【Japan Drone 2019】ドローン専用テストフィールド福島RTF始動! 目視外飛行実現に向けた大規模実証実験報告

【Japan Drone 2019】ドローン専用テストフィールド福島RTF始動! 目視外飛行実現に向けた大規模実証実験報告

JUIDA、JUAV、JUTM、NICTは、福島ロボットテストフィールド(福島RTF)の機能評価と目視外飛行実現に向けた大規模実証実験を実施、3月15日、ジャパンドローン2019の最終日の特別講演でその成果を報告した。


 一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)、一般 社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)及び一般財団法人総 合研究奨励会日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)および国立開発法人情報通信研究機構((NICT)は、福島ロボットテストフィールド(福島RTF)の機能評価と目視外飛行実現に向けた大規模実証実験を実施、3月15日、ジャパンドローン2019の最終日の特別講演でその成果を報告した。

特別講演する(左から)一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長、福島県商工労働部ロボット産業推進室の北島明文室長、一般 社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)の和田昭久理事、一般財団法人総 合研究奨励会日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)の原田賢哉幹事および国立開発法人情報通信研究機構((NICT)の三浦龍主席研究員=3月15日、幕張メッセ

 最初に福島県商工労働部ロボット産業推進室の北島明文室長が福島RTFについて説明した。昨年7月に通信塔と広域飛行区域がオープンし、これまでに施設を使って180件の飛行実験を行っているという。
 通信塔には通信、気象、衝突回避の3つの機能が通信塔に集約され、安全で円滑な試験環境が提供される。また13キロにわたる広域飛行区域は、飛行ルートが周辺住民の理解のもと円滑に設定できると説明した。
 北島室長は「NEDOや JUIDA、JUAV、JUTMの3団体と協力協定を結んで、ドローンの性能評価に関する検討を進めている。将来的には、単なる試験フィールドではなく、ドローンの性能設計や、制度運用のメインプレーヤーに成長させて行きたい」と話した。
 福島RTFでは、今後の開所予定として、空飛ぶ車など航空法上飛ばせないものの実験が行える「緩衝ネット付飛行場」、最大で風速20mの環境を作り出し飛行性能を試すことのできる無人航空機専用の「風洞棟」、点検などの飛行検証が行える「試験用橋梁」などがある。
 今年度はドローンの編隊飛行、落下試験、運行管理システムや有人機・無人機の衝突回避実験などを行なった実績から、来年度も様々な試験の要望を受け入れたいしている。

■各団体が福島RTFを活用し、各部門別に評価

 次にJUIDA、JUAV、JUTM、NICTの4団体が行なった3つの共同事業について、一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長が概要説明を行なった。
 第一にNICTによって福島RTFの通信塔の機能評価。通信塔の基本機能を確認した。
 第2に目視外飛行の機体、運行管理システム(UTM)への接続。3団体が、福島RTFを活用した「機体」「UTM」「操縦者」「事業者」の評価基準を作成、実証実験を実施した。
 第3にJUIDAが海外テストフィールドの調査。日本だけではなく海外にあるテストフィールドとの連携が今後重要となる。その調査をJUIDAが行なった。
 以上は実施体制はJUIDAが取りまとめる形で、UAVが機体に関する部門、JUTM運行管理システムに関する部門、NICT通信等を利用した飛行検証に関する部門について3団体が協力して行なったと説明した。

■NICTがいち早く開設された通信塔を機能評価

 福島RTFで通信を担当した国立開発法人情報通信研究機構(NICT)の三浦龍主席研究員は、通信塔の施設評価について報告した。
 NICTは高さ30mの鉄塔である通信塔の機能評価で、①通信塔が備えている周辺の風速を監視する気象加速装置ライダー、②空域を監視するUTM/レーダー、③長距離飛行を実現する長距離通信アンテナについての機能評価を昨年11月に行なった。
 この時の実験では、空域監視装置は、飛行するドローンの位置をしっかりと検知した。気象観測装置は、2km〜10kmの範囲で高さ30mから150mまでの範囲の風速が観測が可能であることがわかった。また約13km離れている原町通信塔と小高通信塔の通信装置の機能を評価では、2月に長距離目視外飛行を行なった。試験では、約4km海岸沿いに飛行させ、通信が維持されることを確認、通信塔の真上にNICTが開発したマルチゴップC2リンクを設置して、3kmまでの長距離飛行において、通信塔の高さを利用、車両などの中継局を使っての通信維持を確認することができた。

■JUIDA、JUAV、JUTMが目視外飛行実現に向けた大規模実証実験

 ドローンを取り巻く環境は、今年度から無人地帯での補助者なしで目視外飛行(レベル3)の運用が本格化し、整ってきているとした上で、実験では第三者上空での目視外飛行(レベル4)に向けた上級資格に関してどのような整備が必要なのかを検討した。
 今回は飛行事前準備および飛行実技について評価を検討した。
 具体的には飛行前のブリーフィング、飛行後のデブリーフィングの評価を実際行なった。チェックリストを作って実際に飛行させ、運用中のコミュニケーション、様々な異常事態への対応、危険な状況の認識と意思決定などについて評価して、今後の指導の確立に向け準備ができた。
 JUIDAの鈴木理事長は「目視外飛行の運用では『どう操縦するか』から『どう認識しどう判断するか』が重要になる」と話した。

(1)福島RTFの敷地をフルに活用し、期待の機能評価

 機体の評価基準作成については一般社団法人日本産業用無人航空機工業会(JUAV)が担当し、すでにJUAVが設定している安全基準に基づき、目視外飛行を想定した航空機の認証を行うための評価基準を設定し、福島RTFの敷地を最大限に活用して無人ヘリコプターとマルチローター型小型無人機の2機のドローンを使って模擬的な評価を実施した。
 無人ヘリは目視外で、福島RTFの西端から東端まで約790mを高度40mで飛行させ、東端で飛行安定性の検証のため15分間の定点滞空を行なった。
 マルチローター型の無人機では、目視外ではないが高度30mで通信がロストした場合、安全に緊急退避エリアへの着陸ができるか、そして落下機体のログの回収についての検証を行なった。 
 JUAVの和田昭久理事は「以上の2つの試験から得られたデータをベースに、目視外飛行の安全基準について対応したい」と述べた。

(2)UTMシステムによる情報共有で、目視外飛行を安全かつ円滑に実施

 運行管理システムについては日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)が担当した。オペレーターがUTMシステムから得られる自動飛行に必要な第三者の立ち入り管理、有人機等の監視、自機の監視、自機周辺の気象情報の監視といった用件情報について、公開実験では、これらの機能を実際に利用して、ドローンを飛行させて機能をどのように活用していくかのガイドライの強化、検証を行なった。
 具体的には、通信塔から得られる、空域情報、気象情報を福島RTFに新たに設置されたUTMシステムを通じてドローンのオペレーターに提供した。ドローンのオペレーターはこのシステムに接続して自分が飛ばしている機体の位置情報などを送信し、UTMシステムを通じ共有することで、周囲を飛行している他のドローンの情報を把握することもできる。
中でも重要な管理として福島RTFは第三者の立ち入り管理も行なっており、その範囲についてもUTMシステムを使って確認することができる。
 JUTMの原田賢哉幹事は「目視外飛行のための技術開発、より安全にかつ円滑に実施するために福島RTFを活用できるようにする。福島RTFはまだ完成したものではないので、改善していくための評価も合わせて行なった」と話した。

 福島RTFにおける実験についてJUIDAの鈴木理事長は「実験は北海道などでも行なってきたが、福島RTFは陸路でいけるというところがメリット。今回3団体がそれぞれの機能というところで独自に評価の検討のための検証を行なったが、今後、通信塔のフル機能そして今回作成した全ての評価基準を用いて、補助者なしの目視外飛行を原町・小高の通信塔間の長距離飛行実験を行い、JUAVは機体の評価、JUTMは運行管理の評価、JUIDAは操縦者、事業者の上級認定について連携したい」とこれから本格化する長距離の物流のドローン、その事業者、その運行管理システムを総合的に評価したいと述べた。
 福島県の北島室長は「福島RTFは整備中で、予定されている20以上の施設のうちの3施設ができ上がったという状況。今年度は3団体はじめ6500名以上の研究者に訪問してもらい、テストを実施した。今後の展望としては、様々なドローン、ロボットのルール形成に貢献し、福島RTFの職員も専門家集団に育て上げ、評価試験の手伝いをしたい」とし、来年の同時期には全面開所となるとの見通しを述べた。
 北島室長の話を受けて、JUIDAの鈴木理事長は「来年のジャパンドローン展では福島RTFのツアーも予定に入れたい」と特別講演を締めくくった。

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