【キーマン】ドローンで篤農家をサポートする「ドローン米」プロジェクト

【キーマン】ドローンで篤農家をサポートする「ドローン米」プロジェクト

ドローンの「コンサル・農業・教育」で事業を展開しているドローンジャパン株式会社(本社:東京、代表:勝俣喜一郎)は、ドローンを活用した田圃の「見える化」を実現するDJアグリサービスで、篤農家をサポートしている。同社の農業に対する思いは、「ドローン米」というプロジェクトも生み出している。その取り組みを聞いた。(田中亘)


ドローンジャパンの勝俣喜一郎代表。

農薬や化学肥料に頼らずにドローンを活用した「ドローン米」とは

 ドローンジャパンは、2017年度からドローンとクラウドとAIを活用した「DJアグリサービスプラットフォーム」の提供を計画している。このサービスの開始に先立ち、2015年の創業時から、同社は日本各地の篤農家と協力して、ドローンを活用した田圃の「見える化」に取り組んできた。同社がドローンでサポートしてきた篤農家は、生態系を大切にして農薬や化学肥料に頼らず、自然との調和を心がけた稲作を実践している。2016年度はそうした篤農家の中から北海道旭川市の市川農場と、千葉県佐倉市の三門農園に、茨城県小美玉市の拓実の会が、同社と協働で「ドローン米」を生産した。
 「ドローン米は、篤農家が創ったお米を越後製菓のパック加工技術によって、炊きたてを味わえるパックご飯にしました。パックご飯にすることで、海外にも販路を拡大できます。海外でも、安全や安心な食への意識の高い消費者に、日本の美味しいお米を届けたいと考えています」と勝俣氏は話す。
 同社では、篤農家の米づくりをサポートするために、カメラやセンサーを搭載したドローンを活用して、稲の生育状況のリモートセンシングに取り組んできた。篤農家の田圃で実証実験を繰り返し、ドローンによるリモートセンシングの技術と精度を高めてきた。同時に、篤農家が生産する美味しくて安全な米のブランドを高め、収益性のあるビジネスにするために、「ドローン米」の生産と販売にも乗り出す。
 「日本の稲作は、大規模化を推進するか、小規模でもコスト競争力をつけて専業農家として継続していくか、いま大きな岐路に立たされています。我々のビジネスは、日本の稲作だけではなく、将来的には世界へも日本の米づくりを広めていくために、『ドローン米』というブランドの発信とドローンによる田圃の解析技術の向上に取り組んでいきます」と勝俣氏。

稲の上を飛ぶドローン

ドローンによる田圃の解析は世界的にもまだスタートライン

 海外では、小麦やぶどうなどの生育を衛星や航空機からの撮影で解析するサービスが、以前から提供されてきた。近年は、そこにドローンが登場して近接した空域から撮影した画像データやマルチスペクトルカメラによる光波データから、生育状況を分析する取り組みが進んでいる。しかし、世界的に見ても稲作における生育解析は、まだ実用化が進んでいない。
 「2016年度の『ドローン米』を生産するために協力してきた篤農家との実証実験では、ドローンがより正確に飛行する技術を改善していくことに加えて、カメラの性能も田圃の解析に適した改良や開発が必要だとわかりました。そこで来年度は、田圃の空撮やリモートセンシングに適したカメラの開発をメーカーと協力して推進していきたいと考えています。
 また、我々の提供するサービスは、あくまでもドローンによるリモートセンシングなので、農業向けのアグリサービスを提供しているプロバイダーとも協業して、農家に求められるソリューションを提供できればと願っています」と勝俣氏。

人材の育成も見据えた長期ビジョンでドローンによる米作りを支援していく

 ドローンジャパンでは、2017年度から国内でDJアグリサービスとドローン米の展開をスタートするが、その一方でグローバルでの米づくりも見据えた長期的なビジョンも描いている。
 「日本の米づくりに対する需要は、世界的にも高くなってきています。そこで、海外からの農業留学生を篤農家に受け入れてもらって、日本の稲作や土づくりを世界に広げていきたいと考えています。ドローンによるリモートセンシング技術を高めていくだけではなく、そのソリューションを活用した精密農業を実践できる人材を育成することで、ベトナムやタイやカンボジアなどでも、日本の米づくりを実現できると考えています」と勝俣氏。
 グローバルでの展開も計画している一方で、DJアグリサービスでは、空だけではなく「水」をセンシングできるドローンも開発している。「アイガモドローン」と名付けられたドローンは、空ではなく水田の中を自動航行して、センサーで水温などをセンシングする。
 「IoTやビッグデータにAIなど、これから発展するIT技術の多くは、日本人の勘と経験によって蓄積された熟練の技や知識を再付加価値化できると確信しています。ドローンを活用して、農薬や化学肥料に頼らない米づくりが広がっていけば、食の安全や安心につながるだけではなく、自然環境にも優しい国土を育むと思います」と勝俣氏は展望を語る。

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