最新鋭の農業用ドローンに見る国内ドローン事情詳報(1)

最新鋭の農業用ドローンに見る国内ドローン事情詳報(1)

次世代農業EXPOには、国内の主要なドローンベンダーが集まり、最新鋭の機体を展示した。すでに販売実績のあるモデルから、数年後の製品化を目指すプロトタイプまで、国内のドローン事情が俯瞰できる展示会となっていた。(田中亘)


散布用ドローンは講習とのセット販売が主流

株式会社ヨコヤマ・コーポレーションのMulsanDAX(マルサンダックス)04

 農業用ドローンは、一般社団法人 農林水産航空協会の産業用無人航空機運用要領に定められている機体の認証とオペレーターの認定が必要になる。次世代農業EXPOに集まったドローンの多くは、この認証を得た機体と、薬剤散布とは異なる目的で利用する機体に分かれる。その中で、空中からの散布を目的としたドローンの多くは、最大で10リットルの薬剤を入れたタンクを搭載して飛行できる性能を備える。10リットルは、約1ヘクタールの田畑に散布できる量。機種によっては、4メートルの幅を時速約15キロメートルで飛行し、約10分で散布できる。
 このペイロード10リットルの分野では、株式会社ヨコヤマ・コーポレーションのMulsanDAX(マルサンダックス)04という薬剤散布用マルチローターが、国内で最初に一般社団法人 農林水産航空協会から、性能認定を受けている。販売価格は基本セットが2,550,000円(税別)と、ヘリコプター型の農薬散布機に比べて、四分の一以下となっている。マルサンダックス04を販売するヨコヤマ・コーポレーションのTEAD事業部では、機体の取り扱いだけではなく、オペレーターの教習も行っている。同じく10kgタイプのドローンを開発し販売しているのが、メディックス株式会社のJABO N4010。本体のみの価格が898,000円(税別)とコストパフォーマンスに優れている。この会社では、10kg型の他に、5kgと3kgの小型モデルも開発している。また、液肥の散布だけではなく、タンクを取り替えることで粒剤も散布できる。同社でも、スタジオファルコンと組んで、ドローンの操縦講習を行っている。

メディックス株式会社のJABO N4010

DJI Japanが初の農業用ドローンを展示

スカイロボットによるDJI AGRAS MG-1のデモフライト

 空撮用ドローンで世界的なシェアを誇る中国DJI社の日本法人DJI Japanでは、販売代理店のスカイロボットと協力して、DJI AGRAS MG-1の展示とデモフライトを行っていた。今回のEXPO会場の中でも、かなり広い展示スペースを確保し、専用のケージを特設して実際の機体を飛行させていた。DJI AGRAS MG-1は、液剤を10kgまで搭載が可能で、機体は防水性と防塵性に耐蝕性に優れている。8つのプロペラを備えたオクタコプター型で、アームとプロペラを折りたたんでコンパクトに持ち運べる。
 専用の送信機には、バッテリー残量や飛行高度に速度などがLEDで表示される。現在は、一般社団法人 農林水産航空協会への登録と認可を申請中。国内では、スカイロボットが販売とオペレーターの教育を担当する。オペレーター向けの農業テクニカルコースでは、8日間の屋内・屋外・eラーニングを実施し、運航管理や操縦技術に散布農薬などの知識と実践を学ぶ。

液剤の散布はペイロード10リットルと5リットルが中心

 一方で、5kgタイプの機体で販売実績を伸ばしているのが、株式会社エンルートのZion(ザイオン)AC940-D。同社のドローンは汎用性の高いオクタコプターで、液剤や粒剤を散布する装置を取り付けて、液剤ならば5リットル粒剤ならば7リットルまでの散布に対応する。会場には、このZion AC940-Dの他に、開発中のペイロード10リットルモデルのZion 1200も参考展示していた。Zion 1200は、4プロペラのモデルながら、高いペイロードを実現している。農薬散布用ドローンおいては、10リットルのタンクを搭載できるかどうかが、液剤の散布における大きな目安となっていた。10リットルタイプよりも小型の5リットルのタイプは、個人で購入して利用する例が多いという。東光鉄工株式会社のUAV事業部が開発し販売しているTSV-AH1は4リットルのタンクを搭載し、0.5ヘクタールの田畑を約7分で散布できる。同社によれば、小型のモデルは購入価格が安くなるので、予備のバッテリーを用意しておけば、広い田畑でも数回に分けて散布できるので、個人で液剤などの散布を行う生産者の需要が高いという。
 さらに、参考出品ながら、2年後の実用化を目指して、完全自動飛行による10リットルの液剤を散布できるマルチコプターを株式会社ナイルワークスが展示していた。タブレットによる操作で熟練オペレーターを不要にし、年間100万円のレンタル料でのサービス提供を目指している。

東光鉄工株式会社のUAV事業部が開発し販売しているドローン

エンルートの参考展示Zion 1200

株式会社ナイルワークスの試作ドローン

この記事のライター

関連する投稿


ドローンが1日で4名の人命救助に貢献 DJIが発表

ドローンが1日で4名の人命救助に貢献 DJIが発表

ドローンを活用した救助活動が、5月31日のたった1日で、英国と米国の消防などの公共安全機関よって3件4名の人命救助に役立った。DJIは、これまでに少なくとも133名の人命救助についてドローンが活用されたと発表した。


岩手県ドローン協会が岩手県雫石町とドローンを活用した災害時等業務協力協定を締結 DJI社製新型物資搬送ドローン「QS8」を採用

岩手県ドローン協会が岩手県雫石町とドローンを活用した災害時等業務協力協定を締結 DJI社製新型物資搬送ドローン「QS8」を採用

一般社団法人岩手県ドローン協会(佐藤亮厚代表理事、 会員13社)は岩手県雫石町とドローンを活用した災害時等業務協力協定を、5月23日に締結した。 同協会が県内の市町村と災害協定を結ぶのは今回がはじめて。今後は大雨災害などの大規模災害や山岳遭難事故発生時に、雫石町が同協会に出動の要請を行う。


DJI ZENMUSE XT2の国内事例を紹介

DJI ZENMUSE XT2の国内事例を紹介

DJI JAPAN株式会社(本社:東京都品川、代表取締役:呉韜)は、赤外線カメラのZENMUSE XT2の国内事例を報道関係者と代理店や関係者に発表した。


DJIドローンの見つめる将来を呉社長が語る

DJIドローンの見つめる将来を呉社長が語る

2018年5月22日。あきる野ドローン協会の主催した「あきる野DRONE FORUM 2018」の基調講演に登壇したDJI JAPAN株式会社の呉韜代表取締役は、「DJIドローンの見つめる将来」というテーマで講演した。(田中亘)


Amazonプライムオリジナルシリーズ「You Are Wanted」でDJI機器を利用

Amazonプライムオリジナルシリーズ「You Are Wanted」でDJI機器を利用

2018年5月18日-民間用ドローンとカメラジンバルで有名なDJI(中国)は、Amazonプライムのオリジナルシリーズ「You Are Wanted」の第2シーズンをDJI Inspire 2とZenmuse X7カメラなどでサポートした。


最新の投稿


「FAIドローンレーシング世界大会」 FAI、JMA、ALIが2020年の日本開催を目指し協力することで合意

「FAIドローンレーシング世界大会」 FAI、JMA、ALIが2020年の日本開催を目指し協力することで合意

 ドローン、ホバーバイクの開発などを手掛ける株式会社エアリアルラボインダストリーズ(ALI、東京)は、国際航空連盟(FAI)幹部らとパリで会談し、2020年にFAI 公認レース「FAI Drone Racing 世界大会」の日本開催を目指して協力することで合意したと発表した。ALIは複数の企業と連携する方針だ。


世界初!? Phantom 4をプログラミングで飛行させるソフトをジツタが開発

世界初!? Phantom 4をプログラミングで飛行させるソフトをジツタが開発

6月13日と14日に都内で開催された「CHIYODA EXPO 2018」に出展した株式会社ジツタ(本社:愛媛県、代表取締役社長:山内延恭)は、非GPS環境でのドローン精密誘導システムを応用し、DJI Phantom 4をプログラミングで制御するソフトの先行デモを行った。同社によれば世界初の試みだという。


ロケーションビジネスで活躍するドローンの最前線

ロケーションビジネスで活躍するドローンの最前線

幕張メッセで開催されたロケーションテクノロジーの展示会Locaiton Business Japan 2018で、ドローン特別企画が設けられ、数々のドローンとソリューションが紹介された。


NEDO、インフラ点検や災害対応に活用する「ロボット性能評価手順書」を公表

NEDO、インフラ点検や災害対応に活用する「ロボット性能評価手順書」を公表

NEDOと経済産業省は、インフラ点検や災害対応向けの各種ロボットの性能を実際の現場への導入前に把握するための性能評価手法を「ロボット性能評価手順書」として公表した。


ドローンが飛び交う社会を目指した研究の最前線

ドローンが飛び交う社会を目指した研究の最前線

幕張メッセで開催されたInterop 2018と同時開催されたLocation Business Japan 2018のドローン特設エリアに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ドローンが飛び交う社会を目指した最新の試験モデルを展示した。