ロボット大賞を受賞したルーチェサーチの高性能ドローン(2)

ロボット大賞を受賞したルーチェサーチの高性能ドローン(2)

「第7回ロボット大賞」を受賞したルーチェサーチ株式会社(本社:広島、代表:渡辺豊)は、機体の開発から高精度な測量飛行に、計測データの可視化までを一気通貫で提供することで、設立から右肩上がりの成長を続けている。その経緯を渡辺氏に聞いた。(田中亘)


移動体測量のプロフェッショナルからスタート

 渡辺登社長は、2011年にルーチェサーチ社を創業する以前、車両や有人ヘリなどを使った移動体計測による3次元データの測量に従事していた。移動体計測では、計測車両にカメラやレーザースキャナにGPS/IMUなどの各種センサーを配置して、走行しながら道路周辺の高精度な3次元データを記録する。取得したデータは、撮影画像と3次元レーザー点群データをもとに、地形や構造物などをデジタル化して可視化する。例えば、カーナビ用の地図データを提供している株式会社ゼンリン(本社:福岡県、代表:髙山善司)などは、全国の道路で計測車両を走らせて、常に最新の道路周辺データを収集している。 渡辺社長は、移動体計測で得られた計測データから高精度な3次元データやオルソ補正と呼ばれる「撮影時のひずみを修整」した3次元画像などの作成にも携わっていた。その経験から、撮影画像や計測データを数値として解析し、それを可視化するソリューションを提供できる技術力で起業したという。

ルーチャサーチの渡辺豊社長

ドローンの設計や製作は10年以上のキャリア

第1回ロボット革命実現会議で安倍総理の前で行われたデモフライト

 渡辺社長はルーチェサーチ社を立ち上げる前から、ドローンの設計や製作の経験があった。
 「10年前から、まだドローンと呼ばれる以前に、個人的にドローンを自作していました。ドローンはデジタル技術で飛ばすので、ラジコンヘリなどを操縦テクニックで飛ばしていた人たちは、パソコンや英語の説明に馴染めずに、ドローンを敬遠しがちでした。私はITにも精通していたので、英語のドキュメントなども苦にならずに、自作パソコンを組み立てるような感覚で、ドローン作りを楽しんでいました」と振り返る。
 独学でドローンの設計や製造を試行錯誤してきた渡辺氏だが、平成26年9月11日に首相官邸で開催された第1回ロボット革命実現会議の席上、安倍首相の前でデモフライトを行うまでに、実力をつけてきた。(http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg10456.html)
 そして、創業時は車両などを前提とした移動体計測を事業の柱にしようと考えていた渡辺社長は、高性能で安定した飛行を実現できる機体を開発したことをきっかけに、ドローンによる空撮や測量を行うようになった。
 「現在は、高精細な空撮による検査や3次元レーザー測量を中心に、全18名のスタッフがチームを組んで日本全国でドローンを飛ばしています。また機体の販売も行っていて、日本気象協会が高層気象観測のために、当社のドローンを採用しました」という。
(https://www.jwa.or.jp/news/2016/05/post-000667.html)
 総勢18名という同社の社員は、20代から80代まで幅広い年齢層で構成されている。そのほとんどがエンジニアとしての経験を持つ。中には「ラジコンヘリの日本チャンピオンや、鍛造にカーボンファイバーの設計者」などドローンに魅了された技術者も揃っている。
 優れた技術者に支えられ、堅調な成長を続ける同社は、レーザー測量による数多くの事例がある。
 次回は、その事例の中から災害現場で活躍したドローンを中心に紹介する。

日本気象協会が高層気象観測に採用したルーチェサーチのドローン

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