秩父市ドローン配送協議会が国内2例目となる目視外飛行を実施

秩父市ドローン配送協議会が国内2例目となる目視外飛行を実施

2019年1月25日。楽天、ゼンリン、東京電力ベンチャーズ、秩父市で構成する「秩父市ドローン配送協議会」が、国内で2例目となる補助者を配置しない目視外飛行で、約3kmのドローン配送を実施した。民間企業としては、国内初の成功例となる。


山間部のドローンハイウェイを活用した補助者を配置しない目視外飛行

左から(敬称略)

・株式会社ゼンリン 事業統括本部IoT事業本部 ドローン推進課 課長 田内 滋
・楽天株式会社 ドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャー 向井 秀明
・秩父市長 久喜 邦康
・国土交通省 物流審議官 松本 年弘
・東京電力ベンチャーズ株式会社 事業開発部 ドローンハイウェイチーム プロジェクトマネージャー 齋藤 亮平

 秩父市ドローン配送協議会による今回の実験は、国土交通省と環境省の連携事業「平成30年度CO2排出量削減に資する過疎地域等における無人航空機を使用した配送実用化推進調査」として実施された。検証された項目は、自動車とドローンそれぞれで実施する配送をもとに、CO2排出量の削減効果や費用対効果の比較。実験にあたり、国土交通省が平成30年9月に改正した「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査容量」により、平成31年1月11日に補助者を配置しない目視外飛行の承認を取得した楽天の配送用ドローンが自律飛行を行った。
 実験の実施にあたり、秩父市ドローン配送協議会では周辺住民への注意を喚起するために、専用の看板を作成して配備した。また、楽天の配送用ドローンには、カメラを搭載して飛行の状況をリアルタイムで監視できるような改良が施された。そして、東京電力ベンチャーズとゼンリンが協力して、3Dモニタリングアプリによるドローンハイウェイの安全飛行を支援するための地図データや気象情報などを整備した。

周辺住民への注意を喚起する専用の看板

約3km先のキャンプ地に薬や紙皿を配送

アプリで注文する楽天のドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャーの向井 秀明氏

 デモフライトの配送シナリオでは、会場となった荒川ダムに隣接するネイチャーランド浦山から、楽天のショッピングアプリを使って、虫刺されの薬や紙皿にウェットティッシュが注文されたという想定で、約3km先の目的地まで目視外飛行が実施された。
 配送シナリオに沿って、楽天のドローン・UGV事業部 ジェネラルマネージャーの向井 秀明氏が、ショッピングアプリで注目を行うと、スマートフォンの画面に地図と配送用ドローンの位置情報が表示された。そこから、デモフライトの会場に移り配送用ドローンに注文品の入った箱が取り付けられた。そして、送電線鉄塔の上に設けられたドローンハイウェイで補助者を配置しない目視外飛行が実施された。
 タブレットの画面から配送の開始を指示されたドローンは、最初に一定の高度まで上昇すると、ドローンハイウェイの入り口となる最初の送電線鉄塔に向けて自律飛行した。その後、ドローンの機影が見えなくなると、会場に設置されたディスプレイに飛行の様子が映し出された。デモフライトは、約30kmの速度で10分かけて約3km先のネイチャーランド浦山まで飛行し、無事に着陸して荷物を届けた。
 実験後のインタビューで、向井氏は「今回の実験では2.4GHzと5.4GHzの無線通信を利用して飛行制御やモニタリングに映像配信を行っています。今後は、長距離での目視外飛行を実現するために、LTEなどの回線を活用したいと考えています」と説明し「2019年度中には、離島など配送が困難な地域に、定期便としてドローン配送ソリューションを提供できるような実用化に向けて取り組んでいきます」と話す。

ドローンハイウェイとなる送電線鉄塔を目指して飛行する楽天の配送用ドローン

目視外飛行の様子をモニタリングするドローンダッシュボードの画面

3次元の地形や気象状況などを表示する3D Map Viewerの画面

ネイチャーランド浦山で受け取りを確認するスタッフ

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