」の年、多くの被災地でドローン活用

 毎年恒例の日本漢字能力検定協会による「今年の漢字」は「災」と発表された。それほど今年の日本列島各地はは多くの自然災害に見舞われた。
 6月から7月にかけて発生した西日本豪雨や台風被害、そして9月の北海道胆振東部地震などの被災地では、被災状況を把握するためにドローンによる空撮映像が様々な機関、分野で活用された。報道各社は言うまでもなく、映像取材者はドローンを携行し、ヘリとは別の低く近いアングルの映像を読者、視聴者に提供した。
 また各防災本部では短時間で被災地の空撮画像を3Dマップにし、それに住宅地図を重ねることで、例えば土砂に流されたり埋れた家屋を特定することができるようになった。迅速な救出活動に利用されるソリューションができつつある。
 慶應大学、徳島大学、青山学院大学と民間のドローン関連企業は、西日本豪雨の発災以降、ドローンによる空撮で得られた写真を使って地図を作り、二次災害防止などを目的に、地元住民、自治体、ボランティア団体などに提供する取り組みをした。
 損保ジャパン日本興亜は、2016年新潟県で発生した糸魚川市大規模火災以来、ドローンを被災地における調査に使いはじめ、今回も西日本豪雨、北海道地震などで、被災者への保険金支払いをスムーズに行えるようにと早々に現地入りし活動を始めた。陸上自衛隊は、北海道の地震災害で状況の把握のために初めてドローンを現場投入した。
 災害大国としては、今後もドローンを、空撮に留まらず、直接救命救急にも役立てるなど運用の幅が広がることがが期待されている。

https://www.dronetimes.jp/articles/3659
https://www.dronetimes.jp/articles/3436
https://www.dronetimes.jp/articles/2852
https://www.dronetimes.jp/articles/2852
https://www.dronetimes.jp/articles/2839
https://www.dronetimes.jp/articles/2823
https://www.dronetimes.jp/articles/2822
https://www.dronetimes.jp/articles/2822
https://www.dronetimes.jp/articles/3400
https://www.dronetimes.jp/articles/3423

(渡辺照明)

新聞社やテレビ局は被災地取材に、従来通りヘリ取材の他、低空で被災地の詳細がわかるドローンによる空撮も多用するようになった=9月8日、岡山県倉敷市真備町(産経新聞撮影)

第3位 ドローン人材育成に勢い ジドコン系スクール拡大でJUIDA下支え ISO総会で議論をリード

 ドローンの飛行に原則、免許が不要な日本で、ドローン操縦者、利用者の拡大に貢献したのがドローンスクールだ。多くのスクールが開設される中、2018年は自動車学校がドローンスクールを併設する動きが目立った。とくに一般社団法人全国自動車学校ドローンコンソーシアム(ジドコン)は加盟自動車教習所がほぼ1年で全国で22校にまで拡大するなど、国内のドローン人材育成を下支えした。また日本のドローン人材育成は海外からも一目置かれ、国際標準を策定する動きの中でも日本が議論をリードしている。
 ジドコンの躍進は、少子化や若者の車離れが進むことに危機感を持つ自動車教習所による、経営環境改善策だった。自動車運転教育で培った安全教育には一日の長があるうえ、一定の面積の敷地も生かせる。地域振興につながる可能性も高いことから、岩手県奥州市でドローン教習を取り入れた「岩手ドローンスクール」が、連携しているドローン企業とジドコンを組織。全国の自動車学校に呼びかけたところ、多くの賛同を得て加盟校を伸ばした。現在は一般社団法人UAS産業振興協議会(JUIDA)内の主要勢力の一角に食い込んでいる。
 国内のドローン人口はこうした動きの後押しもあって拡大傾向だJUIDAの加盟スクールは10月15日の時点で185校、会員数は6976人。ライセンスの取得者は10月1日時点で、技能者6089人、安全運航管理者5673人、講師も963人と、ほかのスクールも含め、全国のドローン人口拡大に寄与している。
 JUIDAは2019年に操縦技能のレベルに応じて級を授与する「技能テスト」を導入する方針で、7歳から16歳未満の若年層向けには「UASジュニアパイロット」も設定するなどしてすそ野の拡大に取り組む。
 ドローンの国際標準策定を目指す国際標準化機構(ISO)総会「ISO/TC20/SC16」でも日本は人材育成分野を中心に、議論をリード。11月26日に東京で開催された総会では、ドローンの安全性評価や運用ルール、教育訓練などが主要議題となっていて、米国、英国、フランス、中国、韓国、ロシアなど各国の委員と議論をする中で、日本のプレゼンスの拡大に積極的だ。

https://www.dronetimes.jp/articles/3536
https://www.dronetimes.jp/articles/3623
https://www.dronetimes.jp/articles/3282

(村山繁)

静岡県公安委員会指定の株式会社東部自動車学校で開かれた「静岡沼津ドローンスクール」開校式=4月21日、静岡県沼津市

第2位 ドローンスタートアップの強い味方、Drone Fund「2号」登場 ACSLは上場第1号に

千葉功太郎氏が率いてきたDrone Fundが2018年8月、2号ファンド(Drone Fund2号/正式名称「千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合」)を組成し、ドローン事業を手掛けるスタートアップの資金調達環境に上昇気流をもたらした。ドローン事業への継続的な資金支援は。技術開発、事業創出、経営環境改善の加速、拡大をもたらし、世界に日本の本気度を示した。12月21日には投資先企業のひとつ、株式会社自律制御システム研究所(ACSL、千葉市)が東京証券取引所マザーズ市場にドローンスタートアップとして初の上場を果たし、ドローン産業の可能性の象徴となった。
 2号ファンド組成の背景には、前年6月に10億円を目標に組成した1号ファンドが16億円を集め、それを「あっという間に使いきった」(千葉氏)事情がある。インベスターの期待、事業家からの資金需要ともに強いことを物語る。2号ファンドの資金規模も1号を上回る「30億円から50億円」と説明されていたが、11月時点で37億円を超えた、現在もファイナルクローズに向け上積みを図っている状況だ。
 インベスターの顔ぶれは多彩だ。みずほ銀行、KDDI、マブチモーター創業家、セガサミー、サッカー日本代表、本田圭佑氏の個人投資ファンドKSKエンジェルファンドがアンカーファンドに名を連ねたほか、その後、作家、池井戸潤氏の小説『下町ロケット ヤタガラス編』のモデルとなった岡山県の農業機械メーカー、小橋工業や、大和証券グループ、電通、松竹が加わった。科学技術の企画、研究、コンサルティングなどを手掛ける株式会社リバネス(東京)など1号ファンドからの継続している投資家もある。
 投資先企業の活躍も目覚ましい。5位で紹介した独自重心制御技術4D Gravityで次々と受賞を重ねたエアロネクストや、12月21日にドローンスタートアップとして東京証券取引所マザーズ市場に上場したACSLはいずれもDrone Fundの投資先企業だ。ACSLについては同社が開発した機体「PF-1」が、11月に始まった日本郵便による自動航行の荷物配送に用いられたことでも知られる。そのほかの企業もすでに国内外で多くの実績を重ねている。
 投資先企業の活躍には、Drone Fundの代表パートナー、千葉功太郎氏が、投資先企業の「面倒見」が大きく関わる。千葉氏は資金提供先企業の成長力を引き上げる道場を開催しているほか、投資先企業が活躍した先に到来する「ドローン堰堤社会」や「エアモビリティ社会」の世界観をイラストで表現するなど、投資際企業の経営環境の改善に尽力している。12月20日には「ホンダジェット エリート」の日本人として最初の顧客になったさいには、セレモニーに登壇して記念スピーチをし、空の移動革命に対する高い期待を表明し、実現への協力を力強く訴えたほか、同日の午後には、空の移動革命官民協議会に出席して、参加者、来場者に頭上空間利活用の有効性を訴えた。ACSLの上場はこの翌日の12月21日だった。
 Drone Fundは9月25日、大前創希氏が千葉氏と同格の共同代表パートナーに就任したほか、最高公共政策責任者パートナーとして高橋伸太郎氏を起用する新執行体制も発表した。最高財務責任者の舟波大地氏とあわせてパートナー4人体制に強化し「ドローン前提社会」、「エアモビリティ社会」の実現への取り組みを、今後さらに加速させる。

https://www.dronetimes.jp/articles/3267
https://www.dronetimes.jp/articles/3586
https://www.dronetimes.jp/articles/3687

(村山繁)

ドローンファンド2号を立ち上げた個人投資家の千葉功太郎氏(左から3人目)は、「ホンダジェット エリート」の日本人第一顧客となったことでも最近話題となった。千葉氏の左は共同購入者の一人、堀江貴文氏=12月20日、東京都大田区(産経新聞写真報道局・宮川和宏撮影)

第1位 ドローン活用レベル3に

 国交省はドローンの運用ルールを9月に改正し、「無人地帯における補助者なしの目視外飛行」が実現したことは、2018年を代表する話題としては地味かもしれないが、国内のドローン活用を進める上で大きな意味を持っている。ドローンをめぐる環境は、新たなフェーズに踏み込んだ。
 国交書の承認を受けた日本郵便は、11月、日本で初めて補助者なし目視外で福島県の南相馬市と浪江町を結ぶ約9キロを自動航行させ、荷物のドローン配送を開始した。たった16分間の飛行だったが、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会がまとめたロードマップのレベル3に達したことになる。ドローンによる物流が社会実装へ一歩を踏み出したことは意義深い。これは官民一体となった取り組みの成果と言える。

https://www.dronetimes.jp/articles/3571
https://www.dronetimes.jp/articles/3547
https://www.dronetimes.jp/articles/3617

目視外飛行で荷物を浪江郵便局まで輸送、着陸する日本郵便のドローン=11月7日、福島県浪江町

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