AIアナ「荒木ゆい」の声の技術で避難呼びかけ 神戸でスピーカー付きドローンの実験

AIアナ「荒木ゆい」の声の技術で避難呼びかけ 神戸でスピーカー付きドローンの実験

 DPCA、RUSEAは2月17日、ヴィッセル神戸のホームグラウンド、ノエビアスタジアム神戸(神戸市)で、近所で不審物が見つかったことを想定し、ドローンによる多言語の避難呼びかける実験を実施した。多言語情報発信を手掛ける株式会社Spectee、圧電スピーカー開発の有限会社ZenTecと連携した。


DPCA、RUSEAが多言語発信のSpectee,圧電スピーカーのZenTecと連携

 実験は国、県、市が共催し、約70の機関が参加した国民保護訓練の一環。ドローンの捜査は神戸市の「災害時のドローン運用協定」締結事業者の一つである一般財団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA、京都市)と、一般社団法人地域再生・防災ドローン利活用推進協会(RUSEA、大阪市)が担当。使われた機体はDJI MATRICE 600 PROで、カメラ、ライト、スピーカーを搭載した。

 用いられたスピーカーは、圧電スピーカーの開発を手掛ける有限会社ZenTec(兵庫県西宮市)が、武藤(たけふじ)佳恭・慶大環境情報学部教授の研究をもとに独自開発。7000ヘルツ前後の限られた周波数の伝達能力にすぐれていて、人の声が聞こえやすい。また耳に入った音が言葉として判別できるかどうかを左右する子音が聞き取りやすいことも特徴だ。空量が約500グラムと軽いこと、バッテリー消費が軽微なこともドローンの搭載に向いていると判断された。

 音声は、SNS速報配信サービスで実績を持ち、AIアナウンサー「荒木ゆい」の運用で知られる、株式会社Spectee(スペクティ、東京)の多言語発信技術を利用した。

 実験は会場最寄りの神戸市営地下鉄御崎公園駅構内で不審物が見つかったという想定で開始。情報が寄せられると、駅に近い、3階建ての特別養護老人ホーム花みさきの屋上で待機していたドローンを、DPCA、RUSEAのメンバーがフライトさせた。

 ドローンはプロペラガードが装着されたうえ、巻取り可能なワイヤーで係留され安全を重視。頭上20メートルほどの高さでホバリングしたドローンのスピーカーから音声が流されたところ、避難を呼びかけるメッセージを聞き取ることができた。

 この日は「御崎公園駅構内で不審物が発見されました。爆発の恐れがあるので、半径200メートル以内の方は避難をしてください」というメッセージが、日本語、韓国語、英語で流された。

 ドローンに搭載されたスピーカーで音声を流す取り組みでは、プロペラ音にかき消されたり、音が聞こえても言葉として認識できなかったりと、改善点が報告されることもある。今回の実験ではプロペラ音の中でも言葉として認識できたことから、ドローンによる避難呼びかけの一定の有効性を確認できたといえる。今後は、今回の実験を受けて、声の質、音量、読み上げの速さなどに改善余地がないか点検する。

 関係者は多言語技術による情報発信は、その言語の使い手をそろえる必用がなく、速報性が高いことがメリット。神戸市は今後「ラグビーワールドカップ 2019」など全国的な大規模イベントの開催を控えていて、外国人観光客の増加が見込まれるため、ドローンによる避難呼びかけは万が一のさいの選択肢として重視されることが確実だ。

3階建てのビル屋上から、電動リールでつながれたDJI MATRICE 600 PROが離陸=2月17日、神戸市兵庫区の当別養護老人ホーム花みさき

神戸市で開催された国民保護訓練で、ドローンに搭載されたスピーカーからの呼びかけに応じて避難した人々

訓練直前、DPCAテント前で入念に打ち合わせをするDPCA、RUSEAのメンバー

人の声が聞こえやすいスピーカーを提供したZenTecの橘善平代表取締役

ZenTecが製作したスピーカーがMARICEに搭載されている

実験の全体イメージ

Specteeが開発したAIアナウンサー「荒木ゆい」

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