IoT展に登場した国産ドローンと新たな「視覚」

IoT展に登場した国産ドローンと新たな「視覚」

10月26日から幕張メッセで開催された「第二回 IoT/M2M展」の会場に、国産ドローンやドローンに搭載するセンサーカメラが登場した。空からのIoTを加速するドローンの最前線を取材した。(田中亘)


佐賀県と佐賀大学が連携するIT農業向け国産ドローン

アグリドローンの展示コーナー

国立大学法人佐賀大学農学部(以下 佐賀大学)ならびに佐賀県農林水産部(以下 佐賀県)、株式会社オプティム(以下 オプティム)は、「楽しく、かっこよく、稼げる農業」を目指して、三者連携協定を結び「アグリドローン」を開発してきた。展示コーナーには、開発中の機体が吊るされていた。「アグリドローン」は、フライトコントローラーに3D Robotics社のPixhawkを採用し、機体などを独自に設計している。その特長は、センサー機能と薬剤散布の両立。機体の前方下部に近赤外線カメラやサーモカメラなどを取り付けられるので、用途に合わせて切り替えて撮影できる。また自動飛行機能を備える。そして、最大2kgのペイロードによる薬剤の散布が可能。2kgというペイロードは、これまでの農業向けドローンと比較すると小さい。しかし、オプティムの九州エリアマネージャーの長沼俊介氏によれば「圃場や畑を撮影した画像データを解析して、問題のある個所にだけピンポイントでの農薬散布が可能なので2kgで充分」だという。現在は、佐賀県の提供する農業試験場での実証実験を繰り返し、カメラで撮影したデータを佐賀大学が協力して、生育分析や害虫被害の検出を研究している。「アグリドローン」の価格や発売時期は未定だが、必要な認可の申請と実証実験から得られたデータを元に、製品化に向けて取り組んでいるという。

開発中の機体の展示

機体の下部にはカメラを取り付けるアダプタと薬剤を散布できるタンクや噴霧装置を備える

エアロセンス社のドローンに「視覚」を提供するレグラス社のステレオカメラ

エアロセンス社のドローンに搭載されたステレオカメラ

画像処理技術を核とした先端技術を開発している株式会社レグラス(本社:東京都)は、エアロセンス社のドローン用の「視覚」となるステレオカメラを展示していた。同社は、車載用や高速画像検査向けなどの用途に、高性能な小型インテリジェントカメラを数多く開発している。今回、エアロセンス社のドローン搭載したステレオカメラは、その小型カメラを2個利用したもの。ステレオカメラによって、ドローンが物体の奥行などを認識できるようになる。レグラス社の古澤弘毅代表取締役社長によれば、「当社のステレオカメラによって、エアロセンス社のドローンは障害物などを立体的に認識し、屋内などでの自律飛行に役立てられると思います」と話す。同社ではステレオカメラの他にも、マルチスペクトルを計測できるセンサーカメラも開発中で、需要があればドローンへの搭載も検討していくという。ドローンの自律飛行と高性能なセンサーカメラの組み合わせは、空からのIoT端末として必須の機能。今年のIoT展では、その可能性を示すドローンやセンサーの展示が見られた。

レグラス社の古澤弘毅代表取締役社長とステレオカメラを搭載して自律飛行するドローンの試験映像

この記事のライター

関連する投稿


オプティムと藤枝市がドローン利用を見据えた精密農業を開始

オプティムと藤枝市がドローン利用を見据えた精密農業を開始

IT企業の株式会社オプティム(本社:東京都港区、代表者:菅谷俊二)は、静岡県藤枝市の「IoT(LPWA)プラットフォームを活用した公共テーマ型実証実験事業」の「圃場データの可視化による農業の圃場管理支援」事業者に選定され、ドローン活用も見据えた精密農業の「圃場管理支援事業」を開始する。


「ドローンソフトウェアエンジニア養成講座」の成果発表(2)

「ドローンソフトウェアエンジニア養成講座」の成果発表(2)

「ドローンソフトウェアエンジニア養成講座」を修了した一期生と二期生の中から、優秀な成果を出した塾生が、その内容を発表した。


先進技術を救急救命の現場に活用する EDACの取り組みと成果

先進技術を救急救命の現場に活用する EDACの取り組みと成果

ドローンなど先進技術を活用した救急救命の実証実験に取り組む「救急医療・災害対応無人機等自動支援システム活用推進協議会(略称:EDAC)」は、東京都内でシンポジウムを開き、1月23日に九州大学伊都キャンパス(福岡)で行われた実証実験の成果などを発表した。


米CES 2017で注目を集めた日本のLoRaDrone

米CES 2017で注目を集めた日本のLoRaDrone

ITベンダーの株式会社システナ(本社:東京、代表取締役社長:三浦賢治)の米国子会社のSystena America Incは、米国ラスベガスで開催された家電ショーのCES2017に、世界初となるLoRaDroneを出展した。(田中亘)


ドローン映像とセンサーデータで病虫害防除、生育管理や新たな就農者を増やす取り組み

ドローン映像とセンサーデータで病虫害防除、生育管理や新たな就農者を増やす取り組み

農業は「国民に対する食料の安定的供給」という重要な役割を持つ産業です。しかし今の日本では、農業をめぐりさまざまな課題が存在します。


最新の投稿


スカイロボットがドローン計測データの可視化に簡易ビューアー「Sky Viewer (スカイ ビューアー))の販売開始

スカイロボットがドローン計測データの可視化に簡易ビューアー「Sky Viewer (スカイ ビューアー))の販売開始

スカイロボットは、 サイバネットと共同で開発したドローン計測データ用簡易可視化ビューアー「Sky Viewer(スカイ ビューアー)」も販売を開始した。


東海地方の3自治体が、DJIの産業用ドローンプラットフォームを防災や捜索救助活動に試験運用

東海地方の3自治体が、DJIの産業用ドローンプラットフォームを防災や捜索救助活動に試験運用

DJI JAPAN株式会社(東京都港)は、静岡県焼津市危機対策課(市長:中野 弘道)、愛知県豊川市防災対策課(市長:山脇 実)と志太消防本部(消防長:増岡 直人)が、自然災害などに起因する捜索救助に活用するため、DJIの産業用空撮プラットフォームの試験運用を開始した。


DJIがドローンで思い出を撮りたくなるキャンペーンをスタート

DJIがドローンで思い出を撮りたくなるキャンペーンをスタート

DJI JAPAN 株式会社(東京都港区)は、 “ドローンが見せてくれる新しい日常を思い出として残そう“というコンセプトのもと、 初めてのドローン体験をまとめたスペシャルムービーや日本各地で撮影された空撮イメージをマップ上にまとめたキャンペーン「思い出を飛ばそう。 with DJI」を開始した。


American Robotics社が精密農業のための完全自律ドローンシステムを発表

American Robotics社が精密農業のための完全自律ドローンシステムを発表

米国ボストン、2017年12月07日。農業オートメーションに特化した工業用UAV開発業者のAmerican Roboticsが、Scout(スカウト)を発表した。Scoutは、自発的に毎日の偵察飛行を自律的に行う自己充電式の自己管理UAVシステム。


ドローンの未来を垣間見る~KDDIスマートドローンの「凄いメンバー」たち~

ドローンの未来を垣間見る~KDDIスマートドローンの「凄いメンバー」たち~

モバイル通信ネットワークと3次元地図を活用した完全自律飛行に成功したKDDIの「スマートドローン」は、これからどこに向かうのか。実験に参加したメンバーを中心としたパネルディスカッションから、その未来を考察する。