NEDOとエンルート、「消防士の空飛ぶチームメイト」世界初の300℃耐火ドローン開発

NEDOとエンルート、「消防士の空飛ぶチームメイト」世界初の300℃耐火ドローン開発

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) のプロジェクトにおいて(株)エンルート(埼玉県朝霞市)は、世界で初めて、火災現場に進入し、火元から10mの近距離空撮が可能な300°C耐火型ドローン「QC730FP」を開発したと3月6日、発表した。


火災現場への進入と近距離空撮が可能 4月にサンプルモニタリングをはじめ、10月から受注開始

 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) のプロジェクトにおいて(株)エンルート(埼玉県朝霞市)は、世界で初めて、火災現場に進入し、火元から10mの近距離空撮が可能な300°C耐火型ドローン「QC730FP」を開発したと3月6日、発表した。
 開発されたQC730FPは、はしご車が入ることができない狭い道路などの現場や、ビルや工場内の要救助者の救出ル ート確認、隣接建物などへの延焼状況の把握、消火活動後の再燃防止、さらには山岳地帯や水辺でも利活用できる「消防士の空飛ぶチームメイト」の実現を目指す。
 今後、同社は、4月から消防機関などへ製品サンプル提供とモニタリングを開始し、性能評価のフィードバックを進め、2019年10月から受注が開始される予定だ。
 なお今回発表された機体は、3月13日から15日まで幕張メッセで開催される「ジャパン・ドローン 2019」で、300°C耐火型ドローンの製品サンプルが展示される。

公開されたエンルートの300°C耐火型ドローン「QC730FP」=3月6日、東京・霞が関のNEDO分室

「防火服を着たドローン」で火災現場の上空支援

 耐火型ドローン開発に至った動機について同社は、消防機関と合同でドローンを活用した救助活動支援や防災訓練を行う機会が多くなり、訓練時に消防隊員から「火災現場で消防隊員の代わりに防火服を着たドローンがあったらといい」という声を聞き、2017年4月にNEDOのプロジェクトに公募し、開発を始めたと説明。消防士の防火服の耐火基準は260°C(ISO17493)ということから、ドローンの耐熱温度を300°C、その温度で1分間連続飛行できることを開発目標値とした。
 この耐火ドローンによる上空支援は、まず火元や要救助者の確認を行い、はしご車などの消防車両や隊員が現場へ侵入するルート確認、そして救助後の脱出ルートの確認などに活用されることが想定される。

耐火ボディ、風速20m/sに耐え、450°C以上の熱源は自動回避

炎に包まれても耐える機体(エンルート提供)

 機体のボディとフレームはマグネシウム金属を使い、プロペラには耐火性があり、加工しやすく軽量で、量産可能なチタンなどの素材を採用、さらにそれらのパーツは2000°Cまでの耐火性があるジルコニアで表面塗装が施された。
 こうして開発された300°C耐火型ドローンは機体下部に通常の動画カメラと赤外線カメラを搭載、、炎の中でも撮影できるように、前面は石英のガラス窓が施された。映像は機体の側面にある映像伝送装置により920MHzの無線で伝送され、映像とともに温度センサーが捉えた情報などのフライト情報も送られる。この映像システムによって、火元には通常のドローンだと50mほど離れなければならなかったが、5〜10mの近距離で、より詳細な現場情報を伝えることが可能となった。飛行可能時間は20分で、バッテリー交換は今後カセット方式を考えているという。
 開発された機体は、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで熱風などに対する環境試験が行割れた。火災現場での熱風対策として、風洞試験では風速20m/sまでの耐風性能が確認された。また自律制御機能では、450°C以上の熱源は自動回避し、衝突防止や、落下時の安全対策についても確認された。課題としてはバックドラフトのような爆風対策や複数機の連携飛行などは現在研究中という。

機体ボディとフレームはマグネシウム金属でジルコニアで表面塗装されている。全面下部には通常の動画カメラと赤外線カメラが搭載され、撮影窓は石英ガラスで覆われた。

 エンルートの瀧川正靖社長は今後について「4月から消防機関などにサンプル提供とモニタリングを行う。そのフィードバックを機体に反映させ、10月に受注を開始、来春の実用化を目指したい」と話した。
 NEDOの宮本和彦ロボット・AI部プロジェクトマネージャーは「2017年から取り組んできた「ロボット・ドローンが活躍する、省エネルギー社会の実現(NEDO DRESS)プロジェクト」で、この300°C耐火ドローンは最初の実用化案件となる。2019年度は、機体性能開発、運行管理および衝突回避システム開発、国際標準化の推進の3つの研究開発からAPIを順次公開し国内外に発信したい」と話した。

300°C耐火型ドローン「QC730FP」の記者発表を行ったエンルートの瀧川正靖社長(左)とNEDOの宮本和彦ロボット・AI部プロジェクトマネージャー。

機体概要

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