ドローンと送電線との距離は「30m」で検証 楽天、ゼンリン、東京電力ベンチャーズの「ハイウェイ構想」、実用化にまた一歩

ドローンと送電線との距離は「30m」で検証 楽天、ゼンリン、東京電力ベンチャーズの「ハイウェイ構想」、実用化にまた一歩

 楽天、東京電力ベンチャーズ、ゼンリンなどが1月25日に、埼玉県秩父市で実施したドローンによる荷物配送の実用化に向けた実験では、すべてのシナリオが想定通りに進み、ドローンの飛ばせるルートとなる「ドローンハイウェイ」の実用化に道筋を示した。送電線とハイウェイとの距離は「30m」で、今後この距離を軸に検証が進みそうだ。


ハイウェイからの逸脱は「表示、アラート、制御の3段階で対応」

 実験では、送電線上や、送電線の張られていない鉄塔間をむすぶ直線上に、ドローンの飛行ルートであるドローンハイウェイを設定した。設定された直線は総延長3キロメートルで、鉄塔の高さや電線の貼り具合に沿って高低差が生じるが、ゼンリンの3次元地図技術で、空間上に境界(ジオフェンス)でハイウェイを設定した。この日の実験では、ドローンが設定したハイウェイを移動する様子がリアルタイムでモニターに表示された。

 株式会社ゼンリン事業統括本部ドローン推進課の田内滋課長は、「ドローンがジオフェンスから逸脱していないかどうかは、モニターに表示、アラートの発進、ドローンの制御の3段階で対応できる。制御は機体ごとに調整が必要だが、原則、どの機体にも対応することを検討している」と説明している。

 また、東京電力ベンチャーズ事業開発部ドローンハイウェイチームの斎藤亮平プロジェクトマネージャーは、この日の“ハイウェイ”設定場所を、送電線より30m上空とした理由について、「送電線が発する電磁波がドローンの航行を妨げない距離を確保するため」と説明した。この日は電磁派がドローンの航行に支障はきたしておらず、今回の検証をふまえて、適切な距離をさらに詰める。

 ただし、電磁波は送電線ごとに異なるうえ、その日の電流によって変化するため、この日の実験も含めて検証を重ねることで「送電線とドローンとの距離に関するデータを今後も蓄積していきたい」と話している。

 今回の実験ルートには、送電線のはられていない鉄塔も含まれた。ドローンが電磁波の発生しない場所から、電磁波の発生する場所にさしかかった場合に航行上の市章があるかないか検証するためだ。ドローンの航行はシナリオ通りに進んだため、支障はないと推定できるが、今後、厳密に検証する。

 また送電線は実際には鉄塔と鉄塔の間でたわんで張られている。この日の実験では、鉄塔に架けられている高さを電線の高さとして設定した。鉄塔と鉄塔の間の、送電線がたわんでいる位置では、ドローンハイウェイと電線との距離が30mを超えており、電磁波の影響をより受けにくい安全策をとった。

 株式会社ゼンリンと、東京電力ベンチャーズ株式会社は2017年3月29日に、ドローンの安全飛行をインフラ側から支援するためドローンハイウェイ構想の実現に向けて業務提携を発表した。楽天はその1年後に参画し、2018年6月27日には3社が、この日と同じ秩父市で送電設備を使ったドローン配送実験を実施した。以降、データの蓄積を重ね、実現に向けて精力的に取り組んでいる。

 今回の実験は、物流をドローンで実施した場合、自動車で実施した場合とのCO2排出削減効果や、費用隊効果を検証することが主目的で行われた。楽天は2019年度中のドローンによる定期配送ソリューション実用化に前向きな姿勢を表明しており、この日の検証結果に、ドローンハイウェイの実用性も加味して検討を進める。実用化にさらに一歩近づくことになる。

実験会場で説明する東京電力ベンチャーズの斎藤亮平プロジェクトマネージャー

秩父市で1月25日に行われた実験で記念撮影に応じる実験参加者。左がゼンリンドローン推進課の田内滋課長

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