デジタルハリウッド ロボティクスアカデミー、ドローン最新活用を学ぶ「ドローントーク」開催 先端3社の担当者登壇

デジタルハリウッド ロボティクスアカデミー、ドローン最新活用を学ぶ「ドローントーク」開催 先端3社の担当者登壇

IT関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッド株式会社のデジタルハリウッド ロボティクスアカデミーで、ドローンの活用を積極的に推進する企業3社のドローン担当者を招き、 ドローンの最新活用事例を学ぶイベント「DroneTalk(ドローントーク)」が1月31日、開催された。


ドローン活用最新事情が分かる「ドローントーク」

  IT関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を運営するデジタルハリウッド株式会社のデジタルハリウッド ロボティクスアカデミーで、ドローンの活用を積極的に推進する企業3社のドローン担当者を招き、 ドローンの最新活用事例を学ぶイベント「DroneTalk(ドローントーク)」が1月31日、開催された。 
 会場となったデジタルハリウッド駿河台ホール(東京都千代田区神田駿河台)には、氷雨のの降るあいにくの天候にもかかわらず約80人の参加者が詰めかけ、産業用途でのドローン活用に対する関心の高さがうかがえた。
 デジタルハリウッド ロボティクスアカデミーは2015年11月に開校され、他に先がけて「ドローン専攻」を開講、現在までに約300名の修了生を輩出したドローン スクールの“老舗”ともいうべき存在。開催当日も多くのドローン専攻卒業生も参加していた。

 同校が今回のイベントを開催した目的のひとつは、卒業生の中には様々な形でドローン業界で活躍する者がいる反面、 いまだにその活用法を模索している卒業生がいるのも事実。 そこでドローンを活用を推進する各企業から専門家を招き、 “最新のドローン活用”を知ってもらうことで、 ドローンの活用法を考えるきっかけを作りたいと考えトークイベントの形開催することとなった。
 今回は、 KDDI株式会社から松木友明氏、 ヤマハ発動機株式会社より各務龍一氏、 楽天株式会社より今野友太郎氏の3名が登壇、 各社におけるドローンの活用事例や開発秘話が紹介された。

挨拶するデジタルハリウッド東京ユニットR&Dグループの笹野貴史氏=1月31日、東京都千代田区神田駿河台のデジタルハリウッド

楽天、地域社会をエンパワメントするドローン物流の社会実装目指す

 楽天株式会社ドローン・UGV事業部で、 ドローン物流の事業開発を行う今野友太郎氏は「 ECプラットフォームを持つ楽天はドローン物流に焦点を当て、 その可能性を形にしています」と切り出した。
 物流分野では過疎地での買い物難民の増加や輸送ドライバーの人材不足など様々な問題が取りざたされていることから「 ドローンを活用することで今までにない利便性・効率性をもたらすべく、 全国の自治体・企業と連携しながら実証・サービスを展開しています」と2017年から行ってきた様々な実証実験を説明した。
 福島第一原発事故で住民が避難した福島県小高区の避難指示が解除されたのを機に、コンビニエンスストアのローソンが行う移動販売車と連携したドローンによる国内初となる商品配送の実験を2017年11月に行った。この楽天ドローン配送は、高齢者率が50%を超える小高区内の利便を性向上させた。
 また都市部におけるドローン宅配実験は、昨年。千葉市幕張新都心で行われた。目的地となるマンションの位置情報がインプットされたドローンが自律飛行で荷物を搬送、マンションのコンシェルジュが地上配送ロボット(UGV)に荷物を積み替え、UGVが自動でエレベーターやスロープを通過してモデルルームの部屋まで届けることができた。
 小型無人機の環境整備に向けた官民協議会がまとめたロードマップでは、昨年補助者なしで無人地帯での自律飛行を達成、レベル3に踏み込んだ。今年、楽天ではレベル4に向け離島、中山間地域での荷物配送や、また千葉市幕張にある倉庫から14キロ離れたマンションへの宅配を行う予定という。
 「今後も地域をエンパワメントするために、ドローンの社会実装を目指したい」と今野氏は述べた。

楽天株式会社ドローン・UGV事業部の今野友太郎氏。

農薬散布無人ヘリで世界をリードする散布品質を、純国産農薬散布ドローンへ生かすヤマハ発動機

 ヤマハ発動機株式会社UMS事業推進部の各務龍一氏はヤマハ無人航空機の歴史からその利用分野、 そして農業用無人航空機を活用した仕事内容を紹介した。
 同社の無人航空機開発の歴史は30年にもなる。1980年に農水省の外郭団体である(社)農林水産航空協会(農水協)は、農薬散布方法の改善を目的として、農薬散布に使う二重反転ローター式の無人ヘリコプターを開発を開始したが、エンジンについては、同社へエンジンの提供を打診、結局、同社が機体全体の製作を受託したことが無人ヘリ「R50」の誕生につながった。完成したR50は、ペイロード20kgを有する本格的な薬剤散布用無人ヘリコプターとして世界初となった。
 R50の後継機となった「RMAX」は、農薬散布機としての散布効率を徹底的に追及したもので、ペイロードが実質2倍となり、散布幅を1.5倍に広げ、さらにカセット式タンク、セルスターター、発電機の搭載など散布効率・取扱いの容易さを向上させた。また自律制御開発を視野に入れて開発された機体は、GPSセンサーを搭載することで位置、速度などを検出した。この機体は、飛行プログラムに基づいた「自動飛行型無人ヘリコプター」として、北海道有珠山の災害観測・調査を成功させたことで災害対応も実証、プラットフォームとしての性能も見出した。同機が起点となり、2003年には有人機と無人ヘリによる散布実績が逆転するまでに至った。
 無人ヘリでは世界をリードする同社だが、マルチローターのドローンの分野では中国製ドローンの先行を許していた。しかし今年3月から農薬散布ドローン「YMR-08」の販売を開始することとなり、二重反転ローターによって農薬のドリフトを抑えた高い散布品質で巻き返しを計る。
 ドローンと無人ヘリの棲み分けについて各務氏は「ドローンは4〜5ヘクタールの比較的狭い飛び地のような圃場に有用で、12〜14ヘクタールほどの広さになると無人ヘリの方が効率がいい。一方、ドローンは無人ヘリに比べると安価で、農家個人で所有し運用できるメリットがある」と説明する。また環境整備の面でも、農薬取締法に基づく規制が緩和される方向で、使用できる農薬の種類が増えることで、現在水稲がメインのドローンによる農薬散布も活用できる範囲が増えそうだ。
 農業分野でのドローン活用は内外で今後進み市場規模も膨らむと各務氏は予想するが「これまでラジコン世代が活躍していた無人ヘリのオペレーターが老齢化することから、人材不足が懸念されいます。ドローンのオペレーターからの参入に期待したい」と課題も提起した。

ヤマハ発動機株式会社UMS事業推進部の各務龍一氏。

携帯通信ネットワークに対応する完全自律飛行するスマートドローン構想を推進するKDDI

 最後にKDDI株式会社で新規事業/商品の企画を担当し、 モバイル通信を活用した「スマートドローン」事業を推進する松木友明氏が登壇、スマートドローンで広がるドローンの未来について話した。
 「未来のドローンは、完全自律飛行するドローンであること。スマートドローンは、4Gや5Gといった携帯通信ネットワークに対応し、遠隔雨制御により安全な長距離飛行が可能となります」とし、将来的には携帯通信を活用するためにドローンインフラを全国規模で広げていくと説明した。
 スマートドローンプラットフォームには、通信モジュールを搭載し衝突回避などの安全性能、自動飛行に欠かせない3D地図、遠隔からの飛行状況を把握し制御する運行管理システム、飛行環境を知るための気象情報が求められる。そうして得られた情報はクラウドでリアルタイムで共有される必要がある。
 そしてKDDIでは、スマートドローンを活用して、スマート農業、 インフラ点検、ドローン警備、災害対応、 山岳救助など、 さなざまな取り組みが行われている。
 新潟県長岡市山古志村で行った取り組みでは、2017年5月に国内で初めて「4G LTE運航管理システム」を使い、「スマートドローン」による4G LTE完全自律飛行実験を実施、山古志支所から約2km離れた場所への長距離飛行を成功させた。つづく同年11月には、山古志村の錦鯉養殖池に薬剤を散布する実験を行った。長距離自動飛行、自動着陸と自動充電、そして高低差100メートルの地形をドローンが自動飛行し目標のし棚池へ薬剤散布を成功させた。
 またAIに対応したスマートドローンによるスタジアム警備実験では、セコムの協力で2018年12月に埼玉スタジアム2002で実証実験が行われた。高高度を飛行する俯瞰ドローンが不審者を自動検知、低高度を飛行する巡回ドローンが現場に急行し不審者を追跡した。俯瞰ドローンは4Kカメラと機体内のAIシステムによってリアルタイムで人物検知が可能で、検知した不審者の位置をGPS情報と映像から特定し、巡回ドローンを不審者の位置に急行さた。今後は大規模イベントでの警備の実現を目指すとしている。
 「現在はHD画像の伝送がやっとだったが、今後は5Gによって4K画像も送れるようになり、画像認識の制度も上がります。早期に実現するために、インフラの整備を進めたい」と話した。

KDDI株式会社で新規事業/商品の企画を担当し、 モバイル通信を活用した「スマートドローン」事業を推進する松木友明氏。

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