自律制御のドローンと AI を連携した外観検査ソリューション

自律制御のドローンと AI を連携した外観検査ソリューション

2019年1月28日。日本マイクロソフト株式会社(東京都品川区)は、自社のブログで自律制御のドローンと AI を連携した外観検査ソリューションを上海とシアトルに本社を構えるスタートアップ企業 Clobotics が開発したと公開した。


風力発電におけるタービンの検査にドローンとAIを連携

 風力発電におけるタービンの検査では、通常、5 人から成るチームをタワーに送る必要がある。技術者は、ロープとハーネスを使い、40 から 80 メートルの長さのブレードに向けて登り、地上 100 メートルで揺れるブレードを目視で検査する。タービンが風の強い場所に置かれることを考えれば、これは危険で事故につながりやすい作業だ。さらに、このプロセスは危険であると同時に、きわめて時間がかかる。1 つのタービンの検査を完全に行うためには、最低でも 6 時間を要する。中には、数 100 ものタービンを有する風力発電所もある。
 上海とシアトルに本社を構えるスタートアップ企業 Clobotics の開発チームは、新たなテクノロジを用いてこの問題を解決できないかと考えた。Clobotics は、 AI に基づくコンピュータービジョンを使った物理世界のデジタル化に取り組んだ。そして、ドローンの使用が選択肢にあがったものの、どのようなドローンでもよいというわけではなかった。風力発電所の環境で、地上からタービンブレードまでドローンを手動で操縦するのは困難。自律飛行が可能で、きわめて正確な視覚認識能力を持ったドローンが必要になった。そこで、Clobotics はドローンに「脳」を与えた。これにより、自律制御システムが、ブレードの位置を把握して欠陥を発見する。オンボードのコンピューターが、 Clobotics のコンピュータービジョン、AI、そして、データアナリティクスのソフトウェアを稼働する。

ドローンの視覚システムの精度はきわめて高く、ブレード上にとまった蠅も認識

 視覚システムはブレードの全面を検査し、3 ミリメートルのひび割れも発見できる。精度はきわめて高く、ブレード上にとまった蠅の羽や脚も明確に認識できる。認識されたイメージは、Microsoft Azure のクラウドプラットフォームに送られて処理される。Clobotics のデータアナリティクスとディープラーニングに関わるニューラルネットワークにより、対応が必要な損傷に関する完全なレポートが作成される。
 開発されたシステムは、多くの問題を解決する。第 1 に安全性。ドローンを使うことで、人間が危険な状況に身を置く必要がなくなる。第 2 にスピード。5 人が 6 時間を費やす従来方式と比較して、Clobotics のドローンを用いれば、 1 人のオペレーターが 25 分で作業を完了できる。これは、10 倍の効率性向上になる。また、風力発電の事業者に対して貴重なデータが提供される。AI によってレポート提供の速度が 8 倍に向上し、各タービンの各ブレードの保守と点検に関する完全な履歴が提供されるようになった。こうして、Clobotics は物理世界のデジタル化を実現した。

Clobotics の自律飛行型ドローンは公開されている画像からDJI Matrice 600を改造したものと推測できる

 2018 年 10 月 17 日に、同社は、中国最大級の発電機器製造企業である Shanghai Electric Group Co., Ltd.、そして、風力タービンの製造と保守サービスのリーダーである Luoyang Sunrui Wind Power Blade Co., Ltd. との戦略的提携契約を締結した。この公式な提携は、国際市場への拡大を目指す Clobotics にとって大きな一歩となった。また、風力発電業界における既存の巨大企業も、人工知能のような革新的なテクノロジを活用したがっていることの立証にもなった。
 Clobotics は、2016 年に4人の友人たちによって創業さた。創業メンバーはみな、グローバルなテクノロジ企業での豊富な経験があり、堅牢でエンドユーザーにとって価値があるプラットフォームの構築に情熱を傾けていた。
 創立者で CEO のジョージ ヤン (George Yan) 氏は、「当社を創業することで、プラットフォームとお客様のニーズの間のギャップを埋めたいと考えました。マイクロソフトのクラウドエコシステムには精力的な開発を行うパートナーが多数存在し、お客様に貢献できています」と述べている。

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