ドローンタイムズセミナー ドローンが切り開く日本の地方創生(5)

ドローンタイムズセミナー ドローンが切り開く日本の地方創生(5)

セミナーの最後に、物流ドローンサービスの実現について、パネルディスカッションが催された。ブルーイノベーション株式会社の代表取締役社長CEO熊田貴之氏がモデレータとなり、国土交通省と物流に取り組む企業の代表者がパネラーとして登壇した。


「物流ドローンサービスは実現できるか?~長距離飛行とUTM~」

◇モデレーター
ブルーイノベーション株式会社
代表取締役社長CEO 熊田貴之 氏

◇パネリスト
・国土交通省 総合政策局 物流政策課 企画室
課長補佐 大庭靖貴 氏

・テラドローン株式会社 代表取締役社長 徳重徹 氏

・楽天株式会社 新サービス開発カンパニー
事業企画部 ゼネラルマネージャー
兼 ドローンプロジェクト推進課 シニアマネージャー
向井 秀明 氏

モデレーターをつとめたブルーイノベーション株式会社の代表取締役社長CEO 熊田貴之 氏

物流用ドローンポートへの取り組み

モデレーターを務める熊田貴之氏が代表を務めるブルーイノベーション株式会社は、国土交通省と物流用ドローンポートの開発に取り組んでいる。

熊田:
物流用ドローンポートのシステム開発では、ポートから電波やセンサーを利用して、目視外飛行でドローンが高度100mから着陸できる技術に取り組んでいます。本日は、パネラーの皆様に、今の物流ドローンにおける取り組み状況などを伺います。

大庭氏は、 国土交通省 総合政策局 物流政策課で、日本の物流が抱えている労働力不足という課題に対して、いかに物流を効率化し省力化するかに取り組んでいる。

大庭:
喫緊の課題である物流現場での労働力不足の対策として、ドローンで無人で荷物を運ぶドローン物流を目指しています。2018年には無人地帯や離島に山間部などでの小型無人機による荷物配送を、2020年には都市部も含めた荷物配送を目標にしています。そのためには、荷物を安全に運ぶためのドローンポートを開発する必要があります。来年度中を目標にして、ブルーイノベーションの熊田代表や東京大学の鈴木教授と開発を進めています。

ドローン物流にも重要になる管制システム

テラドローン株式会社の代表取締役社長の徳重徹氏は、電動バイク事業のテラモーターズの創業者として有名な起業家。2016年3月にドローン事業に参入する目的で、テラドローンを創業した。

徳重:
テラドローンは、土木測量と管制システム(UTM)に海外展開をドローン事業の柱にしています。ドローンによる測量の分野では、大手ゼネコンなどとパートナシップを結び、月に30件から50件の依頼が来るまでになりました。またドローンの管制システムについては、海外で300社くらいの事業者と会い、ベルギーのUnifly社を選び、約5億円を出資しました。Unifly社のUTMを選んだ理由は、ドローンだけではなく、飛行機の中にどうやってドローンを組み込むかを設計していて、その先進性を評価しています。また、2017年の1月には、海外にテラドローンとしての初拠点を置く計画です。

都市部での実証実験を推進する楽天

楽天株式会社の向井秀明氏は、ドローンプロジェクト推進課のシニアマネージャーとして、「そら楽」というドローン配送プロジェクトを推進してきた中心人物。

向井:
わたしはレーシングカーのエンジニアとしてルマンのレースにも参加した経験があります。その後、海外に留学して楽天に移ってから、ハードウェアとITをつなぎたいと考えて、ドローン配送プロジェクトを立ち上げました。なぜなら、高度150m以下の空域は、電波と鳥しか飛んでいないので、ここを人類の叡智で活用したいと考えているからです。将来的には、3年以内に市川と幕張をつないで、ドローンによる物流を実現したいと計画しています。そのために、2016年には世界で初めてとなるスマホのアプリを使ったドローン配送をゴルフ場で提供しました。

ドローン物流における課題と解決への道筋

熊田:
楽天によるドローン物流の「そら楽」では、素晴らしいスピードで現実的なサービスを作ってこられたと思います。これまでの実証実験やゴルフ場でのドローン配送などを通して、物流のサービスを実現化するために、テクニカル面やサービス面、あるいはビジネス面での課題は、どこにあるでしょうか。

向井:
大きな課題は規制の部分です。ゴルフ場でのドローン配送では、第三者の上空を飛ばせないため、カート道の上を飛行ルートに設定できずに、遠いホールまで飛ばせませんでした。本当の利便性は、人の上を飛ばせてこそだと思います。

熊田:
それはドローンの機体に対する信頼性にも問題があるということでしょうか。

向井:
そら楽で利用するドローンの安全基準を満たすために、次世代機ではパラシュートを装備しました。それでも、そのパラシュートがきちんと作動するかを証明するためには、100回ほどの試験では足りないのです。限りなく100%に高い安全性を担保しなければなりません。もう一つの課題は操縦者です。我々の開発したドローンは、ボタンひとつで自動飛行を実現しています。しかし、必ず操縦者を補助者として備えなければなりません。そのために多大なコストがかかります。

熊田:
ドローンの安全性に対する規制の問題について、国土交通省ではどのようにお考えでしょうか。

大庭:
今日は航空法の担当者がいないので、規制に関する正式な見解はお答えできませんが、物流政策課としては、2018年に実現しようとしている過疎地へのドローン配送は、人の上を通らない前提なので、実現できると考えています。ただ、2020年の都市部でのドローン配送においては、第三者上空での安全確保に向けた取り組みが必要になります。ビジネスの観点からも、あと10年ほどで現在のドライバーが引退していくと、トラックドライバーなどが不足するため、物流を継続していくには、自動走行車やドローンによる無人物流の実現が重要です。一方で、宅配便で預かっている30kgまでの荷物をドローンで置き換えられるのかどうか、雨や風などの気象条件に左右されないドローン配送が可能になるのか、第三者の上空の安全性と下にいる人たちの理解など、いろいろな課題があるのも事実です。すぐに解決に取り組めるものと、できないところもあります。しかし、ドローン物流を推進する立場からは、できるところから解決して、地域の方々の理解を得ながら、事業化を目指していきたいと考えています。

熊田:
最後に測量や管制システムでドローンに取り組まれている徳重さんから、物流サービスの展開を考えたときに、どのような課題や解決策が考えられるでしょうか。

徳重:
ドローンは非常に便利だが、課題は飛行距離とペイロードです。電池とモーターの技術が大きな課題です。物流では距離が関係してきます。また寒くなるとバッテリーの性能が低下するので、飛行距離が短くなるという問題も解決しなければなりません。そこで注目しているのが、VTOLと呼ばれる固定翼型のドローンです。一方で、規制の部分に関しては、日本での実証実験が難しい場合は、海外を視野に入れた展開が求められます。国によっては特別なルールがあって、例えば、実力的にも経験的にも安全性が高いと評価された会社を特別に認める国があれば、そこで事業を推進していけばいいのです。

熊田:
日本でも、官民が情報を共有して、より最前線でドローンを活用して、物流や地方創生につながる機会が広がることを期待しています。

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