NVIDIAが小型でパワフルな99 ドルのNVIDIA CUDA-X AI コンピューターJetson Nano を発表

NVIDIAが小型でパワフルな99 ドルのNVIDIA CUDA-X AI コンピューターJetson Nano を発表

2019 年 3 月 18 日 - カリフォルニア州サンノゼ。NVIDIA は米国で開催したGPU Technology Conferenceで、数百万のインテリジェントなシステムの開発を可能にする AI コンピューター Jetson Nano を発表した。


あらゆる AI モデルに対応する小型でパワフルで低価格なNVIDIA CUDA-X AI コンピューター

99ドルで手に入るAIコンピュータのJetson Nano

 小型でパワフルな CUDA-X AI コンピューターは、最新のAI ワークロードに対応し、472 GFLOPS の演算性能を持ちながら、電力効率がよく、駆動させるための消費電力はわずか 5 ワットとなっている。
 GPU Technology Conference で NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン (Jensen Huang)氏が発表したJetson Nano は、開発者やクリエーター、ホビイスト向けの 99 ドル(約1万1千円)の開発者キットと、量産アプリケーションを見据えたエッジ システムを開発する企業向けの、すぐにでも量産製品への実装が可能な129 ドルのモジュールの 2 種類が用意されている。

Jetson Nano開発キット

 Jetson Nano は、高解像度センサーに対応し、多くのセンサーを並行処理できる。また、それぞれのセンサーからの入力データに対して複数の最先端ニューラル ネットワークを実行できる。さらに、多くの主要な AI フレームワークに対応し、開発者は、柔軟に適切なモデルやフレームワークを選択して製品に簡単に組み込める。
 Jetson Nano は、完全な自律動作マシン向けのパワフルな Jetson AGX Xavier や、エッジで AI を活用するための Jetson TX2 が属するJetsonファミリーに加わった、新しい製品ラインナップになる。大手企業からスタートアップ企業に、研究者のニーズに応えてきたJetson プラットフォームが、Jetson Nano を介して全世界の 3,000 万のクリエーターやホビイスト、開発者、発明家および学生の手の届くものとなった。
 NVIDIA のバイス プレジデント 兼 自律動作マシン担当 ゼネラル マネージャーのディープゥ タッラ (Deepu Talla) は、「Jetson Nano によって、誰もが AI をより利用しやすくなります。そのJetson Nano は、米国を代表するスーパーコンピューターに採用されているアーキテクチャと同一で、同じソフトウェアで動きます。AI を個人のクリエーターやホビイストにもたらすという動きは、イノベーションの新たな世界の幕開けを告げるものであり、多くの人々に、夢のある開発に取り組むモチベーションを与えることでしょう。」と述べる。

Jetson Nanoファミリー

【Jetson Nano 開発者キット】
 AI のパワーは、個人開発者コミュニティおよび教育の分野では、ほとんどの人にとって手の届かないものとなっている。なぜなら、大衆向けのテクノロジでは、十分なコンピューティング パワーを実装できず、AI のソフトウェア プラットフォームも充実していないからだ。
 99 ドルという価格の Jetson Nano 開発者キットは、最新の AI のパワーをローコストのプラットフォームにもたらすものであり、これによって、個人のクリエーターや発明家、開発者、学生といった人々が新たなイノベーションの波を生み出すことを促進する。これらの人々は、過去には不可能であった AI プロジェクトを立ち上げたり、モバイル ロボットやドローン、デジタル アシスタント、自動化された家電製品といったような、多数の既存プロジェクトを新たなレベルに引き上げることができる。
 このキットには、フルデスクトップ Linux で開発を進めるための丁寧なサポート、多くの入手性の高い周辺機器および付属品との互換性、ならびに個人開発者が AI をすぐに使いこなせるようにする、プロジェクトとチュートリアルが含まれている。またNVIDIA では、技術的な質問に答えるための Jetson developer forum も用意している。

 DIY Robocars、DIY Drones および Linux 基金 Dronecode プロジェクトのクリス アンダーソン (Chris Anderson) 氏は、「Jetson Nano 開発者キットは、先進の AI を、本当に使いやすいかたちで DIY ムーブメントにもたらしてくれる、非常に魅力的な製品です。私たちは、個人開発者コミュニティにこのテクノロジを広く紹介する予定です。なぜならば、これはディープラーニングやロボティクスを幅広く様々な人たちに習得してもらえる、パワフルで、楽しく、安価なプラットフォームだからです。」とコメントする。

【Jetson Nano モジュール】
 これまで、企業は、サイズ、パワー、コストおよび AI に必要な高い演算能力という様々な制約を受けていた。 Jetson Nano モジュールは、ネットワーク ビデオ レコーダーやホーム ロボット、多くの分析機能を持ったインテリジェントなゲートウェイといった、新たな組込みアプリケーションの実現を可能にする。このモジュールの活用により、複雑で信頼性の高い、電力効率に優れた AI システムのハードウェア設計、テストおよび検証に費やす時間を削減することができ、全体的な開発時間が短縮され、より早いマーケットへの製品投入が可能となる。
 このモジュールは、電力管理、クロッキング、メモリ、および様々な入出力インタフェースが最適に統合設計されたかたちで提供される。また、AIの ワークロードは完全にソフトウェアによって定義されるため、企業は、システムを実装したあとも、ソフトウェアのアップデートによって性能や機能を向上させることができる。

 Cisco のバイスプレジデント 兼 Webex Devices 担当ゼネラル マネージャーのサンディープ・メヘラ (Sandeep Mehra) 氏は、「Cisco Collaboration のミッションは、あらゆる場所のあらゆる人々をつなぎ、豊かで実際にその場にいるかのようなミーティングを提供することです。当社と NVIDIA との連携、ならびに Jetson ファミリーの利用は、当社の成功に欠かせないものとなっています。Jetson プラットフォームによってエッジでの先進の AI 機能の利用が可能になっているおかげで、当社は、人々がよりよい環境で仕事をできるようにする、新たな体験を生み出すことができています。」と話す。

 ユーザーがAI 機能および機械学習のワークロードを簡単にエッジへ移行できるようにするために、NVIDIA は Amazon Web Services と協業し、AWS Internet of Things Greengrass を、最適化されたかたちでJetson Nano のような Jetson 実装デバイスで利用できるようにした。
 Amazon Web Services, Inc. の IoT 担当バイスプレジデントのダーク・ディダスカロウ (Dirk Didascalou) 氏は、「当社のお客様は、エネルギー管理や製造、物流およびスマート ビルディング/ホームなど、多様な業界に属しています。これらすべての業界のプレーヤーは、AIとコンピューター ビジョンをそれぞれのアプリケーション上に構築し、ほぼリアルタイムで何らかの処理をエッジで行っています。AWS IoT Greengrass により、当社のお客様は、Jetson を実装したデバイスを用いてローカルで推論を行い、適切な関連データをクラウドに送り返してモデルをトレーニングすることでパフォーマンスを向上することができます。」と述べる。

【Jetson ファミリー全体を網羅する、単一のソフトウェア スタック】
 NVIDIA CUDA-X は、40 以上のアクセラレーション ライブラリを集めたもので、これを用いることにより、今日のコンピューティング アプリケーションに、NVIDIA の GPU アクセラレーション型コンピューティング プラットフォームの恩恵をもたらす。CUDA-X上に構築された JetPack SDK は、Jetson ファミリー全体に対応する、包括的な AI ソフトウェア スタックで、ディープラーニング、コンピューター ビジョン、コンピューター グラフィックスおよびマルチメディア処理のためのアクセラレーション ライブラリで構成されている。
 JetPack には、CUDA, cuDNN, TensorRT およびフルデスクトップの Linux OS の最新バージョンが含まれている。Jetson は、NVIDIA が AI コンピューティングを進展させるために 10 年の歳月と数十億ドルの費用をかけてつくりあげてきたNVIDIAの AI プラットフォームに対応している。

【プロトタイプを迅速に作成するためのリファレンス プラットフォーム】
 NVIDIA は、最初のハードウェアの組み立て工程に費やす時間を最小化することで AI アプリケーションの構築を即座に開始できるレファレンス プラットフォームも用意した。NVIDIA JetBot は、既存の購入可能なコンポーネントで組み立てることのできる、小型のモバイル ロボットで、その詳細情報は GitHub 上で公開されている。

【Jetson Nano のシステム仕様とソフトウェア】

Jetson Nano の主な内容:

GPU: 128 基のコアを搭載した、 NVIDIA Maxwell アーキテクチャをベースとした GPU
CPU: Quad-core ARM A57
ビデオ: 4K @ 30 fps (H.264/H.265) / 4K @ 60 fps (H.264/H.265) でのエンコードおよびデコード
カメラ: MIPI CSI-2 DPHY レーン、12x (モジュール) および 1x (開発者キット)
メモリ: 4 GB 64 ビット LPDDR4、25.6 ギガバイト/秒
コネクティビティ: ギガビット イーサネット
対応OS: Linux for Tegra
モジュールのサイズ: 70mm x 45mm
開発者キットのサイズ: 100mm x 80mm

【発売予定】
現在、NVIDIA Jetson Nano 開発者キットは、99 ドルで入手可能となっている。Jetson Nano モジュールは 129 ドル (発注数量が1,000 個以上の場合)で、6 月より出荷される予定。どちらも NVIDIA の 主要なグローバル ディストリビューターを通じて販売される。開発者キットは、メーカーの流通経路、 Seeed Studio および SparkFun でも購入できる。

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