NEDOなどが同一空域で4事業者が10機のドローンを同時運航

NEDOなどが同一空域で4事業者が10機のドローンを同時運航

福島県南相馬市。福島ロボットテストフィールドで、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心として、複数の参画企業が、同一空域・複数ドローン事業者のための運航管理システムの実証実験を3月1日、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで実施、10機のドローンによる同時飛行に成功した。


福島県と南相馬市に8社が協力した実証実験

 NEDOの実証実験に参加した企業は、日本電気(株)、(株)NTTデータ、(株)日立製作所、(株)NTTドコモ、楽天(株)、KDDI(株)、(株)ゼンリン、(一財)日本気象協会の8社。実証実験は、福島県と南相馬市の協力により、南相馬市復興工業団地内の「福島ロボットテストフィールド」で行われた。その目的は、同一の空域内に複数のドローン事業者がそれぞれの飛行目的に合わせて自律飛行するための運行管理システムの検証。近い将来、都市部で多くのドローンが飛び交う社会を実現するためには、すべての機体の飛行計画と飛行状況を把握し、その運行を統合的に管理するシステムが求められている。加えて、事業者が安全にドローンを運航するためには、気象情報や地形に構造物などの3次元地図情報も必要になる。こうした背景からNEDOは、運航管理システムの開発、衝突回避技術の開発、国際標準化活動に取り組んできた。NEDOのプロジェクトは、ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクトという事業名で、2017年度~2021年度の5年間を予定し、2018年度の予算は32.2億円となっている。今回の運航管理システムなどの開発には、この予算の中から一部が使われている。
 実験の開始に先立ち、NEDO ロボット・AI部 プロジェクトマネージャーの宮本和彦氏が、プロジェクトの概要とスケジュールについて説明した。宮本氏によれば、今回の実験では4つの利用シーンを想定し、900m × 600mの狭い空域に、10機のドローンがプログラムによる自律飛行で15分間の同時飛行を行う。そのために、NEDOは「情報提供」と「運航管理」と「運航管理統合」という3つの機能を備えた運行管理システムを開発した。「情報提供」機能とは、ゼンリンによる3次元地図情報に、日本気象協会による気象情報を伝える仕組み。この「地図と気象」の情報を受け取って、「運航管理」機能では、ドローンを飛行させる事業者が、個々の運航管理を申請する。申請された情報は、「運航管理統合」機能に送られ、こちらでも地図や気象の情報を参照しつつ、各事業者の飛行計画や空域で衝突などの危険がないかを判断し、飛行の承認か否認を伝える。
 「情報提供」と「運航管理」と「運航管理統合」が相互に連携することにより、飛行申請から計画に承認までの一連の流れが、システム化される。例えば、楽天の場合は自社の飛行管理システムに米国のAirmapを採用しているが、API(アプリケーションプログラムインターフェース)を介して、NEDOの「運航管理」機能と情報を相互交換することで、従来のオペレーションを変更せずに、今回の実証実験での連携を実現している。

同一空域を飛行する災害調査用のNTTドコモと警備用のセコムとKDDIのドローン=3月1日、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールド

4つの事業者が合計で10機のドローンを同時に飛行

 10機のドローンを同一空域で飛行させるにあたり、NEDOでは架空の災害シナリオを想定した。それは、災害が発生した地域に役割の異なる複数の事業者のドローンが同時に飛行するというもの。参加した4つの事業者は、NTTドコモが災害調査を担当し、セコムとKDDIが警備を行う。楽天は支援物資の配達で、日本郵便は郵便配達になる。それぞれの目的に合わせて、NTTドコモは災害調査ドローンと電波品質を測定するドローンを飛行させる。セコムとKDDIでは、高所と低空を飛行する警備ドローンを合計で4機飛ばす。楽天は、2機の物流ドローンを飛行させる。日本郵便も2機の郵便ドローンを飛ばす。
 実験が開始されると、4つの事業者は「運航管理」機能を介して、「運航管理統合」機能に飛行計画を送信する。運航管理システムの管理者は、飛行計画に干渉や禁止エリアが含まれていないかをチェックし、アラートなどが表示されていたら、飛行計画の見直しを事業者の「運航管理」に戻す。承認が得られなかった事業者は、改めて計画を策定し再申請を行う。こうして、10機の飛行計画が調整された時点で、飛行が許可される。
 一連の申請から承認のプロセスが完了すると、各所に待機していたドローンが離陸を開始する。その順番は、電波品質測定ドローンが最初となる。すべてのドローンが災害地において安全に飛行するためには、最初にLTEなどの通信電波の安定性が重要になる。そうしたシナリオに合わせて、電波品質を測定し安全性が確認されたという仮定のもと、次に災害調査ドローンが離陸し、次いで4機の警備ドローンが飛び立つ。
 実際の災害では、警備ドローンが被災者を発見して、その位置情報にもとづいて救援物資などが搬送されるのだが、今回の実験シナリオでは、あらかじめ設定されている飛行ルートにしたがって、楽天による7機目の物流ドローンが離陸した。続いて、日本郵便の郵便ドローンが飛び立ち、最終的には10機のドローンすべてが実験開始から7分後に福島ロボットテストフィールドの空域に自律飛行した。

物流関連では楽天と日本郵便のドローンが飛行した。

今後はAPIの公開と海外からの参加も募る

 これまでに、同一空域内で複数のドローンが飛行した事例としては、インテルのShootingStarドローンのような「群制御」がある。それに対して、今回の実証実験では複数の事業者が異なる目的で飛行する複数ドローンを同一空域内で制御した点に意義がある。宮本氏は、「今後は、運行管理システムのAPIを順次公開していく予定です。APIを公開することで、今回参画したドローン事業者以外の国内外のドローン事業者が、運航管理統合機能を利用したドローン運航試験を福島ロボットテストフィールド内で実施できるようにしていきます」と話す。
 将来的には、都市部などで1時間に1,000機のドローンを運航管理できるシステムの実現を目指していくという。

楽天はテストフィールド内に巨大なドローンポートを設置していた、これについては後日紹介する、

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