報道カメラマン・納冨康の『目指せ! ドローンパイロット』総集編

報道カメラマン・納冨康の『目指せ! ドローンパイロット』総集編

報道カメラマン・納冨康(38)。現在は産経新聞写真報道局に勤務し、報道カメラマン歴15年目のベテランだが、ドローンでの空撮は初心者。上司から「アメリカでドローンを飛ばして雄大な写真を撮ってこい」の無茶ぶりミッションを与えられ、ドローンパイロットを目指した総集編。空撮動画をまとめてみました。


<米国本土緊張の初フライト>

【ミズーリ州セントチャールズのミズーリ川の支流】
 ミシシッピリバープレスツアー初日、早速ドローンを飛ばすチャンスに遭遇。
 セントルイスから北西へほど近いセントチャールズという街。全米一長いバイクロード(386㎞)で知られる「Katy Trail」で朝から自転車に乗ってコース沿いをツーリング。
 自転車は「The Bike Stop Cafe」というレンタルサイクルで拝借。Phantom4のソフトケースを持ち運ぶため、ちょっとした荷物を載せられる小さなリアカーを自転車の後ろに装着してもらった。
 ミシシッピ川の最大の支流であるミズーリ川が流れる。
 初日の天気は快晴で風もほとんどなく、ツーリングコース沿いのミズーリ川脇のちょっとした広場で米国初フライトに挑戦。

 高度3メートルでの安定飛行が確認できたところで、ゆっくりと上昇させた。
 ミズーリ川のすぐそばということで、さすがに川の上にまで機体を持っていくことはビビッてできず、高度20メートルほどでホバリングさせて悠大なミズーリ川を撮影。
 その調子で40メートルほどまで上昇させた。
 上昇させてそこから見えるものを動画、写真撮影し10分間が過ぎようとしているところで徐々に下降させ、そして着陸態勢。長いようで短かった10分。無事に着陸させ。ほっとした。

<15億年かけて出現した“象の大群”を見下ろす>

【ミズーリ州ベルビューのエレファントロックス州立公園】
 ミズーリ川での初フライトを終え、早くも午後に2本目のフライトチャンスがやってきた。
 エレファントロックス州立公園、名前の通り象のように大きな花崗岩がゴロゴロと点在する。園内は釣りやピクニックで楽しむ家族連れもいてのんびりムード。
 岩の上に登り、絶景が見渡すことができ、ちょっとしたアウトドアも楽しめる公園。空撮のロケーションも、かなり変化のある絵が撮れそうだ。

 爽やかな青空の下、風がない隙を狙い機体を上昇。高度を約20メートルほど上げたところでホバリングさせた。
 逆光のためプロポに付けたディスプレーの画面が少々見えにくい。高度20メートルほどの高さから見える岩々の様子がプロポのタブレット画面にうっすらと浮かび上がった。
 日本に帰国してから知ったが、モニター画面をこのような太陽光から守るためにサンシェードもあるらしい。サンシェードがない中で、見えにくいモニターと上空の機体の位置へ視線を行ったり来たりさせながら何とか写真撮影と動画撮影を行った。

<上空からアメリカの秋を探す>

【ミズーリ州エミネンス ジャックスフォーク川とカレント川】
 米国に来てから好天に恵まれ、本日は風もほとんどない状態。
 今回飛ばす場所はカヌーやカヤック、ラフティングなどが楽しめるジャックスフォーク川とカレント川の交わるポイント。
 川の水は透き通るほどきれいで流れも穏やか。周囲には多少高い木があるものの、民家もなくフライトに使えそうな河原も広い。砂利が多いが、比較的平坦な場所を選び離陸ポイントとした。

 本日も少々逆光気味で、モニターが見えにくい。動作確認を行った後、今回は一気に高度を40メートルほどまで上昇させる。
 風の影響もほとんどないため、次に高度を70メートルほどまで上昇させ、川を中心に動画と写真撮影を行う。
 動画撮影では、離陸前から撮影をスタートさせ徐々に高度感を増す映像は、やはりドローンならではの醍醐味と思った。
 プロポのモニターには穏やかな川の様子が映し出された。
 訪問した頃の気候は、日中上着は全くいらないほど暖く、紅葉の見頃はまだ2~3週間ほど後のようだった。残念ながらドローンからの画像、映像も、周囲の色づきは今ひとつ物足りなかった。
 いつも通り10分間のフライトを目処に機体を下降、無事に着陸させた。

<Phantom4 早暁の出撃>

【アーカンソー州レイクビュー トラウトフィッシングで有名なホワイト川】
 前日、ミズーリ州からアーカンソー州へ移動。トラウト釣りで有名な「Gaston’s White River Resort」(ガストンホワイトリバーリゾート)へ宿泊。
 このリゾートの敷地内に芝生の滑走路があり、プライベートジェットで来て釣りを楽しむ人が多いという。日本では考えられないスケールの大きさに驚く。
 この日は朝から日の出の時間帯を狙ってのフライトを試みる。日の出前の辺りがまだ暗い午前7時20分。ドローンを川沿いの芝生にセッティングを開始していると、早朝から、釣り竿を手にした人が、小さなボートに乗り込んで目の前をが通り過ぎていく。

 さてドローンだが、天気は良く風はないものの、周囲はまだ暗く、傾斜地が多く平坦な場所がない。愛機Phantom4を離陸させるのには今ひとつコンディションが悪い。
 傾斜がある程度緩い場所を見つけ、Phantom4のケースを置き、そこを離陸ポイントにした。
 辺りがまだ薄暗い中での離陸。機体の動作確認をして高度40~50メートルほど上昇させる。
 アメリカ上陸後、今回で4回目のフライトとなり、思い切って川の上へ飛ばしてみる。
 静かな川面にトラウト釣りのボートが通過する。ファントム4のモーター音が辺りに響く中、動画、写真撮影を行う。
 撮影は川の真上だけにこれまでと違った緊張感があったが、慎重に自分の目の前の着陸ポイントに移動させた。
 平坦な着陸ポイントがなかったため、着陸の際は自分の近くへ移動させ手でファントム4の足をキャッチし、そのままレバーを下げっぱなしにしてモーターを停止させた。

< 米最大の人造湖に立ち向かう>

【ケンタッキー州ギルバーツビル  国内最大規模の人工湖・ケンタッキー湖】
 アメリカ5回目のフライトとなった。
 アメリカに来てからずっと好天に恵まれている。この日は若干雲も見えるものの、何しろ風が弱い。
 風速計を日本から持ち込んだが、風速2~3m/sほど。まさにドローン日和。
 今回は米国内最大規模の広さを誇る人工湖のケンタッキーレイク。ブラックバス釣りのトーナメントのFLW(Fishing League Worldwide)が行われることで有名な湖だ。

 ドローンを高度70メートルほどに上げ、上空から見るとだだっ広いケンタッキー湖にカヤックが1艇という絵になった。高さを上げれば上げるほどカヤックは豆粒に。写真にすると何とも面白みにかける。動画で少々動かしてみる。
 帰国後に改めて動画を見返してみると、やはりど素人ぶりがありありと伺える動画となってしまっていた。カヤックの上空をもっと思い切って横切るように飛ばせば臨場感が出ていたに違いない。 ためらってカヤック手前で止めてしまっていては何の迫力もなくなってしまっていた。
 水の上、人の上を飛ばすにあたり、びびり具合が強く出てしまった現場となってしまった。

<米国でのラストミッション、だが試練はまだつづく>

【ケンタッキー州ペンブローク バーボン蒸留酒製造所の「MB Roland Distillery」】
 ケンタッキー州の夫婦で経営しているバーボンの蒸留酒製造所の「MB Roland Distillery」を訪れた。元はアーミッシュだったというポールさんが、2009年から始めたDistillery。広さ100エーカーの広大なコーン畑が広がる。(1年ごとにとうもろこしと大豆を交互に耕作するため、ちなみに今年は大豆畑だった。)

 こちらのDistillery前からフライトさせてもうらう。
 風が少々吹いているのが気になったが、高度70メートルほどまで上昇させた。コントローラのディスプレイには、刈り取を終えた畑が広がる。時期がちょっと遅かった。
 しかし上空の愛機Phantom4送られてくる映像には、刈り取られた後の畑の縞々模様が分かる。空撮ならではのパターン的な面白い光景が上空から見るとはっきり分かる。
 アメリカの豊かな大地。日本とは比較にならないほどの自然のスケールの大きさに今回のプレスツアー中では驚かされるばかりであった。
 さてアメリカでのドローン空撮行脚も今回が最終回となりました。ドローンを飛ばして感じたのは、報道ヘリでは不可能な高さやアングルからの映像、画像に力を発揮する撮影手段だと改めて分かった。

■■機材協力■■
DJI JAPAN 株式会社

■■取材協力■■
ミシシッピ・リバー・カントリーUSA日本事務所

■■納冨康プロフィール■■
1978年1月、福岡市に生まれる。
報道カメラマンとしの主な取材歴は
2006年のトリノ五輪で大会唯一の金メダルを獲得したフィギュアスケート荒川静香や、2007年にメジャーリーグ入りした松坂大輔がワールドシリーズで優勝するまでカバーするなどスポーツを中心に取材。今年(2016年)に入ってからは4月の熊本地震、5月の伊勢志摩サミット等を取材。カメラマン歴15年目のベテラン。

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