日本初!?ドワンゴがエボルタチャレンジをドローン空撮で生中継 その舞台裏

日本初!?ドワンゴがエボルタチャレンジをドローン空撮で生中継 その舞台裏

パナソニックのエボルタ乾電池による挑戦シリーズの第9弾となる世界最長距離有人飛行チャレンジが琵琶湖で行われ、ギネス世界記録TMの10キロを目標に挑戦した。この挑戦にドローンによる空撮生中継で支援したドワンゴを中心としたスタッフたちの舞台裏に迫る。


彦根港沖を飛行する飛行機(エボルタチャレンジ 世界最長距離・有人飛行チャレンジ公式HPの動画から)

 11月6日、パナソニックが2009年から毎年行っているエボルタ乾電池による挑戦シリーズの第9弾となる世界最長距離有人機チャレンジが琵琶湖で行われた。東海大学チャレンジセンター人力飛行機チーム「TUMPA」製作の機体で、ギネス世界記録TMの10キロを目標に挑戦したが、結果は強風にあおられ、3,531m地点で“着水”し惜しくも記録には届かなかった。
 この挑戦には東海大学をはじめに多くの企業やスタッフが関わったが、なかでも離陸から着水までの全行程をネットで生中継を行うことになったドワンゴは、日本初のドローン空撮による生中継を成功させた。ドローン空撮ニコ生中継の舞台裏に迫る。

ドローン空撮ニコ生中継の舞台裏

 今回のプロジェクトでドローンをコントロールするパイロットには、株式会社Dronegames代表取締役の黒田潤一氏とY.D.S. Pro Shopオーナーの八島伸行氏の2名が、現場ディレクターは株式会社ドワンゴ営業本部コンテンツ営業部の川合亮輔氏がそれぞれ担当した。
 中継計画では、10キロ飛行する飛行機を撮影ドローンが追い続ける必要があり、追っかけドローンの機種やバッテリーの持続時間、目視飛行の制約をどうクリアするかなど問題は当初から山積していた。
 改正航空法に定められている目視飛行については中継スタッフ3名が乗船し、飛行機を追いかけながら操作することで解決。バッテリーの問題も、2機のドローンを引き継ぎながら飛ばすことにした。
 次に時速40キロ近くで飛ぶ飛行機を追うドローンの使用機種については、Phantom 4かInspireが候補にあがった。結局、狭い船上の離着陸や、スピードが出せるという理由からPhantom4に決まった。
 中継システムは、Phantom4のプロポ(コントローラ)にはHDMI出力端子が装備されていないことから、ボディ内部の基盤を換装しHDMI出力端子が使える改良を施した。これでドローンから中継映像を中継器LIVE Uを経由して映像を出力できるようになった。
 映像はPhantom4→追っかけ船→大津の道の駅に仮設した放送室という手順がきまり、ニコニコ生中継の態勢はできた。

彦根港に並べられた中継用のドローン

 こうして日本初のドローンを使った生中継の準備は整った。
 番組自体は天候のため延期された時間も加えて約110時間前から、ビワコオオナマズの中継などで盛り上げつつ、2016年11月6日の朝を迎えた。風は微風、飛行にはうってつけの天候に恵まれ、挑戦にGOサインが出された。

 滋賀県の琵琶湖東岸に位置する彦根港の駐車場では、まだ暗い夜明け前から、機体の組み立てが始まった。東海大学チャレンジセンター人力飛行チーム「TUNPA」が製作した機体は、パナソニックの単三乾電池「エボルタ」640本のパワーだけを動力に飛行することになっている。
 夜が明け周囲がうっすらと白みはじめた頃、狭いコックピットに寝るように収まったパイロットの鷹栖啓将さんの「プロペラ回すぞ!」のかけ声が響いた。乾電池パワーだけでプロペラが回り、機体はゆっくりと駐車場の奥から岸壁に向かって滑走し始めた。
 午前6時37分12秒、岸壁の手前で機体はまるでフワッと浮くように離陸した。
 飛んだ!
 エボルタ機は彦根の岸壁を離れると高度5メートル程を維持しながら着陸予定の琵琶湖西岸の琵琶湖大橋方面を目指した。

彦根港の駐車場で、離陸する飛行機を後方から撮影するためのInspireも用意された。

スタッフ一丸で中継達成

 ちょうどその頃、ニコ生中継のPhantom4の2機が離陸の少し前から上空ですでに撮影を始めていた。八島さんの1機は高度30メートルほど上空から滑るように離陸する機体をほぼ真上から俯瞰するように撮影した。黒田さんの1機は沖合で待機していた。彦根の駐車場には、離陸する機体とそれを追いかける東海大のスタッフの姿を後方から撮影するために中継機とは別にInspire1機を陸上から飛ばした。

船上からドローンを上げる。

 エボルタチャレンジの中継が始まった。
 俯瞰映像はエボルタ機とほぼ同じ速度で飛行し、湖上を舐めるように飛ぶ26メートルもの長い翼の機体を的確ににとらええ続けた。
 後方から追っかけ撮影するもう1機の中継機は斜め横からの位置に付けて撮影した。
 ここまでは挑戦も中継も順調で、誰しもこのまま記録の達成を疑うものはなかった。

 飛行機が順調に飛び続けていた午前6時43分26秒のことだった。予期せぬ突風で、飛行機は着水を余儀なくされた。離陸から6分14秒後のことだった。
 飛行距離は3,531メートルで記録には届かず、惜しくも今回の挑戦は終わったが、「TUMPA」の最長飛行記録となった。
 メイン中継は、八島さんから黒田さんが操縦する中継機に切り替わっていた。
 飛行機は残念な結果となったが、ドローン空撮によるニコ生中継は見事に成功した。ドローンに精通したスタッフによって、乾電池のみを動力とした航空機が飛ぶ姿をドローンが見事に伝え記録することができた。ドワンゴの川合さんは「今後もドローンを活用した企画を考えたい」と話した。

飛行機が離陸するとニコ生中継の画面は書き込みで見えなくなった。

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