500 Startupsがキャリアイベント 「スタートアップは、働き方ではなく生き方」

500 Startupsがキャリアイベント 「スタートアップは、働き方ではなく生き方」

 シリコンバレー発のベンチャーキャピタル、500 Startups Japanが、スタートアップで働く魅力を伝える大型キャリアイベント「500 Career Fair 2019」を開催した。投資先企業3社が登壇したパネルディスカッションでは、スタートアップと大企業での働き方の違いなどをテーマに活発な意見交換が行われた。


■パネル、エレベーターピッチ、交流会の3段構えで実像に迫る

 ドローンの産業でもスタートアップの活躍は目覚ましい。スタートアップでの働き方は、それ以外の企業での働き方と異なる、と言われるが実際のところどうなのか。知られざるスタートアップでの働きについて、キャリアイベントで披露されると聞き、取材に出かけた。

 500 Startupsはシリコンバレー拠点のベンチャーキャピタルで「最もアクティブなシード投資家」として知られている。投資先は60か国、2000社以上で、投資先をとりまくエコシステム自身を拡張、成長させるサポートを提供する取り組みが特徴だ。日本が拠点の500 Startups Japanは3年前の創業、運用資産は約50億円。3年間で43社に投資している。ITで大きなインパクトを与えることを目指すことがこれまでの投資先で共通しているという。

 「500 Career Fair」は、500 Startups Japanが投資先企業の活動をサポートする取り組みのひとつで、採用に意欲的なスタートアップと、スタートアップでの就労を検討している希望者との交流機会として開催されている。

 1月26日の500 Career Fairでは、総論を扱うパネルディスカッション、登壇各社が自社の魅力をアピールするエレベーターピッチ、来場者と言葉を交わす交流会の3つの企画が準備され、スタートアップ側が魅力をアピールしたり、採用したい人材を説明したりする一方、来場者はスタートアップの情報を収集したり、自分の意欲をアピールしたりして、交流を深めた。

■KAKEHASHI、空、Holmesがパネルでスタートアップの真実を激白

 パネルディスカッションは「未来のユニコーンで働く魅力と挑戦」をテーマに、スタートアップでの「働き」の実像に迫った。500 Startups Japanのジェームズ・ライニー代表兼マネージングパートナー、KAKEHASHI(東京)の中尾豊代表取締役CEO、株式会社空(東京)の松村大貴代表取締役、株式会社Holmes(ホームズ、東京)の笹原健太代表取締役が登壇し、経営者としての考えや、経験談をストレートに、ときおり笑いをまじえながらの軽妙な話術で来場者を引き込んだ。また質問投稿サービスsli.do(スライド)を使い、パネラーのトーク中に来場者も積極的に質問ができる仕組みを採用。多くの質問が寄せられた。

 パネルディスカッションでは、ジェームズ・ライニー氏の問いかけで、3人のファウンダーがスタートアップに身を置くまでのストーリーからスタート。KAKEHASHIの中尾氏が武田薬品工業株式会社、空の松村氏がヤフー株式会社出身だったのに対し、Holmesの笹原氏は「新卒では大企業に入ったが3日でやめた」と仰天エピソードを披露し会場をわかせた。

 スタートップに転じた理由について、空の松村氏は「最初は『でっかいことをやりたい』という思いだったが、そのうちに社会的な価値を考えるようになった。いまの会社の理念は“Happy Growth”。幸せに働いていいじゃん、という思い」と述べる一方、Holmesの笹原氏も「司法試験に合格して弁護士として仕事をし、紛争裁判を多く見た。契約が適切だったら起こらないだろうというものがあり、契約の適正化で、紛争裁判をなくしたいと思った。ちゃんとした組織をつくる必要があって起業した」と述べた。

 KAKEHASHIの中尾氏は、「大企業だったので、給料もいいし福利厚生も充実していた。食べていくにはそのままで十分だったが、たとえば医療機関にいくと待ち時間が長かったり、薬をもらうだけのために出かけたりすることがある。ポチっとするだけ薬が届けばいいのに、とか、もっと利便性の高い事業がこれからできるのではないかと思うようになった。お金のために働くより、30年後の便利な医療インフラを作るほうが人生楽しいと思った」ことが起業した理由であると述べた。

 さらに大企業とスタートアップの働き方の違いについて、中尾氏は、「何時に来てください、というのが大企業。一番パフォーマンスの出せる働き方ができるのがスタートアップ。セルフマネジメントが大切」と持論を展開した。松村氏も「転職組には、自分で決めなければいけないことが突然増えて、不安だろう。スタートアップだと働き方だけでなく、今日何をするかから決める。それを楽しめる人には楽しい。スタートアップで働くことは、働き方、ではなく生き方。自分で楽しみを作り出せる人はマイノリティだと思うが、世の中のトレンドにはあっていると思う」と加えた。

 パネルでは、そのほか大企業からスタートアップに転職をすると給料が下がるのか、といった気になるテーマも取り上げられた。パネルディスカッションのあとは、投資先企業16社が、来場者の前でアピールするエレベーターピッチが行われた。その後、来場者と登壇企業との交流会も行われ、会場は最後まで熱気に包まれた。

■複雑でもクリアに説明できる力、起業家に大切

 500 Career Fair 2019を開催した背景について、イベントの合間に、500Startups Japanのジェームズ・ライニー代表に聞いた。

――盛り上がりましたね
「ありがとうございます。でもこれからです。コンバージョンをきちんとみないと」

――ところで、ベンチャーキャピタルが投資先企業の採用イベントを企画した意味は?
「われわれの投資スタイルでもあるのですが、そもそもぼくが金融マンという感じではなく、どちらかといえば事業家である、ということと関係があります。たまたまその事業がベンチャーキャピタルであると。どういうことかというと、投資の捉え方が違います。事業をやる立場では、投資は、単にマネタイズするための方法にすぎないのです。おカネだけでは、コモディティティ化されてしまう。それ以外の提供価値がないといけない」

――提供価値とは
「ひとつはファンドレイジング。もうひとつが採用です。スタートアップの場合、とくにぼくらが投資する段階(シード中心)だと、数千万円しか調達しない中で、ヘッドハンター費用を支払うのは極力、避けたい。しかも知名度が低い。そこを解決してあげたいと思っていました。実はポートフォリオの全社にほぼ同じ悩みがある。それなら全体をサポートしようと思い、そのための人材も採用して体制を構築していまして、そのひとつがCareer Fairです。今回で3回目。毎回盛り上がっていますし、採用も決まっています。人材紹介会社みたいに、ひたすら電話をして紹介するというのも、それはそれでいいですけど、それではスケールしない。なので、もうすこしスマートに考えて、仕組化し、イベントにしました。日本の最大のスタートアップのキャリアフェアになっていると思う。これからさらにレベルアップしていきたい」

――ピッチの質は高かった
「うちの投資先には国内のスタートアップイベントで優勝したり、入賞していたりするところが多いんです。ピッチイベントがあって、ぼくらの投資先が参加していれば、だいたいトップ5に入ります。それにも理由があって、ピッチイベントの前に練習しています。コーチングみたいな。それに、起業家として重要なことのひとつは、ちゃんとコミュニケーションがとれることだと思っています。事業内容がどんなに複雑でも、ちゃんとクリアに説明して、心をつかむカリスマ性が大事。スタートアップは、今まで世の中にない世界をこれからつくりだす社会です。未来を作るのに、ひとりでは難しい。仲間を集める必要があります」


・500 Startups Japan:
https://500startups.jp/

・パネルディスカッションの様子は:
https://www.facebook.com/500StartupsJapan/videos/361851607938278

・エレベーターピッチの様子は:
https://www.facebook.com/500StartupsJapan/videos/295318621168025/

■パネルとピッチの登壇者は

■パネルの登壇者は以下の通り

中尾豊氏
KAKEHASHI 代表取締役CEO

松村大貴氏
株式会社空 代表取締役

笹原健太氏
株式会社Holmes 代表取締役

モデレーター:ジェームズ・ライニー氏
500 Startups Japan 代表兼マネージングパートナー




■エレベーターピッチに登壇したのは以下の16社

KAKEHASHI
(調剤薬局での患者さんの体験を向上させる次世代電子薬歴システムMusubiを展開)
https://www.kakehashi.life/

CAPS株式会社
(クリニック経営システムを提供し、プライマリケア・クリニックチェーンマネジメントを推進)
https://caps365.jp/

コネクテッドロボティクス株式会社
(飲食業向けロボットサービスの研究開発および販売)
https://connected-robotics.com/

株式会社Shippio
(重厚長大な”国際物流領域”のDigitalizationを徹底的に進め、誰もが簡単に輸出入が出来る世界を作る)
https://www.shippio.io/

株式会社justInCase
(保険を身近にする日本で唯一のIT保険会社)
https://justincase.jp/

株式会社SmartHR
(クラウド労務ソフト)
https://smarthr.co.jp/

株式会社すむたす
(AIを用いたオンライン不動産売買サービス)
https://sumutasu.co.jp/

株式会社Zehitomo
(フリーランスや中小企業のための集客支援ツールの提供)
https://www.zehitomo.com/

株式会社souco
(物流倉庫のairbnb、空き倉庫スペースと倉庫利用者のマッチング)
https://corporate.souco.space/

株式会社空
(現在はホテルの客室料金設定を効率化するレベニューマネジメントサービスを運営)
http://sora.flights/

DIGGLE株式会社
(経営者、経営企画向けの管理会計予実管理SaaS)
https://diggle.jp/

HiCustomer株式会社
(サブスクリプション事業向けカスタマーサクセス管理SaaSの提供)
https://hicustomer.jp/

株式会社Holmes
(クラウド契約書サービス「Holmes」の開発・運営)
https://www.holmescloud.com/

LENDY株式会社(旧クレジットエンジン)
(オンライン融資サービスのプラットフォーム開発および運営)
https://www.creditengine.jp/

ユリシーズ株式会社(”KAMINASHI”)
(食品工場のオペレーション管理SaaS)
http://www.ulysses-ltd.com/

株式会社ロジレス
(ECの自動出荷を実現する受注・在庫・倉庫管理SaaS)
https://www.logiless.co.jp/

開始前から熱気で包まれた500 Career Fairの会場

3分間にアピールするためなら・・・。ビジュアルでも強烈なインパクトを残したjustIncaseのピッチ

会場からの質問に真摯に答えるパネルの登壇者。左から500Startups Japanジェームズ・ライニー氏、KAKEHASHI中尾豊氏、空松村大貴氏、Holmes笹原健太氏

パネルディスカッションではしばしば笑いが起きた

エレベーターピッチで採用意欲を強くアピール

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